広告や書籍、雑誌などで活躍する白根ゆたんぽ氏は90年代初めのデビュー以来、乾いたユーモアやエロ、アイロニー、世相への視線などを巧みに溶け込ませるポップな画風で、幅広く人気を集めてきた。カートゥーンコミックのような筆致の線画は独自のジャンルを確立しつつ、その時代に合わせ個展やグループ展にて発表されるシリーズ作品群により、イラストレーションが媒介しうるサブカルチャーとアートの心地よい融合形を常に指し示し続けている。
本展は白根氏にとって、代官山GALLERY SPEAK FORでの2年ぶりの個展。これまでの線と塗りによる絵柄とは異なったドローイング主体のシリーズを、初めて本格的に披露する機会となる。数年前からリトルプレスで発行し続けてきたZINEのシリーズ「BLUE ZINE」は、彼のファンの間で熱心に支持されてきたが、そこでモチーフとして描かれていた女性画が今回のメインに。とぼけた可愛らしさが秀逸で、軽妙にエロティックなポーズで描かれるポップなカーブ感が光る線画は、ほとんど背景がなく、描き込みが削ぎ落とされた記号的な描画だからこそ、見る者のイマジネーションに深く働きかける魅力に溢れている。シンプルさから萌え出たフェティシズムがやがてファナティシズムへとつながる、そんなイラストレーション言語の広がりや楽しさを実感できることだろう。
アクリル絵具による原画のほか、インクジェットプリントによる複製画を交え、30点あまりを展示・販売される。また、新作のZINEを会場にて発売する他、Tシャツやステッカーなどの関連アイテムも紹介・販売予定。さらに初日のトークショーではあの江口寿史氏も登場する。白根氏が数年来温めてきた新しいアプローチの世界を堪能しに、さあ今週末は代官山へ！
Event Information
白根ゆたんぽ YUROOM GIRLS SHOW
2013.07.19（金）～2013.08.07（水）＠GALLERY SPEAK FOR
OPEN 11:00／CLOSE 19:00（最終日のみ18:00）
※木曜休廊
ギャラリートーク：2013 .07.19（金）18:30 ～ 19:00
作品解説＝白根ゆたんぽ 聞き手＝江口寿史（漫画家、イラストレーター）
