写真家・小見山 峻による約4年ぶりの写真集『call, overhaul, and roll』が11月1日(火)に発売されることが発表された。
小見山 峻が約4年ぶりの写真集『call, overhaul, and roll』を発表
効率の良さが圧倒的正義になりつつある現代社会。今作は、その中で「迷う」ということのポジティブな意味を追いかけ、実際に自らが、ならば迷うだけ迷ってみせよう、という決意のもと小見山の住む横浜から札幌まで、バイクに跨り、彷徨い寄り道を繰り返しながら走り抜けたロードトリップの一部始終。
閉塞した社会からの脱出、死別した親友への葬い、徹底的な物理的孤独への願望、そしてバイクだからこそ感じられる風の肌触りへの欲求……様々な感情に後押しされ飛び出したこの旅は、写真家ではなく一人の人間としての逃避行であり、決して撮影をすることは目的としてはいなかった。結果、記録として残していたこれらの写真たちは、これまで以上に純粋な好奇心を浮き彫りにするものたちとなった。
粛々と積み重ねられてゆく旅の景色に、音楽家TAIHEIによる書き下ろし楽曲、音楽ジャーナリスト有泉智子とファッションデザイナー吉田圭佑による寄稿文が彩りを添える。ぜひ手にとってその世界を覗いてほしい。
いつの間にか、道を間違えることや遠回りすることを悪手かのように避けてばかりの毎日になっていました。迷うことなんて、下手をすれば食事の回数よりも多い代謝のひとつだと言うのに。ならば今こそ迷えるだけ迷ってみせようと。馬鹿げた時間の使い方に踏み切ったのです。思いつきのような衝動に駆られ、バイクのハンドルに安物の方位磁針を取り付け、それを頼りに北を目指しました。
写真を生業にして、あれやこれやと格好をつけ、撮る理由をでっち上げている毎日ですが、その実、つまるところは「僕はここにいた」と伝えたいだけ。
何事もなければ、まだ何十年と生活は続いてゆくと信じています。その折々で、「僕はここにいた」をただ愚直に積み重ねていくのでしょう。この本のように。
踏み出せない誰かに、何故か帰りたくない夕方に、太陽がもどかしい朝に、毛布にしがみつく真夜中に、道に迷うあなたに。そして天国にも届くよう願いを込めて。
小見山 峻
INFORMATION
写真家 小見山峻 新作写真作品集『call, overhaul, and roll』
2022年11月1日(火)
A5版
ハードカバー上製本
216P(図版134点+テキスト6p)
限定1000部
通常版:¥3,900(+tax)
プリント付き特装版A4サイズ:¥30,000(+tax)
A3サイズ:¥50,000(+tax)
写真:小見山峻
テキスト:有泉智子(MUSICA 編集長、音楽ジャーナリスト)、吉田圭佑(KEISUKEYOSHIDA デザイナー)
音楽:Taihei Sakurauchi
デザイン:泉美菜子(PINHOLE)
印刷:藤原印刷株式会社
取扱お問い合わせ : pinholebooks@gmail.com