田名網敬一の個展<世界を映す鏡>が、NANZUKA UNDERGROUNDと3110NZ by LDH kitchenで開催されている。
田名網敬一作品の数々を惜しげもなく展示|新作アニメーションも
2020年7月、コロナウィルス第一波と第二波の合間を縫って開催した<記憶の修築>において、田名網は自身の人生における記憶、知識と経験、そこから派生するイメージの増幅=夢といったテーマを回顧的に紡いだ。それは田名網の人生と時代の流れを共にしてきた日本の「戦後」という時代の残像を、個人史として色鮮やかに描き出した一連の曼荼羅図とでも呼ぶべきものだった。
その後の田名網の制作活動は、コロナ禍に見舞われた世界の中で一変する。予定していた海外の展覧会や大学の講義、プロジェクトなどが止まり、締切やスケジュールに追われるという若い頃から60年以上も続いてきたルーティンから意図せず開放されたのだ。そして、このことが、田名網の作品に意外な副産物を齎(もたら)すことになる。
本展<世界を映す鏡>では、神宮前のNANZUKA UNDERGROUNDにおいて、移動式販売スタンドを模したインスタレーションを中心に作品が展開。また、ギャラリー2Fと3110NZでは、引き続き膨大なイメージの蓄積から生み出される新作のキャンバスペインティングとコラージュ作品、そして最新のアニメーション作品『赤い陰影』が展示される。
年輪を刻んで尚も進化を遂げ続ける田名網の創作活動には、人間の創作活動の真髄を見るようであり、また同時にアートとは何かという率直な問いかけに対する雄弁な回答であるようにも思える。不屈の創作魂、膨大な知識と経験、そして熟練の技術の三位一体によって生み出される田名網の圧倒的な作品の数々は、衰えることを知らない。
田名網敬一 Keiichi Tanaami(1/2)|POST-FAKE
EVENT INFORMATION
世界を映す鏡
A Mirror of the World
2022.11.12(土)〜12.25(日):NANZUKA UNDERGROUND
2022.11.15(火)〜12.24(土):3110NZ by LDH kitchen
Keiichi Tanami x Parley for the Oceans(*popup)
2022.11.10(水)〜11.16(水)
NANZUKA 2G
渋谷PARCO