2013年は、天井棧敷を主宰していた寺山修司(1935-1983)の没後30年を迎える。詩人、劇作家、写真家、映画監督だけでなく、その才能をありとあらゆる形で世に繰り出してきた偉人を知る壮大なる企画が行われる。寺山修司没後30年、そして渋谷に位置するパルコ劇場の40周年を記念して、寺山修司の舞台作品上演、演劇実験室◎天井棧敷ポスター展、映像展が開催されるのである。
寺山修司没後30年/パルコ劇場40周年記念公演
『レミング ~世界の涯までつれてって~』
寺山修司が主宰した<演劇実験室◎天井棧敷>の最終公演『レミング』が4月21日(日)より上演される。初演、再演時、寺山修司の超現実の言葉と洗練された造形美で観客を圧倒したこの舞台作。壮大な野外劇や「ヂャンヂャン☆オペラ」という独特の表現で、世界を震撼させ続ける維新派の松本雄吉が新解釈で挑む。
スタッフには、松本の創作を支える優れた面々が国内外から集結。キャストには、八嶋智人、片桐仁、常盤貴子、松重豊の他、オーディションで選ばれた俳優達が揃い、上演台本には天野天街が参加。この2013年演劇界の最大の事件となる『レミング ~世界の涯までつれてって~』上演に伴い、壮大なるポスター展と映像展も開催される。
Event Information
寺山修司と天井棧敷◎ポスター展
「星の王子さま」1968
宇野亜喜良/シルクスクリーン
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「犬神(ドイツ公演版)」1969
粟津潔/シルクスクリーン
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書を捨てよ!町へ出よう!」1969
及川正通/シルクスクリーン
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1960年代から1980年代半ばにかけて、世界を駆け抜けて活躍した寺山修司主宰の劇団<演劇実験室◎天井棧敷>。その公演ポスターは、劇団旗揚げメンバーでもあった横尾忠則をはじめとして、粟津潔、宇野亜喜良、金子國義、林静一、井上洋介、及川正通、榎本了壱、花輪和一、合田佐和子、戸田ツトムなど、錚々たるアーティストが手がけている。
これらのポスターの多くはシルクスクリーン作品で、現在美術的評価も高く、当時公演用に限られた数しか製作されていなかったため、現存する枚数は僅か。これらのポスターの常設施設はまだ存在しないため、貴重な機会となる。今回、現存する演劇公演のポスター約40点のほか、寺山修司の直筆原稿・台本・公演のチラシ・パンフレット・舞台写真などの演劇関連資料も展示される。
なお「演劇実験室◎天井棧敷」のポスターを手がけたアーティストたち、また演劇関連の書籍なども幅広く取り揃えており、自由に閲覧できるうえ、寺山修司没後30年を記念関連商品や関連企画も行われる予定。
Event Information
寺山修司◎映像詩展
映像の魔術師・寺山修司のシュールでアヴァンギャルドな映像作品が没後30年を記念して、監督作品のみならず脚本作品も合わせて28本一挙上映。
1960年に作られた「猫学Catllogy」以来、寺山修司の実験映画は、そのどれもが「映画は世界を網膜の中に灼きつけるのではなく、網膜から『世界をひきずり出す』のである」と宣言する、独特の危険な仕掛けに満ちた作品ばかり。長編映画『書を捨てよ町へ出よう』のラストで、何も映っていない白味のフィルムを映写し、「われわれの作る部分は終わったのだから、このあとは観客である諸君に作ってもらいたい」と投げかけた問いに対して、現在の観客に答えは出せるのだろうか? 『ローラ』では客席から立ち上がった男が実際にスクリーンに飛び込み、『審判』では観客の打ち込む釘で埋め尽くされるスクリーン。寺山はたえずスクリーンの意味を問い、映像は観客を挑発しつづけていく。
寺山修司の映像作品は<カンヌ映画祭>、<ベルリン映画祭>、<エジンバラ映画祭>をはじめ海外の主な映画祭に招待され数々の賞を受賞している。2012年にもロンドンのテイト・モダンで特集上映が組まれるなど、いまだ色褪せることなく注目を集めていいる。幻想とエロチシズムに満ちた映像作品、イメージの錬金術、虚構と現実の地平線に築き上げられた絢爛たる王国・・・寺山修司の全貌を一挙上映するこの<寺山修司◎映像詩展>絶対に必見!!