山梨県立美術館が、美術館の可能性を模索する企画シリーズとして、LABONCHI(ラボンチ)を始動。第1弾として、仮想空間と現実の美術館の双方を舞台に、たかくらかずき「メカリアル」展を2月28日から3月26日(日)まで開催中だ。

現代美術作家・たかくらかずきと画家・米倉壽仁が共鳴

本展は、館内空間、館外に広がる芸術の森公園、そして、仮想空間を舞台に、山梨県出身の作家・たかくらかずきの作品を展関する企画。本展のタイトル「メカリアル」は、シュルレアリスム(超現実主義)が日本に上陸した際の「機械主義」と呼ばれる傾向に着目した、たかくらによる造語だ。

本展の制作にあたり、たかくらの出発点となったのは、日本におけるシュルレアリスムの展開の黎明期より活躍した山梨県出身の画家、米倉壽仁(よねくらひさひと、1905-1994)の作品鑑賞だった。たかくらは、日本で広く共有される信仰の中に息づく「存在を信じるが触れることのできない、向こう側のものたち」を「デジタル上の存在」に極めて近いものと捉え、AIによる画像生成、ピクセルアニメーション、3Dプリント、VR(仮想現実)、NFTといったデジタル技術を用いた表現に取り組む作家。米倉が晩年に取り組んだ、東洋思想、仏教、土着の信仰と、シュルレアリスムを融合させ、現実世界を凌駕するようなイメージを生みだす探求に、たかくらは自身の制作活動との重なりを見出した。

本展でたかくらは、機械と自然、メタバースと現実世界、AIと人間、合理と不合理といった、2つの異なる世界の和合を試みている。たかくらと米倉、2人の山梨県出身作家の共鳴から生まれる新しい作品世界をぜひ体感してほしい。

INFORMATION

LABONCHI 01. たかくらかずき「メカリアル」展

<LABONCHI 01. たかくらかずき「メカリアル」展>開催中|“仮想空間と現実の美術館”を舞台に展示 art230308_yamanashiart-museum-01

会期:2023年2月28日(火)~3月26(日)

休館日:3月6~13日、20日

会場:山梨県立美術館 ギャラリー・エコー(美術館エントランス)、芸術の森公園

開館時間 : 午前9:00~午後5:00(入館は午後4:30まで)

観覧料:無料

主催:山梨県立美術館 企画デザイン協力、VI制作:小田雄太(COMPOUND inc.)

協力:STYLY、株式会社サンエムカラー、株式会社ゴードー VR空間制作協力:haquxx

関連企画「これもメタバースでは?」展

編集協力:吉田山、原ちけい

【山梨県立美術館メタバースプロジェクト実施内容】

山梨県出身の現代美術作家たかくらかずき氏の仮想空間と現実世界とを連携させた新制作作品展示(「メカリアル」展)

県立美術館内にVR機器等を導入したメタバース体験コーナーの設置

たかくら氏のNFT付与作品を限定配布するNFTスタンプラリー(「NFT道祖神巡り」)

「メタバースとは何か」をテーマにしたミニ企画展(「これもメタバースでは?」展)

作家と協働した教育普及イベント(座談会、ワークショップ)

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