8月初旬より、京都最古の禅寺「建仁寺」を舞台に開催している注目のサウンドアートナイトイベント<ZEN NIGHT WALK KYOTO>。脳が“ととのう”をテーマとし、五感すべてにアプローチするような、⾳と静寂、光と影を楽しむさまざまなインスタレーション体験が用意されています。

堂内の禅宗をつかさどる本坊中庭「◯△□之庭」に仕掛けられた、Licaxxx制作のニューロミュージックによるサウンドアート。⽇本有数の枯⼭⽔「⼤雄苑」に夏の涼を感じる雲海が出現する光とミストのインスタレーション。そして、建仁寺の象徴でもある巨大な天井画「双⿓図(⼩泉淳作画伯)」と、現代美術家の脇⽥玲のデジタルアート『⿓⾬図』の異次元のコラボレーションなど、このイベントでのみ体験できる貴重な機会。

京都最古の禅寺「建仁寺」にて開催中、夜限定サウンドアート体験イベント。脳がととのう音楽と巨大インスタレーションなど必見|<ZEN NIGHT WALK KYOTO> 501129bfedc759ffc67f48d733b4689a

今回、9月22日まで開催がつづく本イベントの見どころと、イベント発案者や協力者である建仁寺、参加アーティスト陣のコメントをご紹介していきます。

1. なぜ建仁寺でアートイベント?
2. ニューロミュージックと異次元デジタルアートの実現
3. 参加アーティストから作品紹介
4. 見どころ総括

なぜ建仁寺でアートイベント?

京都最古の禅寺、国宝を多く有する建仁寺

<ZEN NIGHT WALK KYOTO>は建仁寺(英語表記:The Oldest Zen Temple Kenninji)の協力を得て実現。今回のイベント期間中、夜間の特別拝観として境内を開放しています。ここ建仁寺は、京都随一の繁華街である四条祇園の真ん中に位置し、約800年以上の歴史をもつ京都最古の禅寺。国宝である風神雷神図屏風や巨大天井図の双龍図など歴史と文化の宝庫として、国内外より京都に訪れる半数以上の観光客で人気の場所となっています。

建仁寺内務部⻑の浅野俊道さんより、本イベント実施への想い

お寺の本来の機能として仏教を広める、信仰を広める役目があります。それらは言葉だけじゃなく、仏教の教えや思想は、屏風や絵などで表現されているものも多いのです。アートや音楽と同じように、脳への問いかけ、心に響かせるというのは、それと重なることであると思いました。仏教、禅には「不立文字」「冷暖自知」という言葉があります。これらは、悟りには言葉だけではなく体験から伝える、体験することで自ずと知れることがあるーーこのような意味合いを持ち、アートや音楽の親和性と高いと感じています。このイベントのお話を受けた時、これらを具現化し伝えることができるのではと、ぜひこの機会に感じていただきたいです。

建仁寺内務部⻑・浅野俊道

京都最古の禅寺「建仁寺」にて開催中、夜限定サウンドアート体験イベント。脳がととのう音楽と巨大インスタレーションなど必見|<ZEN NIGHT WALK KYOTO> IMG_3105

ニューロミュージックと異次元デジタルアートの実現

本イベントにて注目すべきキーワードとして、脳が“ととのう”=「ニューロミュージック」。こんな音楽ジャンル、聞いたことない──と思われる方もいると思います。そんな方々のために、背景のストーリーを含めご紹介します。

脳科学的なアプローチで音楽と脳との関係を研究

本イベントは、心と体を整える次世代型ウェアラブル脳波型とニューロエンターテインメントサービスの開発を手掛ける企業VIE株式会社と、⽇本経済新聞社との共催で実施されています。

VIE代表の今村泰彦さんがまさに、<ZEN NIGHT WALK KYOTO>発案者です。

その背景に、今村さんは、自身が精神的にきつかった時期に坐禅と出会い、その時の体験を経て、脳科学とテクノロジーの会社「VIE株式会社」を立ち上げました。そして元々、今村さんもプロのジャズミュージシャンを目指していたこともあり、音楽と脳との関係性を脳科学的な視点で研究をはじめ、実際に音楽が脳波への影響を与えることを実証しました。そして、この研究に欠かせない人物として、音楽と脳波研究の第一人者であり音楽で脳をチューニングする「ニューロミュージック」の生みの親である、藤井進也さん(慶應義塾大学准教授兼VIE株式会社チーフミュージックオフィサー)もこのイベントの仕掛け人です。

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VIE代表今村さんより、脳が“ととのう”音と光の体験とは

サウナと水風呂での“整う”や、瞑想で脳が深くリラックスするときに「シータ波」が強まるのですが、実際に、シータ波を使った音楽を聴いたとき、脳計測の結果、“ととのう”状態になりやすいということが脳計測をして分かったのです。僕自身が建仁寺と非常に縁を感じ、ぜひこの場所で、脳が“ととのう”体験を実現したく、建仁寺さんに提案し実現できました。ニューロミュージックと歴史的な空間によるデジタルアート体験をしてもらえたら嬉しいです。この建仁寺のエントランス入ってすぐのところに、『大哉心乎』という言葉が飾られています。これは建仁寺の開山である栄西禅師の言葉なのですが、「なんと心は大きいのだ(大いなるかな心や)」、「心の大きさはみえないけれど、実は宇宙ほど大きいんだ」という意味合いがあります。自身では測れない、自分次第で変えられるということ。ぜひここでの体験を自分なりに向き合って、何か感じて見つけてもらいたいです。

VIE代表・今村泰彦

ニューロミュージック生みの親、藤井先生からの見どころ

お寺の入口から堂内には本当にたくさんの見どころがあります。今回のニューロミュージックではシータ波の周波数を使った楽曲を、Licaxxxさんに制作してもらっています。ニューロミュージックは脳神経科学と音楽を追求した研究。これは「問い」を深く追求していくことで根本化できるもの。今回も多くの作品がありますが、一片ではなく見る角度や、その人、心によって感じ方が違うと思います。今回の展示もすごく綿密に設計、追求されていると思います。

慶應義塾大学准教授兼VIE株式会社チーフミュージックオフィサー・藤井進也

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参加アーティストから作品紹介

Licaxxxが楽曲を提供、ニューロミュージック作品について

今回私は、堂内に入ってすぐの本坊中庭「◯△□之庭」という場所に楽曲を作りました。シータ波をかけた音楽となってまして、自分としてはアンビエントとして表現しています。私なりに「音でととのう」とは何か?を考えたり。そこで、音楽の楽しみ方って、観察するように聴くことの楽しさもあるなと。変化していないようでしていることへの気づき、アハ体験のような、観察するように聴くことを楽しんでもらえたら。楽曲が10分くらいの尺で構成されているので、いろいろな角度からも聴こえてくるものが違うと思いますし、ぜひゆっくりと堪能してもらえたら嬉しいです。

Licaxxx

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脇田玲さんより、展示のクライマックス「双龍図」との共演作品について

今回のイベントの「脳がととのう」について、脳波は今後民主化(自らが認知)していく、例えばセルフメディケーションへの活用やビジネス、自身のアイデアにも結び付けられる時代になるのかなと。ニューロミュージックはまさにその一つで、音楽を聴くということの、聴き方のアップデートだと思います。メタ認知が上がっていく体験というか。仏教としても考え、自身の心のアップデートになることに通づるとも思います。
展示作品について、前日まで作業を行うほど、双龍図で行ったことは壮大でえげつない作業でした。仏法の雨を降らせる龍に最新のコンピューターシミュレーションを使って、爆音を出させていただき、どんどん変わっていくところもあると思うので、対話もふくめ、ニューロミュージックとともに楽しんでもらいたいです。

現代美術家・脇田玲

見どころ総括

<ZEN NIGHT WALK KYOTO>へ訪れる方々にぜひお伝えしたいのは、国宝級の展示物がある堂内の空間を使った、非常に斬新かつ印象的なアート表現、インスタレーションを体験ができる夜の建仁寺は本当に神秘的であり、ジーンと脳に響くような、特別な感情と記憶が残ります。また、目に見えないところに数十台のスピーカーや照明が、すべて、脳が“ととのう”体験のために設計され配置されるなどこだわりは細部まで。たたずむ場所や角度で景色や耳に感じる音の変化も楽しいです。

<生誕100年記念展>も開催中

昼の時間帯(10:00-17:00)では、建仁寺法堂の巨大天井画「双龍図」を描いた日本画家・小泉淳作氏の生誕100年を記念した回顧展も実施されています。回顧展限定での展示物も多数、会期は9月23日までとなります。こちらもお見逃しなく。

Qetic編集部談

建仁寺の昼と夜の顔をフルで楽しむもよし、展示エリアでは写真撮影可能なスポットも多数!ですので、ぜひ会期中に身体全身で、脳が“ととのう”サウンドアートを体験していただきたいです。

<ZEN NIGHT WALK KYOTO>展示作品まとめ

「音回廊-ニューロミュージック」

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脳科学スタートアップVIEが開発する科学的に実証された脳をととのえる音楽「ニューロミュージック」を各所に配置。音楽を聴きながら回廊を巡り、アート・インスタレーションを拝観することでマインドフルな状態へ導きます。

「大雄苑-蒼海」

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日本を代表する枯山水「大雄苑」に、大規模な雲海が出現。夏の夜に、涼を感じ、ほのかな光と影に心奪われ、脳が“ととのう”ニューロミュージックを聴きながら、静かな時間をすごします。

「双龍図 – 脇田 玲 龍雨図」

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最新技術を使ったプロジェクションアート 建仁寺の象徴である小泉淳作「双龍図」に、現代アーティストであり、慶應大学の教授でもある脇田玲が、最新の流体シミュレーション技術を使ってエネルギーの流れを可視化するプロジェクションアートの共演。仏法の守護神である龍のエネルギーを感じる体験をお楽しみいただけます。

Licaxxx制作楽曲を配信

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<ZEN NIGHT WALK KYOTO>に提供した楽曲は、ニューロミュージック配信アプリ「VIE Tunes」にてコラボ楽曲を無料配信予定だ。

JR東海プランも

今回、JR東海では、「京都がくれる癒し」をテーマにキャンペーン連動した期間限定の特別プランを⽤意。キャンペーンに連動したEX特別席&観覧券プランでは、通常⽴ち⼊る事ができない部屋(⽅丈)に設置したEX特別席(畳、座布団)も。プラン申込者限定貸切鑑賞や休憩スペースを利⽤できる、ぜひチェックいただきたい。

詳細はこちら

Text&Edit by Asami Shishido

EVENT INFORMATION

ZEN NIGHT WALK KYOTO

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2024年8⽉2⽇ – 2024年9⽉22⽇※⼀部⽇程については、販売を実施しておりません。
19:00-21:30(受付締切21:00)
チケット価格:⼤⼈ 2,200円(税込)、⼩⼈(12才以下)1,100円(税込)
場所:大本⼭建仁寺
主催:VIE、⽇本経済新聞社
特別協⼒:⼤本⼭建仁寺
後援:京都市観光協会
協⼒:東海旅客鉄道 、d&b audiotechnik、いけうち、カンバス、⼀般社団法⼈MUTEK、ETERNAL Art Space
詳細はこちら VIE Tunes

生誕100年記念展

場所:建仁寺
会期:~9月23日(月)まで
開場時間:10:00〜17:00
詳細はこちら