宮崎出身1999年生まれのラッパー/トラックメーカー・クボタカイ。幅広いジャンルに影響を受けて生み出されているトラックや、独特なリリックが若者を中心に支持されている新世代アーティストだ。本企画はクボタカイが今話したい人と、本人同士のQ&Aによる連載コラム。前回の崎山蒼志編では、アーティストならではの音楽トークが展開した。多様なジャンルに影響を受けたクボタカイによる、Qeticオリジナル企画『クボタカイの合縁奇縁(あいえんきえん)』で不思議な縁を繋いでいく!
今回は小説家/ライターのカツセマサヒコが登場!
カツセマサヒコさんの小説に感銘を受けたというクボタカイが気になっていることとは!?
以前、作品『明け方の若者たち』を読んで感銘を受けて、お話ししたいと思いました。
今の若者をしっかりと捉えている生々しさに胸が打たれました!
クボタカイ
好きな音楽について
Q. 好きな音楽は何ですか? 作中にキリンジの“エイリアンズ”などの音楽が要所で出てきていたので、カツセさんの好きな音楽が気になりました……。
クボタカイ
A.はじめに好きになったアーティストはMr.Childrenでした。それ以降も邦楽ロックを中心に聴いていて、くるり、クラムボン、クリープハイプ、マカロニえんぴつ、RADWIMPS、MOROHA、My hair is bad、フレンズ、きのこ帝国、indigo la End、LUCKY TAPES、YOASOBIなどが好きです。最近はコロナの影響で部屋に篭ることも増えたので、クボタさんの“ベッドタイムキャンディー2号”から入って、サブスクでリコメンドされて知ったRin音、さとうもか、asmi、dodo、ぜったくんなどを聴いていました。
カツセマサヒコ
作詞について
Q.作詞はされないんですか? 素敵な小説を書かれているので、歌詞という表現でもぜひ見てみたいです。
A.作詞のお仕事も、稀にいただくことがあります。でも、本当に難しいですね。練習したいです。
オススメの小説
Q.最近僕もいろんな本を読むようになったのですが、小説家カツセマサヒコさんのオススメは是非読みたいです!!
A.僕の本を小説の入り口にしてくれる人がいると、とても嬉しいです。最近は、李龍徳『死にたくなったら電話して』、一木けい『1ミリの後悔もない、はずがない』、伊坂幸太郎『重力ピエロ』、山﨑ナオコーラ『人のセックスを笑うな』、佐藤泰志『きみの鳥はうたえる』などを推しています。
20代について
Q.どんな20代を過ごされましたか?
A.27歳からライターになるのですが、それまでは会社の愚痴を言いながら酒ばかり飲んでいる人間でした。交友関係を一番に生きていたので、教養も知識もないですし、退屈な若者だったと思います。
執筆時に心がけていること
Q.僕も物書きに少し興味あります……! 小説を書くときに一番心がけてることは何ですか?
A.一番は、描写が単なる説明になっていないか。あとは、比喩が過剰ではないか。会話が単調になっていないか。キャラクターは生きているか。などを心がけています。いろんな本を読んでは書いて、勉強するしかないのかな、とよく落ち込んでいます。
━━カツセマサヒコさんからのクボタカイさんへの印象
日本語が好きなんだろうな、と、どの曲を聴いても思わされます。身近にあるものの捉え方が詩的で、クボタさんのフィルターを通して見えている景色はどんなものなのか、いつも気になります。
歌詞のアイディア
Q.歌詞のアイデアや種は、普段どのようにストックしていますか? それともストックなどはせずに、その場で思いつくように書いていますか?
カツセマサヒコ
A.僕はTwitterの裏アカに投稿して貯めてます。小さなアイデアを貯めるにはメモ帳よりも見やすくて良いんですよ! たまにいいねがくると「やっぱそれ良いよね」ってニヤついてます(笑)。
クボタカイ
新しい音楽との出会い方
Q.新しい音楽との出会いについて、普段からどのようにアンテナを張っていますか?
A.音楽はYouTubeの関連やSpotifyのプレイリストから知ることが多いです。色んなジャンルを聴きますが、興味が向くまま聴いてるので変なジャンルに辿り着いてることもしばしば。最近このポップやばい! と思ったのはマカロニえんぴつさん。勉強部活も出来るのに人懐っこくて憎めない友達みたいな無敵感。これが今の王道だー! って思いました。
気に入っている自分の歌詞
Q.自分の歌詞で一番気に入っているフレーズと、その理由を聞いてみたいです!
A.一番っていうと難しいですね。あえて挙げるなら、“僕が死んでしまっても”の《心配はしないでね、惨めになるから音楽も言葉も暗い底には届かない》
とか。詩的な表現は沢山あって、これからも増えていくと思うんですが、この二文は唯一素直に書けた文章かなと思うので。
━━カツセマサヒコさんと交流をしてみて
何かの縁でTwitter相互フォローになり、カツセさん著『明け方の若者たち』を購読し、今こうして対談出来ること、不思議に感じます。一番印象に残ったのは「どんな20代でしたか?」の答えです。その答えがカツセさんの詩感に表れてるというか、『明け方の若者たち』と重なる部分があって個人的にはグッときました。聴かれている音楽も僕と近いものが多くて、その肌感覚を構成してる音も感性に刺さる音で納得しました。仰る通り僕も日本語が好きで、詞でもあり詩でもある文章を目指してます。カツセさんの本や、カツセさんから教わった本で勉強していい歌作ります! 作るぞー!
アーティストと小説家という異なるジャンルながら、
二人の共通点が飛び交った内容に。
次回はどなたと縁を繋ぐのでしょうか? ぜひお楽しみに!
PROFILE
クボタカイ
宮崎出身在住1999年生まれ。
ラッパー/シンガーソングライター。2017年よりフリースタイルラップ、楽曲制作を開始。Hip-Hop、R&B、RockからPopsまで幅広い音楽と文学の香りを感じさせるリリックで注目を集める中2019年3月に自主制作EP盤「305」を販売するが即完売し話題となる。リスナーであった石川陸監督よりオファーをうけmoosiclab2019にて映画主題歌に抜擢。フリースタイルラップでも頭角を現しており、NHK番組「# ジューダイ」のラップ企画にてラップ歴3ヶ月での優勝や国内最大級のMCバトル「KING OF KINGS」西日本選抜、またその他の大会でも数々の好成績を残す。2019年12月デビューEP「明星」をリリース。
収録曲「ベッドタイムキャンディー2号」「せいかつ」「TWICE」のMVが話題となり、各種チャートにランクイン。福岡Kieth Flack、渋谷VUIENOSで行われたリリースパーティは即時完売となり大盛況を収めた。2020年2月シングル「パジャマ記念日 feat. kojikoji」リリース。
3月に連続リリースした「春に微熱」のリリックビデオYouTube再生数は250万回再生を突破した。2020年12月、自身の作品としては約9ヶ月ぶりとなるシングル「MENOU」リリースを皮切りに、2021年1月「MIDNIGHT DANCING」、2月「Youth love」と立て続けにリリースを重ね、 2021年4月7日には初のフルアルバム「来光」 をリリース。
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カツセマサヒコ
小説家/ライター
1986年、東京都生まれ。大学を卒業後、一般企業勤務を経て、2014年よりWebライターとして活動を開始。デビュー小説『明け方の若者たち』(幻冬舎)がベストセラーとなり、北村匠海主演で映画化を控えている。他の仕事に東京FM『NIGHT DIVER』パーソナリティや女性誌でのエッセイ連載など。今夏、ロックバンドindigo la Endとのコラボレーション作品となる自身二作目の小説『夜行秘密』を双葉社から刊行予定。
INFORMATION
来光
2021年4月7日(水)
DDCB-14076 ¥3,000(tax incl.)
クボタカイ
収録曲
M1.僕が死んでしまっても
M2.MENOU
M3.ベッドタイムキャンディー2号
M4.MIDNIGHT DANCING
M5.TWICE
M6.春に微熱
M7.博多駅は雨
M8.インサイダー
M9.パジャマ記念日feat.kojikoji
M10.Youth love
M11.拝啓(Freestyle)
M12.せいかつ
M13.アフターパーティー