長く続くコロナ禍でおうちで過ごす時間も増え、模様替えのためにインテリアや気分が晴れやかになるような日用品を買い揃える方も多いのではないでしょうか? そんな中、インスピレーションを与えてくれたり、部屋に彩りを与えてくれるアートブックに対する関心も高まっています。そこで、デジタルでは感じえない手触りや質感まで、こだわりが詰まっているアートブックを、Qetic編集部がピックアップして紹介します! 今回は『The City and All It Holds』/Roni Ahn 他4冊をセレクト!
『The City and All It Holds』/Roni Ahn
ロンドンと香港を拠点に活動する写真家、ロニ・アーン(Roni Ahn)による作品集です。本書は新型コロナウイルスのパンデミック後に彼女の故郷である香港に戻り、現地の若者たちを撮影した写真を収録しています。
身近な人や場所との繋がりにフォーカスしている本書は、社会的距離や孤独が重要視されている現代にとって、物理的ではない距離感というものを改めて考えるきっかけを与えてくれる作品に。被写体となる人々の関係など物語性を感じさせる編集や、カラフルながらビビッドになりすぎない独特な色彩バランスにも注目です。
INFORMATION
¥6,930(tax incl.)
276 × 223 mm
ハードカバー 84ページ
掲載協力・写真提供:shashasha/写々者
日本とアジアの写真を世界中の人々へより広めることを目的とし、2012年に設立されたオンラインフォトブックコレクション・shashasha/写々者。希少価値の高い廃版となっているものから現代的なものまで、日本とアジアの写真の繋がりを促進するプラットフォームを提供している。
『SPEAK THE WIND』/Hoda Afshar
イラン人フォトグラファー、ホダ・アフシャール(Hoda Afshar)の作品集。イランとオマーンに挟まれたホルムズ海峡の島々では、風が人に憑りつき病や疫病を運んでくると信じられているそうです。この考え方は、アフリカの国々でも同じような言い伝えがあることから、アラブ人の奴隷貿易が関係があると考えられています。
本書は、風が島々やその住人に残した痕跡をベースとした作品となっています。自然の神秘を感じる風景やそこに住む人々と彼らの儀式を、作者の鋭敏な感覚と深い洞察で捉えている写真は、見ているだけで思わず息を呑むほど。布がなびいているさまや、波、木々など、目に見えない動的な「風」を、静的な「写真」に記録しようと様々な角度から試みている点も印象的な一作となっています。
INFORMATION
¥7,150 (tax incl.)
220 x 265 mm
ソフトカバー 168ページ
MACK
掲載協力・写真提供:twelvebooks
『TRANSPARENCIES: SMALL CAMERA WORKS 1971-1979』/Stephen Shore
20世紀後期から21世紀初期に活躍した最も影響力のあると謳われる写真家の一人、アメリカ人フォトグラファー、スティーブン・ショア(Stephen Shore)の作品集です。本書は、代表作となった『Uncommon Places』(1982年刊)制作時にコダクロームで撮影されていた作品シリーズのフィルムが見つかったことから、初めて写真集化されることになったもの。
35mmのライカでスティーブン・ショアが切り取ったアメリカの原風景は、独特な雰囲気と同時になんでもない日常の空気感があります。そんな彼の旅の記録を眺めていると、まるで自分もそこにいたかのような不思議な感覚を抱いてしまうほど、のめり込んでしまいます。
さらに本書には、ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)のキュレーター、ブリット・サルヴェセンの書き下ろしエッセイ「Ordinary Speech: The Vernacular in Stephen Shore’s Early 35mm Photography」も収録。旅に出かけることが難しい今にぴったりの本書で、アメリカを感じてみてはいかがでしょうか。
INFORMATION
¥9,350 (tax incl.)
300 x 310 mm
ハードカバー 192ページ
MACK
掲載協力・写真提供:twelvebooks
『NEW YORK LIVING ROOMS』/Dominique Nabokov
アメリカとフランスを拠点に活動するフォトグラファー、ドミニク・ナバコフ(Dominique Nabokov)の作品集。1995年に「New Yorker」誌にフォトエッセイとして掲載されていた本シリーズは、作家のスーザン・ソンタグ(Susan Sontag)、アーティストのルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois)やフランチェスコ・クレメンテ(Francesco Clemente)、詩人のアレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg)など、ニューヨーカーの中でも伝説的なラインナップの居住空間を、親密さも交えながらありのままの形で写し出した写真集です。
特段手を加えず演出も足さない写真について、作者はインテリア「ポートレイト」と呼び、贅沢で派手な部屋もあれば、必要最低限のものしか置かれていない部屋も紹介されているのが本書の特長。長らく絶版となっていた本作は、作者によって撮影されたオリジナルのポラロイド写真と、初版にも掲載されたイギリス人詩人のジェームズ・フェントン(James Fenton)による序文も収録されています。復刻となったこの機会に、偉人たちが住んでいたありのままの部屋をぜひ覗いてみてください。
INFORMATION
¥7,150 (tax incl.)
240 x 285 mm
ハードカバー 116ページ
APARTAMENTO
掲載協力・写真提供:twelvebooks
『THUJORD』/Ola Rindal
日本の雑誌でもファッション写真を手がけるなど、日本とも馴染みの深いノルウェー人のフォトグラファー、オラ・リンダル(Ola Rindal)の作品集です。本作のタイトル「Thujord(トゥヨール)」は、彼いわく二つの草原を意味する言葉であり、彼が生まれ育った農園も示唆するものなのだとか。ノルウェーの冬はかなり暗く、光が射すのは1日の内にたった1時間ほど。本作に閉じ込められている光は、ノルウェーに住む人々にとって非常に貴重な陽の光とも言えるでしょう。
暗闇の中の照明の光や、束の間の日光など、カメラが捉えた光の写真からは温度さえ感じます。ミニマムな装丁ながら、ページにレイアウトされた余白は、写真がより洗練される効果を出しており、写真の力強さを際立たせています。
INFORMATION
¥7,150(tax incl.)
250 × 325mm
ハードカバー 64ページ
SELF PUBLISHING
掲載協力・写真提供:掲載協力・写真提供:T-SITE SHOPPING 代官山 蔦屋書店
※実店舗・ECサイト、共に購入可能です。