アートブックノススメ：はなまる整骨院 中野浩樹院長 – 『DAWN』

Qetic編集部が気になるあの人の本棚から、オススメの一冊を紹介してもらうオリジナルコラム企画『アートブックノススメ』。これまでにも多くのアーティストやクリエイターが愛読書を紹介してくれました。

話題の文庫本から写真集、マンガに純文学まで……。リアルな本棚の写真と共に、アーティストやクリエイターのルーツやインスピレーションの源を垣間見れるような連載となっています。あなたの生活にひとさじの彩りを与えてくれる、そんなすてきな一冊に出会えるかも。

今回は、経堂のローカルスポットはなまる整骨院から、中野浩樹院長が『DAWN』をピックアップ。日本語ラップやハードコアが大好きという中野院長が、カルチャー愛が見事に反映された院内の本棚について熱く語ってくれました。

はなまる整骨院 院長 中野浩樹 – 『DAWN』

まずは、はなまるの本棚についてご紹介します。医院の漫画たちはすべて、80年代後半から90年代前半ーー自分が小学生、中学生の時に読んでいたものです。高校からは漫画をほとんど読まなくなり、ファッション雑誌に夢中になっていきます。

自分は歯医者や病院に行くと、怖くて不安になります。しかし、そんな時に名前を知っていたり、読んだことのある漫画があると不安が消えるという経験から、昭和から平成の王道漫画を置くことにしました。初めて来る患者さんが少しでも不安を解消してくれたら…と思います。また、今は若い子達が「知ってるけど読んだことない。」という意見も多いので、古き良き漫画を知ってもらえたら嬉しいです。

ZINEや小説、雑誌たちは私物の一部です。ZINEという個人が作る小さな情報誌が好きだったり。ストリートや聴いてる音楽、行った国の雑誌や小説はファッション雑誌を読むことの延長です。雑誌やZINEは、ストリートカルチャーを知る人にとっては楽しいだろうし、それを全く知らない、おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃん達が手にとって読んでくれてるのを僕が見て、心が和んで勝手に癒されてます（笑）。

今回おすすめしたい『DAWN』というZINEは、まさに「社会派ストリートカルチャー」ーーDJ DARUMA氏の、この言葉をお借りするのが一番ピンときます。この一言に尽きると思います。読んでてヴァイブスを感じるのと同時に勉強にもなり、とても考えさせられます。

20年以上前から説法のように聴き込んだTHA BLUE HERBのメンバーILL-BOSSTINOのインタビューページ「積み重ねが生んだ哲学とストイシズムの源泉」はパンチライン過ぎてしびれまくりですし、志人の現在がハンパねー！とか。

苦しい時代も諦めずに続けてきた人たちの言葉は、未来を照らしてくれます。そんなMagazineです。何度も読み返すことになるでしょう。

「はなまる整骨院とは一体なんなんだ？」と思われる方が多くいらっしゃいます。友達は皆、気づいてるのですが「はなまる」は「ナカノコウキ」なんです。
人間の身体にドップリとハマってしまった、ただのローカル整骨院なのですが、その側面に僕が過ごしてきた学生時代やストリートがなければ、はなまる整骨院は存在してなかったので（ココは経緯が長いので割愛します）あの待合室にいるだけで、「はなまるは何者か？」という問いについて、少しでも答えられる空間になっています（なってしまいました。が正しい表現かと（笑））。

待合室を含めた丸ごと、はなまるを通して整体、マッサージや鍼を、堅くならずにラフに。でもコアにタイトに楽しんでもらえたら嬉しいなと思ってます。

『DAWN』アートブックノススメ