Qeticでは『アートブックノススメ』として、毎月編集部がピックアップしたアートブックを紹介しています。
今回は特別版として、アーティストやクリエイターがオススメする書籍をご紹介! アーティストたちの本棚にはどんな本が並んでいるのか、中でもオススメの一冊とは!? リアルな本棚の写真や、お気に入り書籍の紹介コメントも。2022年に入り、新たなインスピレーションを与えてくれる一冊をぜひ見つけてほしい!
今回は、東京を拠点に活動する4人組のDJコレクティブCYKのメンバーでもある竹林ナオキが『村上ラヂオ』/村上春樹をピックアップ!
竹林ナオキ(CYK)-『村上ラヂオ』
コロナ禍になる前は、ありがたい事にCYKとして国内外いろんな場所に呼んでいただいていたので、飛行機や新幹線での移動が多かった。
現代のスマートな人はきっとタブレットやスマホ1台でいくらでも時間は潰せるんだろうけど、僕は村上春樹さんの『村上ラヂオ』をタブレットの代わりにいつもカバンに忍ばしていた。
これは、雑誌「an・an」で村上春樹さんが連載していたエッセイをまとめたもので、これまでに3巻まで出版されています。
村上春樹さんのこれまでの国内外での出来事や、普段の生活について疑問に思った事等が書かれており、世間がイメージする“村上春樹”とは少し違った姿が見れます。(それを興味深く思えるような「an・an」の女性読者がたくさんいたとは考えづらいですが)
僕は日常的に本(特に小説)を読むような人間ではないので、全国の“ハルキスト”の人には申し上げにくいのですが、村上春樹さんのエッセイを紹介しておきながら実は村上さんの小説はデビュー作の『風の歌を聴け』しか読んだことがありません。(これも小説としては比較的文章量が少なく読みやすい作品だとは思いますが、読み切るのに1週間ぐらいかかりました)
もちろん村上春樹さんが素晴らしい小説家だという事は理解しているのですが、このエッセイはのんびりとした雰囲気の中で、村上さんも我々庶民と同じじゃないかと思わせながらも不意に核心をついてくるエピソードが多く、(村上さんに対して非常に申し訳ない表現となりますが)良い時間の潰し方が出来ます。
ちなみに、普段からよく音楽を聴きながら料理をするという村上春樹さんが、きんぴらごぼうを作る時にどんな音楽を聴いているのかについて書いているエピソードが、僕は好きです。
またこのエッセイ集を移動のお供に、様々な場所に呼んでもらえるような日々が早く戻ってきてほしいものです。
INFORMATION
竹林ナオキ(CYK)
ハウス・ミュージック・コレクティヴ、CYKのメンバー。
2月5日(土)にclub GOODWEATHERにてパーティーが開催される。その他CYKの情報等詳しくはインスタグラムをチェック。