かつて「ビースト」と呼ばれ、格闘家として活躍。さらにバラエティー番組やテレビCMなどにも出演し、大きなアイコンとなったボブ・サップ。彼は今も度々日本に訪れており、CMなどに登場している。
最近の活躍としては、+WEEDのウェブCMに出演。これまでにないリラックスした表情を魅せている。
+WEED|吸うCBD「ジム篇」:ボブ・サップ【公式】
また、昨年4月にはEBISU BATICAというライブハウス/クラブにボブ・サップが来店。その目撃情報がSNSを賑やすことになる。そして目撃情報から辿って行くと、どうやら現在、ボブ・サップは昆虫食に没入しているとの噂を聞きつけた。
話を伺いに行くと、昆虫食の話はもちろんのこと、TVでは知ることができなかった一面が明らかに。本記事では、教授のように語り、子供のように笑う姿が印象的だった彼のインタビューをお届けする。
INTERVIEW:ボブ・サップ
──どのくらいの頻度で日本に来ているんですが?
2ヶ月に一度くらい来日していて、毎回一週間くらい滞在しているよ。今回は+WEEDのCMを撮ったんだ。
──日本ではどのように過ごしていますか?
食でいうと、「すしざむらい」はよく行くよ。週に何回も行くいくこともある(笑)。イカや海老、ツナ、ユッケ、トロ、すべて素晴らしい。あとは焼肉や馬肉かな……。馬肉のあるお店は見つけるのが少し難しいんだ。あとは友人と外に出たりしてるね。六本木や銀座に行ったり、クラブで遊んだりしてる。でも、日本ではあまりできることが多くないんだ。
音楽はヒップホップやダンスミュージックが好きだよ。リラックスして音楽を楽しめるクラブに行くことが多いかな。クラブはどんなダンスが流行っているのかとか、知らなかった音楽を知る機会にもなる。クラブのセッティングも観察してるよ。
──EBISU BATICAという小さなクラブにいたことがSNSで話題になりましたよね。
友人が誘ってくれたんだ。ステージではDr.Takasu(高須克弥|高須クリニック院長)にシャウトを送ったりしたよ。楽しかった。
高須クリニック スッピンCM ボブサップ篇#1
──アメリカではどのような生活を送っているんですか?
アメリカの生活について話すと、家にはテレビもない。外出して遊ぶこともない。毎日勉強している。だから日本に来たら少し羽を伸ばして、新しい情報に触れる。情報に触れるのは、僕にとってある意味「仕事」に近いことが多い。例えばTVでスポーツを観るのは仕事に感じてしまうからやめた。映画を観るにしても、どこか「仕事」に感じてしまうんだ。自分が関わっていたことから離れないと、それは「仕事」だと捉えてしまう。それだと情報過多で疲れてしまうよね。一方で、アドベンチャー系のビデオゲームをやることは仕事だとは思わない。それに家で勉強するもよし、動物と戯れることもよし、昆虫の料理を習うのもそれの一つだ。
──なぜ昆虫食に注目することになったのでしょうか?
アジア圏内には長いこと住んでいるし、昆虫を食べる文化も知っていた。でもそれがビジネスになるということは知らなかったんだ。例えばタイでは昆虫を食べることは有名な文化の一つで、かなり盛んなことだよ。まだ制作途中なんだけど、宣伝映像も作っているんだ。僕の友達のMikeがラップしていたり……。いつか昆虫食の料理番組をやって、世界中に広めるビジネスをやりたいな。
──最初に昆虫食を試した時はどのような感想でしたか?
例えば甲殻類にアレルギーがある人は、控えた方が良いかもしれなかったり、その辺はクリアにしなければなと考えてるよ。僕はアレルギーはなかった。
あと、とにかく美味しくなかったら、いくら栄養があれど意味がないよね(笑)。だから楽しめて、美味しい昆虫食を考えていきたい。そこから新しい食体験につながり、新たな文化や価値観が開けると信じているよ。
──また、環境問題にも積極的に取り組んでいらっしゃるとお伺いいたしました。現在、アフリカで活動されていると。
アフリカで井戸や水資源の無い市域でその環境を整えることがの重要性は分かるよね。それで浄水器などを現地に調達して、学校や必要な施設で整備している。実際、日本も含め世界中でこのような活動を行ってきたけど、アフリカはまだ行ったことがなかったんだ。それでアフリカに向かったら、子供達が快く受け入れてくれた。もちろん素晴らしい経験だったし、それでアフリカに足を運ぶことに決めたんだ。次はルワンダに行く予定だよ。
でもアフリカではかなり大変なこともあった。友人が誘拐されたり、まるで映画のようなことが起こったんだ。他国にいるときも、常にスマートでなければならないことを学んだ。
Bob Sapp Dancing with the Kids in Africa Charity
──なぜ環境問題に興味を持ったのでしょうか?
新しい世代のために常に問うていくことで、自分に何ができるか、そして何をすべきなのか考えているんだ。僕は大きなアイコンであることも理解しているから、それを生かして何かをしたい。
あと、僕は今の世代の人じゃないんだ。例えばラップを聴くとしても、ドラッグの売人が大きなテーマだったのに、今は売ることじゃなくてハイになることがトピックになってる。そういうラップはあまり聴いたことがなかったんだ。奇妙なことだとも思う。でもそれは革命的な出来事であり、(ラップが)その時代に適応していく様は新鮮で驚きがある。僕もそれと同じことをしていかなければいけない。
──他に予定のあるプロジェクトなどはありますか?
衣食住の中では、「住」の部分で、リサイクルなどゴミをいかに処理するかを解決するかを考えていきたいな。あとは昆虫食をエンターテイメントにすること。
──様々なキャリアで深めてきた知識を活用しながら新しいプロジェクトに挑んでいくボブさんが、これまで得た知見について教えてください。
自分自身で制限しないことかな。どんなルールがあり、何を信じているか、自分を縛っていることを再考すると、自分自身をどれだけ制限しているのかが分かるはずさ。
他人から「彼はあの試合に負けた」と言われるかもしれない。でもカレッジフットボールからNFL、さらにハリウッドの映画に出て、世界中を旅している。誰もできない経験をしていると思う。試合に負けても死んでいなければ“勝ち”でもあるんだ。
──情報過多の世界で、何が正しいのか分からないことが多くなっています。お話を聞いていて、あなたは常に自分のことを信じて行動に移しており、その自信が伝わってきました。
その根拠や責任は常に自分にある。自分がボスで、自分が何をするのかを決める。睡眠時間から学習時間を管理する。僕は毎日を週末のように過ごすこともできるし、24時間働き続けることもできる。つまり自分の活動にもあらゆる制限を外すことだ。「80歳になったら億万長者になれる」なんて話よりも、僕はもっと冒険して生きていきたい。
Photo by Yohji Uchida
Interview by BULLSEYE