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インタビュー:テンテンコ 12月14日、遂に待望となるファーストミニアルバム「工業製品」がリリースされた。「工業製品」という無機質なタイトルにも関わらず、そこに宿る魂、流れる血の鮮やかなアンビバレンスを感じる所以に全曲作詞を本人が手掛けているというのが大きいのだろう。全編に通じて垣間見える彼女の迷い、願い、そして遊び。あまり重層的な作品だったので、先日偶然お会いした時に簡単にお話を聞かせていただいた。

2014年、BiS解散と共に特定の事務所との契約を結ばず、フリーランスとして活動をしてきたテンテンコ。シングル「Good bye,Good girl.」のリリース、非常階段美川氏とのノイズユニットMikaTen結成、またDJとして全国各地を巡り、DOMMUNEにて5時間DJを決行するなど常に自分のクリエイティビティに素直に多彩な活動を行ってきた彼女が突如メジャーレーベルであるトイズファクトリー/MIYA TERRACEとマネージメント契約を発表。各界を賑わす中、12月14日、遂に待望となるファーストミニアルバム「工業製品」がリリースされた。

いやこのミニアルバムが本当に、凄まじいことになっていて個人的に畏敬の念さえ抱いてしまう濃度、密度、温度で、これでミニアルバムって、じゃあフルアルバムは一体全体どうなっちゃうのよ~!!!!
と思わず叫んでしまう快作ならぬ怪作に仕上がっている。

どこが凄いのかと早速紐解いていくとして、まずは幕開けとなる1曲目「くるま」を聞いてもらいたい。
 

「くるま」

明らかにただならぬ世界に踏み入れたことを一聴した瞬間に、全細胞が瞬時に反応してしまうこと間違いなし。
それもそのはず。この全文字平仮名の優しい印象を与えるオープニング曲にはなんと、日本が世界に誇る∈Y∋(BOREDOMS)(!!!!)がプロデューサーとして参加しているではないか!!!

まさに極上のノイズ系インダストリアル・テクノポップ!!
拒絶か快楽か。こんな幕開けをメジャーデビュー作でする元アイドルがどこにいますか!!

合コンでいうと絶対共感されづらいようなこともテンテンコと∈Y∋(BOREDOMS)がやると一発で黙らす圧倒的説得力の問答無用ソングとなる魔法のポップス像が展開される。

いや本当にメロディに集中して聞くと物凄く子供と一緒に歌いたくなるようなメロディ、ノイズとビートを集中して聞くと爆音でぶっとばされたい4DX感満載の化学反応具合が凄い。
※ちなみにもっとメロディを聴きたいよーっていう人向けに5曲目の「くるま ~助手席school~」も用意されているから口ずさみたいときは5曲目、浴びたい時は1曲目を聞けばOKというリバーシブル機能あり。

そして続く2曲目にはヒップホップ界からillicit tsuboiをプロデューサーに招いた疾走感溢れる異色の青春学園ソング!
この楽曲に、この詞世界をのせちゃうあたり非凡の才能を感じてしまう。
 

/ 放課後シンパシー

レコーディングはトーク4時間、実質作業2時間というスリリングさも相まったのか、青春時代の機微を熱量を持ってそのまま梱包!!
ストーリーテラーとして情景描写が巧みな一面も披露している。勢いそのままになだれ込む3曲目の「次郎」を聞く頃にはマインドトリップが始まり出します。人によってはもはや麻痺、または超人気漫画の刃牙でいうエンドルフィンとも言えるかもしれない。
 

テンテンコ / 次郎

南米コロンビア地域に伝統的に伝わるクンビアを用いて、この世界観。
PAN PACIFIC PLAYA(PPP)所属のスティールギタリスト、JINTANAによるこの曲のぶっ飛び具合が本当に秀逸、白眉でして、一度聞いてみようものなら空気感染すること必至。
いかなるサスペンス好き、音楽好きでもこの展開を予測できるはずがない。
 

【インタビュー:テンテンコ】2016年型ポップスここに極めり。テンテンコ集大成にして通過点「工業製品」を体感せよ。

もはや開いた口が塞がらない唯一無二なストーリーを紡ぐアルバム。そしてここから「工業製品」は急展開を見せる。
4人目のYMOとしても呼ばれた松武秀樹によるソロプロジェクト、LOGIC SYSTEMがプロデューサーとして参加。アルバムの中の感動シーンとなる「星の電車」で我々を宇宙旅行へと誘う。

ここまで日本が誇る魑魅魍魎(偉大なアーティストたち)を招き、万華鏡のように様々な情景が点描される本作。
「工業製品」という無機質なタイトルにも関わらず、そこに宿る魂、流れる血の鮮やかなアンビバレンスを感じる所以に全曲作詞を本人が手掛けているというのが大きいのだろう。全編に通じて垣間見える彼女の迷い、願い、そして遊び。

あまり重層的な作品だったので、先日偶然お会いした時に簡単にお話を聞かせていただいた。
 

:テンテンコ

【インタビュー:テンテンコ】2016年型ポップスここに極めり。テンテンコ集大成にして通過点「工業製品」を体感せよ。
 

Q.今作(工業製品)のコンセプトを教えて下さい。
テンテンコ:テンテンコのいろんな引き出しを見つけてもらいたくて沢山の方に協力頂きました。
一曲ごとに一緒に作ってる方が違います。

Q.今作を制作する上で印象深いエピソード等はありますか?
テンテンコ:旅人さんと野毛の焼肉屋さんに行ったこと。何があったかは秘密。

Q.「次郎」という曲が非常に印象的でした。「Good bye, Good girl.」もそうですが..テンテンコさんの歌は歌詞が非常に物語性が強くて非常に面白いです。歌詞を書く上で意識している事はありますか? また書いてる場所や時間帯などなど傾向などありますか?
テンテンコ:ストーリー仕立てにすること。夜が多いです。

Q.長尾謙一郎さんとお会いしてどんなかたでしたか?
テンテンコ:芸術家で学者でした。

Q.「次郎」「くるま」「放課後シンパシー」とPVが3本発表されておりますが、PVの制作で印象深いエピソードはございますか?
テンテンコ:長尾さんとPVの打ち合わせと称して焼肉屋さんに行ったこと。とてもいい焼肉屋さんに行きました。何があったかは秘密。

Q.また、ネタの部分でテンテンコさんもアイディアは出されるのですか?
テンテンコ:私がやりたいことも沢山話して組み入れてくれてます。特にくるまと次郎はそうですね。
くるまは車に乗ってるシーンが欲しかった。で、明らかにスタジオで撮ってる風なシーンにしたかったです。
次郎は現実味が無いPVにして欲しい、子供向けにとお願いしました。

Q.日本全国を予約会で回られたという事で、印象深いエピソード等はありますか?
テンテンコ:全部!一箇所一箇所全てお客さんが来てくれてたことが本当に感動的…
まじかって感じ。感謝。

Q.最後にトイズファクトリーと契約→リリースと慌ただしい一年間だったと思いますがテンテンコさんにとってどんな1年でしたか?
テンテンコ:慌ただしい一年!笑
ありがたいな~嬉しいなって思うこともたっっくさんありました!
来年も宜しくお願い申し上げます!
 
【インタビュー:テンテンコ】2016年型ポップスここに極めり。テンテンコ集大成にして通過点「工業製品」を体感せよ。

本当はここに書ききれないくらいの面白いエピソードが大量にありましたが、文字で私が書くよりも。彼女のこれからの活動がそれを体現してゆくはず。

いよいよクライマックスへ近づいていく本作、6曲目には80年代的歌謡曲の名曲として2014年にリリースされた「Good bye,Good girl」が収録。この曲群に等列で収録されることで新たな輝きを放っている。
そして最終曲、「流氷のこども」では見事な終わり方を迎える。
ハードルが上がる一方、一体どうやって終わるのよこのアルバムは!という感性のジェットコースターぶりに完全ナチュラルハイという中、イントロが流れた瞬間に北国へとワープされる。

もともと北海道出身であるテンテンコ。冬の間には流氷に乗って動物たちが海を渡ってくる情景を幼少期に何度も目撃していた様子をしっかりと覚えていたようで、今回あの孤高の七尾旅人と共同作業をするにあたり、自らのルーツも交えたストーリーテリングを展開。映画のようなドラマチックさを持って、静かに本作は終わる。
その圧倒的余韻はこの季節にドンピシャだし、テンテンコというアーティストの底知れぬクリエイティビティに感嘆しっぱなしで放心状態となる。
しかしかつてない満腹感に、今夜はすごい夢が見れそうだなと、独り言をしてしまった。

テンテンコ /「工業製品」 ~Trial version Mix~

本作のこだわりは音源のみならず、人気漫画家の長尾謙一郎がアートディレクターとして参加したこともあり、CDの盤面デザインやブックレットにも現れている。(こちらは是非とも直接、手に取っていただきたい。)
様々な工業製品、そしてテンテンコによる謎すぎるコメントを経て、以外にもラストに「次郎」についての解説が別ページ丸っと割けられている。

先日緊急配信されたテンテンコのDOMMUNE番組でも興味深いエピソードがたくさん出ていたが、この「次郎」についての解説にこそ、アーティスト同士の感性の交歓のみならず、アーティストとして生きていく一人の人間として、そして自らのクリエイティビティ、表現に忠実に向き合っていくものとして、彼女の明確な意思が素直に表明されている気がした。あまりのピュアさに感動。

流氷のこどもの歌詞にもあるように彼女のジャーニーはエンドレスであり、新しく始まったばかり。ネクストステージに立ちながらも一切のブレなく独自性を放ち続けるテンテンコ。
彼女の最旬モードがしっかり凝縮された圧倒的重厚感で体感するファーストミニアルバム「工業製品」。全国各地でこれからもDJ、ライブなどなど様々な方法で展開されていく物語の一員となるべし!!!

RELEASE INFORMATION

テンテンコ1st MINI ALBUM 「工業製品」詳細

【インタビュー:テンテンコ】2016年型ポップスここに極めり。テンテンコ集大成にして通過点「工業製品」を体感せよ。
アーティスト名:テンテンコ
タイトル:工業製品
品番:TFCC-86578
価格:1,500円(税別)
レーベル:TOY’S FACTORY / MIYA TERRACE
発売日:2016年12月14日(水)

#1 くるま
作詞:テンテンコ / 作曲:D.N.A.INSTRUMENTAL / 編曲:∈Y∋(BOREDOMS)

#2 放課後シンパシー
作詞:テンテンコ / 作曲:D.N.A.INSTRUMENTAL / 編曲:

#3 次郎
作詞:テンテンコ、JINTANA / 作曲:JINTANA / 編曲:JINTANA

#4 星の電車
作詞:テンテンコ / 作曲:LOGIC SYSTEM(Hideki Matsutake & Jun Irie) / 編曲:LOGIC SYSTEM

#5 くるま〜助手席school〜
作詞:テンテンコ / 作曲:D.N.A.INSTRUMENTAL / Remix:のっぽのグーニー

#6 Good bye, Good girl.
作詞:テンテンコ / 作曲:Papico / 編曲:Papico

#7 流氷のこども
作詞:テンテンコ / 作曲:七尾旅人 / 編曲:EZUMI MORI

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吉岡誠

吉岡誠

コラムニスト

昭和生まれの40 代会社員。海外駐在を経て、日々あちこちで狼狽中。シェイプアップガールズ。

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