世界中に驚きと刺激を与え続けてきた「攻殻機動隊」シリーズ待望の最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』が、この春Netflixで全世界独占配信スタートした。
今作は『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズの神山健治と、『APPLESEED』シリーズの荒牧伸志によるダブル監督で手掛けられ、Production I.GとSOLA DIGITAL ARTSによる共同制作スタイルで「攻殻」史上初となるフル3DCGアニメーションの作品となっている。
「攻殻機動隊」シリーズの近未来的な世界観が現実世界の技術発達により近づいてきたのではないかと錯覚するシーンも多かった。今回、『攻殻機動隊 SAC_2045』の配信開始に合わせてKDDIがスタートした『au 5G × 攻殻機動隊 SAC_2045 “UNLIMITED REALITY”』はARやVRなど最新の技術を使ったテクノロジーコンテンツで溢れ、まさに攻殻機動隊の世界観を思わせる充実した内容だった。au 5Gが普及すれば、さらに拡張された世界が日本中で体感できるようになるはずだ。
この度、Qeticでは『「攻殻機動隊 SAC_2045」から見るこれからの未来』というテーマでコラムを展開する。本作を鑑賞した方も未見という方も、攻殻機動隊の世界観と現実とを比較しながら、これからの未来の形を思い描いてみてほしい。
シリーズと一線を画す『攻殻機動隊 SAC_2045』の新しさとは?
2002年に『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズが世に放たれてから18年、『2nd GIG』から数えれば16年が経過した今年は2020年。あの当時では「理解」するのに精一杯だった背景や技術も、今では日常に浸透しつつあり、絵空事として受け取るしかなかった思想が自然と読み取れるようになっている。
折しもコロナウィルス禍による緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大して1週間が経過した4月23日(木)からNetflixで配信された『攻殻機動隊 SAC_2045』は、不安を抱える生活者の前に今までの世界観に対しての納得感と、これからの希望を携えて凱旋とばかりに我々の前に現れた。
きっと、すでにゴールデンウィークもといSTAY HOME週間に視聴した方も多いのではないだろうか。
今作の舞台である2045年は、世界規模の経済災害「全世界同時デフォルト」が発生した事で、貨幣や電子マネーの価値は暴落し、銀行預金も大きく目減りしてしまっている社会だ。
そんな不安定な社会情勢のため、世界は“計画的かつ持続可能な戦争”つまり、ビジネスとしての戦争が各国で勃発している(通称「サスティナブル・ウォー」)。
そんなポスト・アポカリプス感あふれる世界で、草薙素子少佐やバトーたちおなじみの元公安9課の面々がアメリカ西海岸で傭兵部隊「GHOST」として無法者を鎮圧しているところから物語は始まる。
おなじみのタチコマに光学迷彩など、3Dアニメーションを活かしたアクションが惜しげもなく展開されると、「ああ、彼らは彼らなりに過ごしていたんだな、おかえり!」と感じられるだろう。
しかしそう思ったのも束の間、「GHOST」の皆さんはNSA(アメリカ国家安全保障局)の手によって半ば拉致され、強制的に秘密の任務を課されてしまう。ヒリつくような空気感も健在だ。
現在配信されているシーズン1は大きく2部に分かれている。
前半部分はトグサがいない「GHOST」が任務にあたっている中、当のトグサはかつての公安9課長の荒巻から9課再建のため少佐を追跡するよう命じられ、新人類「ポスト・ヒューマン」をめぐる事件に到るまでの導入部分。いわばチュートリアルだ。攻殻機動隊シリーズを未履修の人でも安心して物語世界に入っていけるはずだ。
そして後半は「ポスト・ヒューマン」に迫っていく本編として、SAC_2045の物語が本格的に始まっていく。そう、求めていた「攻殻機動隊」そのものだ。
本作はシリーズ初の3DCGアニメーションになる。
少佐たちのCGモデルに対して、トレーラーやニュースなどで発表された直後はファンから不安まじりの期待を集めていたのは確かだ。しかし一旦視聴してみると、どうしても情報量が多くなってしまう「攻殻」を3DCGで作るにあたり、ちょうど良い塩梅であることがわかるだろう。ちょっと若いかもと感じる新しい少佐のデザインも、新時代の少佐として魅力的だから安心して見て欲しい。
高速なネットワークが攻殻機動隊の世界に追いついた
『攻殻』と言えば、電脳化された人間がネットワークを介したコミュニケーションを行う演出が見所であるが、VRもARもMRも身近になった現在では、さほど驚きを感じなくなっている。
一昔前ならテレパシーのように思えた電脳ネットワークの会話も、今では手が届きそうな技術になっている。
紙の書類にオーバーレイされる顔写真のようなAR技術も、ゲーム画面のHUDのようなインターフェースも、VRの世界ではすでに当たり前のように実現している。
本作で扱われている社会問題も仮想通貨詐欺や移民問題、そしてネット炎上など、現実世界でも馴染みの深いものが多い。
そういった意味では、あまり「新しさ」を感じない『攻殻』であることは間違いない。しかしその目新しさを感じない問題提起こそが、時代が追いついた感が今作の魅力ではないだろうか。
つまり、本作『攻殻機動隊 SAC_2045』は、今まで『攻殻』が提示してきた未来に対しての答え合わせのような作品である。
まもなく手が届く「未来」を前に、これからの社会をどう生きていくのかを示す基準点になり得る力を持っていると言える。
5Gだったらこんな未来に連れて行ってくれる
ワークフロムホームの掛け声で、テレワークが急速に進んだ今、様々な業種のビジネスパーソンがビデオ会議や大容量のデータ通信を当たり前のように使うようになった。まるで9課の面々のように。
そこで重要となるのがネットワーク、つまり回線だ。
今日のブロードバンドや4GLTEなどの回線では少し大きなデータをやりとりするには少なくない時間が必要となるし、ネット上で何らかの行動を行う際は、大なり小なりラグが生じる。
会議レベルのビデオチャットなら実現できていても、流石に『攻殻』みたいなVR/ARデータのやりとりをストレスなく行うためには……とか、ほとんど自律して飛行しているドローンを操縦するくらいならワイヤレスでできても、タチコマを遠隔で操縦するのは……と考えていくと、どうしたって通信という壁が立ちはだかってくるのが現実だ。
でも、もしかしたら今年2020年3月からサービスが開始された5Gならこんな未来に連れて行ってくれるのではないかと思うのだ。
5Gは、4GLTEよりも格段に通信速度が向上し、今までは物理的なメディアや有線での配線を介さないと難しかった大容量のデータのやり取りも高速に行えるようになるという。 ブルーレイのような4K動画などのUHD映像のデータや、VRデータも長時間待たずとも、すぐに楽しめるという。
これくらいの速度が使えるのであれば、今作初登場キャラである江崎プリンが捜査の過程で事件現場のVR空間を現場検証するシーンで使うような、リアルタイムで3D空間を共有するような用途でも実現できるんじゃないかと思えてくる。
屋内でも、屋外でも、ネットワーク上のデータをスピーディーに扱えるようになるのは、きっと馬車から自動車に進化したようなブレイクスルーを起こしてくれるのではないだろうか。
おうちで攻殻機動隊の世界を先行体験してみよう
とは言え、まだまだ『攻殻』の世界には程遠い現代テクノロジーにおいて、あの感覚を味わえるコンテンツがたくさん用意されているのでどうか試してみて欲しいところである。
実際に、「au 5G × 攻殻機動隊 SAC_2045 “UNLIMITED REALITY”」の「タチコマ AR」やVRコンテンツである「渋谷複合現実化ミッション」は、これぞ「攻殻機動隊の世界!」と興奮できるのでぜひお家で試してみて欲しい。
可愛いタチコマが声付きでケータイに登場してくれるのは自分が9課に入ったみたいで面白いし、スマートフォンを持っていれば気軽に試せるのでおすすめだ。
またVRヘッドセットやスマホVRゴーグルを持っていれば、少佐とバトーが敵アンドロイドとバトルする臨場感たっぷりな体験が味わえる。近くに寄るバトーはかなりの威圧感でグッとくること間違いなしだ。そして渋谷のスクランブルスクエアの展望台から臨むスクランブル交差点に煌くARネオンは必見だ。本編を視聴していれば、敵アンドロイドのモーションにもニヤリとできるだろう。
世界を覆うコロナ禍で、バベルの塔の崩壊よろしく人々の繋がりが断絶しかかっている。ソーシャルディスタンスを心がけることで、職場の同僚や友人とも隔たりが生まれてしまっている今、5Gによってもたらされる新しい電脳世界が隔たりを埋めてくれるような予感がする。
新しい「攻殻機動隊」とau 5Gが示してくれる未来はまだ始まったばかりだ。それらに期待しつつ、家で過ごすとしよう。
Text by 宮本夏樹
INFORMATION
au 5G × 攻殻機動隊 SAC_2045 “UNLIMITED REALITY” – 渋谷複合現実化ミッション
渋谷の風景を拡張せよ。5G時代のエンタメ体験!UNLIMITED REALITY – 渋谷複合現実化ミッション
カメラ付きXRゴーグルを装着し、街の風景に『攻殻機動隊 SAC_2045』の世界が合成される体験型XRコンテンツ。
渋谷で実施予定だった体験を、あなたの家でも楽しめるようにオンラインコンテンツ化!
スクランブル交差点を舞台に少佐やバトーが、ハッカーと戦うオリジナルストーリーを、360°のVR映像で楽しもう。
【ストーリーあらすじ】
渋谷の街が、何者かにハッキングされたーー。
公安9課の新人であるあなたは、その情報を受け、
スクランブル交差点を見下ろせる東急プラザ渋谷の屋上に到着。
すると始まる電脳通信。そこに現れたのは…。
ハッカーによる電脳攻撃に対抗するため、渋谷の街に攻殻機動隊、出動。
詳しい情報は、WEBサイトをチェック!
公安9課インスタフィルター
「#公安9課プロフハック」チャレンジ実施中。
公安9課インスタフィルターを使って、限定グッズを当てよう!
UNLIMITED REALITY – タチコマAR
アニメの世界から、飛び出すタチコマ。
実とバーチャルを融合するXR技術(AR/MR/VR)とスマートグラス「NrealLight」を駆使し、
人気キャラクターのタチコマが目の前に現れるコンテンツ。
実際に渋谷の街で発信されている5G電波を活用すれば、より高精細でリアルなタチコマが動く・喋る・撃ちまくる、
UNLIMITEDな驚きが作り出せるようになる。
攻殻機動隊 SAC_2045
Netflixにて全世界独占配信(※中国本土を除く)
メインキャスト
草薙素子:田中敦子/荒巻大輔:阪 脩/バトー:大塚明夫/トグサ:山寺宏一
イシカワ:仲野 裕/サイトー:大川 透/パズ:小野塚貴志/ボーマ:山口太郎/タチコマ:玉川砂記子
江崎プリン:潘めぐみ/スタンダード:津田健次郎/ジョン・スミス:曽世海司/久利須・大友・帝都:喜山茂雄/シマムラタカシ:林原めぐみ
原作:士郎正宗「攻殻機動隊」(講談社 KCデラックス刊)
監督:神山健治 × 荒牧伸志
シリーズ構成:神山健治
キャラクターデザイン:イリヤ・クブシノブ
音楽:戸田信子 × 陣内一真
オープニングテーマ:「Fly with me」millennium parade × ghost in the shell: SAC_2045
エンディングテーマ:「sustain++;」Mili
音楽制作:フライングドッグ
制作:Production I.G × SOLA DIGITAL ARTS
製作:攻殻機動隊2045製作委員会
Ⓒ士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会