みなさま
浅春の砌、まだ風は冷たい中、幽かに春の薫を感じる季節になりましたが、みなさまに於かれましては、益々ご健勝のこと、喜び申し上げます。
お目にかかったことがない方が多くいらっしゃると思いますので、まずは、自己紹介を兼ねてこの「〇〇へ捧げるレシピ」の説明をさせて頂きます。私は、岡村飛龍と申しまして、浅学非才の身ながら料理人をさせて頂いています。
祖父が銀行員で、飲食業に関する融資を担当しており、幼少期から周りに飲食店経営者が多く、大叔父が、料亭を経営していたため料理は私にとって身近なものでした。大叔父をはじめ、多くの料理人の方が、幼い私の為にレシピを考えてくれました。そこから、多くのことを学びました。それは、料理人にとって、掛け替えの無い体験だったと思います。大叔父が私のためにレシピを作っていてくれた様に、私も誰かの為にとレシピを作っていたつもりでした。
しかし、年を重ね、ふと、自分の作ったレシピを見返してみるといつの間にか、どれだけコストダウンを図れるかや、自分の伝えたいことだけを優先した、食べる人を置き去りにした傲慢なレシピばかりを作っている自分に気づきます。このままではいけないと思い、原点に帰り、誰かの為にレシピを考えました。
僭越ながら、ウェブマガジンQetic様の協力のもと、それらをまとめたものが「〇〇へ捧げるレシピ」になります。諸行無常のこの浮世、何時まで続けられるかわかりませんが、お付き合い頂けたら幸いです。近日公開する第一回目は「眠れない人」のために、料理を考えたいと思います。
最後に、暦の上では桃の節句を過ぎたとはいえ、まだ、寒い日が続きます。みなさまに於かれましては、風邪など引いてはつまらないので、お身体をご自愛ください。
文末になりましたが、乱筆乱文、失礼しました。
岡村飛龍