残夏の砌、まだまだ暑い日が続きますが、野分の中に秋涼の趣を感じる季節となりましたが、みなさまに於かれましてはますますのご健勝のこと喜び申し上げます。
さて、今回は「月を楽しむ余裕のない人に捧げるレシピ」を紹介させて頂きます。
そもそも、月見は、庭の池に船を浮かべ水面に映る月を楽しむものが起源で、現代ではすすきをはじめ、団子・里芋・枝豆・栗などを盛り、御酒を供え豊作を祈る儀式のかたちになりました。
更にこのかたちに至るまでには、中国の秦の時代にさかのぼ……(中略)
正直な話、こんな準備をする余裕が、我々現代人にあるでしょうか?
そこで今回は手軽に準備出来る「月見卵」を考えさせて頂きました。
汁に浮かぶ温泉卵を月に見立て、辛めの日本酒と一緒にお楽しみ下さい。
また、前回の繰り返しになってしまいますが、料理というものは、条件、環境、様々な要因によって変化します。◯◯を△△グラム、××分加熱するなんてレシピは融通が効かない堅苦しいものでしかありません。そこで、「〇〇へ捧げるレシピ」では、大まかな流れを説明するのみで、読者のみなさまが、アレンジを加えやすいようにさせて頂きました。
下記にレシピをまとめさせて頂きましたので、ご参照下さい。
月を楽しむ余裕のない人に捧げるレシピ:月見卵
材料:出汁醤油
手順:
①日本酒と味醂を加熱し、酒気を飛ばす。
②醤油を加え中火でひと煮立ちさせる。
③かつお節を加え、弱火で2〜3分ほど煮込み、火を止める。
④かつお節が沈んだら目の細かいざるで、こして完成。
※出汁醤油は、何かと使える万能調味料なので、余ったら、卵かけご飯や、おひたし、釜あげうどんに垂らしたりして色々と使って見て下さい。薄めれば出汁にもなります。
岡村飛龍