さて、今回は「初夏に捧げるレシピ」をご紹介致します。
栄養を主眼に考えることは重要
今年の梅雨は、梅雨とも空梅雨とも言えず、なんとも言えない日が続きました。
シャツ一枚で出かけると冷房がキツく寒く、シャツの下に一枚インナーを着ていくとそれはそれで暑く、蒸して寝苦しいと思えば、朝方は凍えそうになったり……、とにかく、天気が不安定でした。
みなさまの中には、天候に振り回された身体が、なんとなしに気怠いと言うか、いつもより集中力に欠き、仰々しく疲れた! と言えない様なささやかな疲労を感じている方が多いのではないでしょうか?
夏越し大祓も越え、夏本番。
本格的な夏を迎える前に身体を整えるレシピを考えました。
まず、肉とスパイスを使う、俗に言うスタミナ料理と呼ばれる様なものが過ぎりましたが、それでは、栄養をつけて馬車馬の如く働け! と言っている様なもので、それでは人に食べて頂くものではなく、畜生に食べさせる様なものです。
次に、肉がダメなら、夏野菜をふんだんに使ったものを考えました。
しかし、それでは薬食です。○○には△△って栄養が含まれているので食べて下さい! では、医者のやることで、料理人のすべきことではない。
そんな料理は薬局に並べられてる栄養サプリメントとさして変わりない。その様な寂しいものを疲れてる人にお出しするのは忍びない。
確かに、栄養を主眼に考えることは重要です。
仰々しく疲れている人や、五月病の人に捧げるレシピの時に紹介した様に心身共にうじうじしてしまっている状態の人には、ガツンと栄養をぶつけるのは悪くない。
じーんわり滋味が拡がる様な料理
しかし、今回はささやか疲労をしているみなさまの為の料理です。
ガツンッと! 栄養ォッ!! と言った体育会系な感じより、じーんわり滋味が拡がる様なアンニュイな感じが良い。
そこで、「プチトマトのテリーヌ」という答えに至ります。
野菜のテリーヌは、風邪の時に食べる様な病人食ではないですが、つるんとさっぱり食べられます。
そして、コースの後半に控えるメイン料理を前に舌や胃を備えさせる為に洗練された料理であり、優しい味付けで、滋味に富む。
今回のテーマにピッタリだと思います。
野菜は、ごちゃごちゃと、あれもこれもと入れてしまったらうるさいので、シンプルに、プチトマトだけにしたいと思います。
また、出汁に関しては、本式のコンソメだと少しパンチが強い。
変にこだわらず、深い滋味を出すために、白だしを使ってアレンジを加えてみます。
一年で一番激しい季節、夏。夏を前に深い滋味で英気を養う一品となれば幸いです。
下記に作り方をまとめましたので、ご確認下さい。
初夏に捧げるレシピ – プチトマトのテリーヌ
材料
プチトマト…1P(10個前後)
白だし…20cc
水…180cc
ゼラチン…5g
作り方
①、プチトマトを湯むきする。
②、白だしと水を合わせ、60~70℃に加熱する。
③、②にゼラチンを加え良く撹拌する。
④、①と、③を容器に入れ、粗熱を取り冷蔵庫で3~4時間冷やして完成。
※味付けが和風なので、薬味に生姜、茗荷、葱、紫蘇、胡麻等を添えても楽しめます。
岡村飛龍