ついに妹が結婚してしまった。そう、つまりは先を越されたわけだ。そんな独り身の兄も久しぶりにスーツに身を包んでお祝いにかけつけたわけだが、妹は妹なりに自分の道を歩んでいるのだなあと、当たり前のことなのだが改めてしみじみと感じ入ってしまった。おまえが言うなと言われてしまいそうだが、妹は変わり者なのでどうなることやらと思っていたのだが、思いのほかスムーズにゴールインして何よりである。そんな妹を選んだ旦那はどことなくのんびりとした雰囲気を持ったナイスガイ。またいっしょに酒を酌み交わす日が楽しみである。彼が挨拶に来てくれた日、私はお祝いで開けたシャンパンを飲みすぎて調子に乗りシャンパングラスを割ってしまった。とんだ粗相をしてしまったわけだが、その昔、バーでバイトしていたころ、フルートグラスを洗っていたときに力を入れすぎて割ってしまい、こうも繊細な作りなんだなと感じたことを思い出した。なんだか今の自分はそんなフルートグラスの上に立っているような緊張感がある、ような気がする。独り身だから着の身着のまま風まかせ、ということでもあるのだが、音楽を生業にするということ自体がそういった緊張感や、ある種の儚さを内包しているような気がしてならないのだ。
神父が祝福すると天使の羽が空から降ってきた。
挙式自体は静寂の中、式次第に沿って進められていく、というよりは和気藹々とした中で、和やかに進行されていった。自分の同級生や、より上の世代の式とは随分勝手が異なり驚いたものだが、それぞれの世代に合った結婚式の形があってしかるべしだなと思った次第である。披露宴の際は新郎も踊るわ、式場のスタッフも踊るわで、「ああ、これはパーティーなのね」と素直に思えた。新郎新婦の趣味でエンターテイメント性を追求した披露宴であったわけだ。新婦中座の際に新婦の兄ということでアテンドさせてもらったのだが、その際のBGMが拙作の赤マルダッシュ☆“ワンダフル☆スマイル”でなんとも不思議な気持ちとなったものである。妹よ、ワンスマが好きだったのね。ちなみに新郎が好きな赤マル楽曲は“ヒッパレ☆うどんそば”とのことである。車の中でヘビロテしてくれているとのことで、なんともありがたい話である。うどんそばうどんそば。
この瞬間がいわゆる結婚式って感じがしますよね。このあと、ブーケトスに。
結婚式を盛り上げる演出の手法も年々進化していて、今回驚かされたのは式場には映像撮影のスタッフがいて、現場で撮影したものをその場ですぐに編集して上映してくれることだった。両親の表情だったり、随所にインサートされる昔の写真なんかを見て、感極まった次第である。中でも母が感動して涙していたのは新郎新婦が生まれたときの体重に合わせて作られたテディベアの贈り物。3000グラム台なわけだが、これが意外とずっしりしていて重く感じる。ぬいぐるみなのに、命の重さを感じさせられる、そんな不思議なテディベアなのだ。
式の日の夜、父親の行きつけのメキシコ料理店で父親がなぜか「キングコング」名義でボトルキープしているテキーラを浴びた。ショットで連発しすぎて次の日、大変なことになった。
毎年この時期は健康診断があるので、身体に気をつかうようになる。暴飲暴食の日々、慢性的な運動不足の状態であるので、今年こそは生活習慣を改めようと心に誓うのであった(昨年のこの時期も同じことを思ったような……)。