どうも、長い長い冬が終わってついに春がやってきたポーランドから、ブラックメタル女さゆきです。今年のポーランドの冬はなかなかの厳冬でした。生き残れて良かったです。
さて、世の中には廃墟や工場などに萌える人々がいますが、わたしもその一人です。嬉しいことに、ポーランドには廃墟&工場好きにはたまらない光景があちこちに広がっています。と言ったらポーランド人に失礼かもしれませんが、長年放置されてる系のリアル廃墟や、今でも稼働しているものの良い雰囲気を出している工場がそれなりに散見されるのは確かです。
ポーランド西部のとある街には、廃墟と工場がコラボした夢のような場所があります。1945年にドイツ人によって建てられたこの工場群。当初は鉄道車両が作られていました。しかし現在はその工場は閉鎖し、パッと見ほぼすべて廃工場なのですが、今でも一部が色々な用途で使われています。
そして実はこの場所、バンドの練習スタジオとしても使われているんです。この街にはちらほらブラックメタル、デスメタルバンドが存在しますが、ほとんどのバンドがここの練習スタジオを使っているようです。その中でもわたしがよくお邪魔する某ブラックメタルバンドのスタジオ……というかスタジオらしさは全く無くて、ただの小屋なんですけど。はい、そこをちょっと紹介しようと思います。
まず、練習小屋の入り口から見える風景を。
左の工場はおそらく使われていない模様。わたしはかれこれ2年以上前から定期的にここに通っていますが、一度も稼働しているところを見たことがありません。
右手のこちらの工場は時々稼働。窓ガラスは割れてるし、絶対に使われてないと思っていたら、こないだ電気が点いていました。廃工場だと思って石投げたりしたらダメよー!
そして、こちらが小屋に入ってすぐの休憩部屋。壁には何故か数年前の求人広告が所狭しと貼られています。左下に引っかかっているのはポーランドを代表するブラックメタルバンド、Behemothのポスターではないですか。2006年にポーランド国内で行われたツアーの宣伝ポスターです。今となっては考えられないような小規模ライブハウスで演奏していたことがうかがえます。当時一緒にツアーをまわった人から聞いたところ、どの会場も客入りは200人程度だったとか。それから10年以上たった今、まさか世界中で引っ張りだこの大人気バンドになるとは、フロントマンのネルガルさんも予想だに……してそうですね。
はい、さらに奥の部屋に進むと……練習スタジオならぬ、練習小屋があるのですが、あまりにも乱雑で汚いので、ポーリッシュブラックメタルの面目を保つためにも写真は控えます。ここまで引っ張っておいてすみません。言葉で説明させていただくとですね、この部屋も休憩部屋と同じく求人広告が貼られ、さらには卵のパックがところどころにくっついています。せめてもの防音対策といったところでしょうか。しかしその甲斐なく、もちろん外に音漏れしまくっています。また、この小屋を使うバンドたちが自分らのライブのフライヤーを持ってきてはそこらじゅうに貼り付けたり、ありえないくらいの量のビールの空き瓶がそこらじゅうに放置されていたり、十字架が逆さに吊るされていたりと、乱雑なのにどこかアットホームなそんな憩いの部屋です。ちなみに暖房器具は小さなガスストーブのみ、そして一応この部屋は禁煙になっています。
と、まぁこんな感じのひなびた小屋で一生懸命練習をするポーランドのエクストリームメタルバンドたち。週末に小屋に遊びに行くと、バンドメンバーの4倍くらいの人数のメタルファンが集まって、彼らの練習風景を見ながらお酒を飲むというお手軽無料ライブが勝手に開催されています。個人的には、外に出て音漏れするブラックメタルを聴きながら廃工場を眺めるのが好きです。ブラックメタル×廃墟×工場好きにはたまらない贅沢ですね。