もう7月になったというのに寒い日が続くポーランドから、ブラックメタル女さゆきです。
みなさん、夏と言えば野外メタルフェスですね。有名なメタルフェスだと、ドイツの<Wacken>やフランスの<Hellfest>、チェコの<Brutal Assault>などなど、もう挙げ始めたらキリがないと思うのですが、実はドイツのベルリン近郊で毎年この時期にひっそりと行われるメタルフェスがあります。
その名も<Under The Black Sun Festival>。1998年から始まったこのフェス、記念すべき第一回目には、EnslavedやRagnarokなども出演しています。その後、毎年毎年エクストリームなメタルファンにはたまらない濃い面子を揃えてくれるのですが、今年のラインナップも濃い! ということで、3日開催中の最終日に行って参りました!
どうやら大人の事情があったようで、今までの会場が今年から使えなくなってしまい、例年とは別の場所での開催。ベルリンから約70キロ離れた田舎で行われました。そして当日は残念ながら終日雨。がしかし、とてもアツい1日となりました……。
まず、トップバッターはチェコのペイガンメタルPanychida。曲はフォーキッシュでノリが良いものの、メンバーは全員私服でペイガン味はゼロでした。が、やはり曲は良かった。
この時点でステージ前の観客はほんの30人程度で、おいおい大丈夫か~と思っていたら、みなさんテントの下でステージを凝視していました。筆者は冷たい雨に真っ向から顔面を打たれながらもどうにか目を見開いてステージ前で観ました。辛かったです。
お次はドイツのブラックメタルStreams of Blood。このバンドは、見た目のインパクトがちょいと強烈。
黒装束をまとったギタリスト、ボロボロ血まみれなタンクトップを着て顔半分を隠したベーシストが何と言っても不気味なのですが、ライブ前にステージ裏で口に含んだ血糊をお互いの顔面に吹き付けてて、仲良しかよと心の中でツッコみました。
さて、3番手は我らがポーランドのペイガン・ブラックメタルArkonaの登場です! この時、サウンドチェックがやや押してしまい、ドラマーだけコープスペイントを施さずにプレイすることに。他のメンバーはガッツリ白塗りしてるのに、彼一人だけ素顔を晒しており、まるでドラムテクが急遽参加したかのようになっていました……。
4番手は、ドイツのブラックメタルDarkmoon Warriorだったのですが、雨脚が強まってきて体がブルブル震えはじめたので、いったん友人の車に避難。だから観てません。ただ、スラッシーなカッコいいブラックメタルが車内まで聞こえてきました。
ああ、寒い寒い、車内は暖かくて良いのぅと友人のウォッカを盗み飲みしながらぐうたらしていたら、いつの間にか5番手が演奏を始めてしまいました。気づくのが遅く、途中から参戦。イタリアのブラックメタルKult。ベーシストのお兄さんが半分刈り上げのモードな髪型をしていて、後ろから見たらどうなってるんだろうなどと余計なことを考えてしまったのですが、曲のメロディーセンスが良くて「おおぉ!」と感動したのもつかの間、すでに時遅し。最後の2曲しか聴けませんでした。
そして、6番手が演奏する前に、またあまりの寒さに車内に避難……したものの、窓の外を見ると、ステージから煙が上がってる!? え、火事!? 何! と思って目を凝らして見てみると、なんと火を吹く男がいるではないですか! こりゃ観にいかねば!と走ってステージ前へ。
カナダのデプレッシブ・ブラックMonarqueが演奏していました。このバンド、初めて知ったのですが、火吹きショーのみならず、フロントマンであるボーカルのMonarque氏の落ち着きないキレキレのパフォーマンスも気味悪くてついつい魅入ってしまいました。
7番手が演奏する頃には観客もだいぶ増えてきました。それもそのはず、お次はデンマークのデプレッシブ・ブラックMake a Change… Kill Yourselfが演奏するのですから! 勝手な思い込みで、このバンドは独りブラックメタルだしライブなんてしないだろうと思っていたので、この日出演すると知って驚愕しました。最前列にはいかにもデプレ好きそうな血の気の引いた女子がちらほら。皆さん大盛り上がりで、一緒に叫んだりしていました。
すっかり盛り上がって宴もたけなわなタイミングで8番手。ポーランド人女性がギターボーカルを務めるドイツのブラックメタルバンドDarkened Nocturn Slaughtercultの登場です! ギターボーカルのOnielarさんは白装束にウェーブのかかったロングヘアーがトレードマーク。
そして1曲ごとに口から血糊を吹いてくれます! 最初はそれに気付かず、額に水滴が当たった時、「誰だよビール撒き散らした奴は、けしからんぞ!」と一人でぷんすかしていたのですが、2曲目でその正体にやっと気付きました。
彼女のまるで憑りつかれた少女のような迫力ある絶叫とパフォーマンスは一見の価値ありです! (もちろん曲もかなりカッコいい)こんな素敵な姉さん、同性でも惚れるに決まってるだろ!! ということで、ミーハーなわたしはライブ後に写真を撮ってもらいました。
ちゃんとポーズ取ってくれる辺り、さらに胸をときめかせてしまいます。ステージ裏には、彼女と写真を撮りたがる屈強な野郎どもが列を作っておりました。
その後、ドイツのアトモスフェリック・ブラックThe Ruins of Beverast、スペインのブラックメタルCryfemalが演奏をする予定だったのですが、同行した友人たちが「もう帰る」とのことでしぶしぶ会場を後にしました。ですが、わたしは満足です。本当に満足です。この日観たバンドは、もともと知らないバンドも多かったのですが、ライブを観て気に入ったバンドもたくさんいました。そして雨降りしきる中、思い思いにライブを楽しむメタルヘッズたちを見て、おお~みんな心を開放してるね~とその光景にも妙に癒された1日でした。