リーマンマイクを知っているだろうか。日々平和に暮らしている人は彼らを知らないだろうし、むしろ知らなくていいと思うが、まさかの<サマーソニック>の新人出演枠「出れんの!?サマソニ!?」の最終選考に残ったので、遠く離れた異国(現在ロンドンのシャレオツ純度200%のカフェにて雰囲気ぶち壊しの彼らのPVを観ている)から、六本木・西麻布辺りのナイトライフを生業とする彼らの生態について迫ってみたいと思う。
メンバーは全員、現役サラリーマン!
まず彼らの代表曲「合コン歌」を聞いてもらえれば分かるが、一度聞くと何故かクセになる中毒性のあるキラーチューンに軽妙なリリックが軽快に乗ってくる。何度か聞いていると「もしかしてこれは資本主義に対する強烈なアイロニー?」なんて勘ぐり始めてしまったが「フライデーYEAH!!!」とギャルが叫んでいるのを見ると「やっぱりただ本気でふざけているだけだ」という結論に落ち着いた。ただこのMVのクオリティも異常に高く、彼らが言うところのサラリーマンの「リアル」が詰め込まれている。映像に登場するメンバーは全員現役のサラリーマンとのことで、顔出しはNG。オフィシャルで公開されている彼らの情報は以下だ。
「ファーストアルバムがiTunesヒップホップアルバムチャートで1位を獲得した。サラリーマンの、サラリーマンによる、サラリーマンのための、リアルヒップホップグループ!!メンバーは全員、現役サラリーマン。昼は会社で頭をペコペコ下げ、夜はライブでお客の頭をガンガン揺らす。完全トーシロ、楽譜読めない、リズム感ゼロ、音程?…そう、彼らの武器は「リアルな言葉」と「安定した収入」だけ。サラリーマンから圧倒的共感を得る生々しい楽曲が、昨今の音楽業界の中で、唯一無二の輝きを見せている!」(オフィシャルサイトより引用)
紹介文を読んでみても、ウェブ上に上がっているいくつかのインタビューを読んでも、公式Facebookページの投稿を見ても、彼らのスタイルは一貫している。「ふざけている」のだ。ただし本気で。この「本気」が先ほど書いた「中毒性」に繋がっているのだろう。MVのクオリティ然り、徹底的に「サラリーマン」にフォーカスして韻を重ねるリリック然りだ。ここまで本気で振り切ってくれるなら、そういうものとしてこちらも受け入れる気持ちが生まれてくる。中途半端にアンダーグランドを気取るアーティスト被れより、見ていて清々しい。MVの中で登場するような光景が六本木・西麻布界隈の現実なのかどうかは別にして、世の中やインターネットの中で揶揄される「リア充」や「勝ち組」の「リアル」がそこにはあるように見える。もしかしたら彼らは、自分たちの生態を世の中に知らしめたいのではなく、外野から「リア充」とか「勝ち組」みたいな言葉を振りかざして、自分は中途半端な安全地帯にいる誰かに対して痛烈な批判を行っているのかもしれない。「あんたらが思ってるリア充ってこんな感じじゃねーのか?」と。なぜか筆が走ってしまったが、おそらくそれは筆者の考え過ぎで、「ただ単に本気でふざけている」だけというのが答えなんだろうし、そうあって欲しいとも思っている。
追記:上記の文章をブログにアップしたら、リーダーのぎょうざくんと名乗る人物から直接連絡が入ったので、その一部を紹介したい。
「もしサマソニのステージに出ることが出来たなら、今までの練習や余興や飲み会で培ってきたことを思い出して、全身全霊で、ポロリしたいと思います。肉体的なポロリだけに限らず、精神的なポロリ、膨張的なポロリ、サプライズ的なポロリ、号泣的なポロリ、木村カエラ的なポロリ、その全てを出し切って、スッキリポッキリしたいです。取り急ぎ。
世界最速緊急告知!「リーマンミニアルバム」
①真夏のリア充
②ビバ安定
③合コン歌OL版(仮)
④リーマンミュージカル 〜ロックと氷の嬢〜
⑤丸ノ内の狂犬 (Piano version)
2014年7月末発売決定!の予定。業務繁忙過ぎて納期がヤバたん。。。ヤバたん。。。」
相変わらず全力でふざけてくれたわけだが、さりげなく告知を入れてくるあたりが流石サラリーマン。コメントでもしっかりふざけてくれるサービス精神に危うく取り込まれてしまいそうになったが、筆者を含め、読者の皆さんも正気に戻って、今年の「出れんの!?サマソニ!?」の結果をしっかりと見届けてほしい。