空からビールが降ってくる

筆者はモッシュピットよりは後方に陣取っていたのだが、ライブが始まった瞬間に、暴れ出した観客に飲み込まれる羽目に。目の前に100キロは優に超すであろう巨漢が倒れ込み、頭の上からはビールとワインのシャワーが降ってくる。もちろんプラスチックのボトル付きで。ライブ後にステージ前方まで移動し、そのときの様子を観客にインタビューしたのだが、前方では血を流して運ばれる観客もいたらしく、「あまりの重圧で前方の柵に挟まれて窒息するかと思った」と語っていた。演奏終了後には多くの観客がなくした靴や服を探し求めて歩き回っており、モッシュピット内の白熱ぶりが伺えた。少しネガティブな描写が続いたが、それくらいリバティーンズの復活ライブは盛り上がっていたし、待ち望まれていたと言えるだろう。ライブ前半は中断なども続き、演奏自体もやや雑に感じられる部分も多かったが、後半になるに連れて、観客の興奮具合とバンドのエネルギーが調和し、少し大人になったリバティーンズを感じることができた。ライブ終盤にも興奮した観客が照明用のタワーによじ上って、それをメンバーが注意するために、一旦演奏を止めるなんてことも起こったが、ピートもご機嫌を損ねることもなく、余裕の対応を見せて一気にフィナーレ“I get along”まで畳み掛けた。演奏中に何度もカールとピートが一本のマイクで歌う姿が見られ、今リバティーンズというバンドがいかに良い状態でこのライブを迎えられているのかということが手に取るように分かった。もちろん「金のため」や「もう過去のバンド」なんて形容されることも多く、今回の再結成もイギリス国内のメディアで賛否両論が巻き起こっていたわけだが、あの興奮を目の前にしてしまうと、批判する気持ちなんて全く起こらなかったというのが正直な感想だ。会場の時間の関係でアンコールはなかった(ピートは演奏終了後にもステージに戻って来て、もう一曲やりたそうな素振りを見せていた)が、1曲目から一度も緊張を途切れさせることなく、彼らにしては珍しいくらい引き締まったライブだった。それでも観客のせいで何度も中断してしまうあたりが、彼ららしさを物語っているのかもしれない。ライブの最後には、以前<NMEアワーズ>の授賞式で披露したジークフリート・サスーンの詩「Suicide in the Trenches」をカールとピートが共に暗唱して、会場を後にした。各メンバーのソロでの活動や新しいバンドのライブも頻繁に足を運んでいるが、終演後の4人の満足気な表情は、それぞれの活動では決して見られないものだった。それを見られただけでも、この日ここに来た甲斐があったし、これからも彼らを追い続けていく十分すぎる理由になったと確信している。

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ロンドンで追加ライブも決定!

リバティーンズ復活ライブ@ハイドパークに行ってきた。途中で中断も!? column140707_nekomeguro_4さらに嬉しいニュースが飛び込んできた。追加2公演が発表され、ポルトガル、スペイン、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、そしてイギリス・ロンドンが決定している。個人的にはイギリス国内のフェスで観たいというのが本音だが、ライブハウスの方が彼ららしいライブになるはずなので、9月にまたロンドンで多くの日本人に会えることを楽しみにしている。

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【セットリスト】
Vertigo
Boys in the Band(曲の途中で中断)
The Delaney
Campaign of Hate
Time for Heroes(曲の途中で中断)
Horrorshow
Begging
The Ha Ha Wall
Music When the Lights Go Out
What Katie Did
The Boy Looked at Johnny
Can’t Stand Me Now
Last Post on the Bugle
Love on the Dole
The Saga
Death on the Stairs
Radio America
Don’t Look Back Into the Sun
Tell the King
Up the Bracket
What a Waster
France(曲の途中で中断)
Albion(Babyshambles cover)
I Get Along

photo by Ai matsuuRa

本コラムの著者&カメラマンによる海外フェス情報ページ「Festival Junkie in the UK」が立ち上がったのでこちらも要チェック。単なるフェス情報だけでなく、オリジナルの写真や動画も公開。

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