新緑が眩しい季節の東伊豆で、多様な人種と電子音、光、自然が溶け合うダンスミュージックフェス「Rainbow Disco Club(以下、RDC)」。今年は例年よりも2週間ほど前倒しされ、4月19日〜22日の3日間で開催された。ラインナップはもちろんのこと、ロケーションの良さやホスピタリティの高さから、年々国内外の来場者が増えるRDC。15周年である2024年のレポートを、来場者のリアルな裏事情も交えながらお伝えする。

東京でディスコパーティーとしてスタートしたRDC。今年で15周年!

2010年に東京・晴海客船ターミナルでディスコサウンドをベースに、アートを盛り込んだ野外パーティーとしてスタートしたRDC。国内外のディープなダンスミュージックファンを唸らせるブッキングセンスで順調に動員数を増やし、2015年からは現在の会場である静岡県の東伊豆クロスカントリーコースに移動。

楽しみ方は千差万別!みんなにオープンな日本屈指のダンスミュージックフェス、<Rainbow Disco Club 2024>裏レポート column2405-rdc3
©︎Masanori Naruse

初夏の伊豆という観光にも抜群な好条件が後押しとなり、2023年までには約10,000人の来場者のうち、半数近くが外国人といった様子。まるで海外のフェスにいるかのような非日常感が味わえるのも魅力だ。

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©︎Masanori Naruse

今年2024年は新型コロナが5類に移行してから初開催であり、15周年というメモリアルな年である。私は2019年以来、実に5年ぶりのRDC会場へ再び足を運ぶ機会に恵まれた。

普通列車で4時間半。移動中から高まる虹色気分

土曜の早朝、私は大きなザックを前後に背負い、午前中の会場入りを目指して電車を乗り継いだ。隣にいるのは、当時保育園児だった小学4年生の娘。随分大きくなったのだけど、さすがに体の半分以上の大きさのザックを背負って歩かせるのは気が引けた。地元からバスや小田急を乗り継ぎ、東海道線にしばらく揺られ、伊東から伊豆急行線に乗り換えたあたりから、RDC客と思われる人種に遭遇し始める。久々すぎてもっとドギマギするかと思ったが、むしろ「帰ってきた」という安堵感に包まれ、車窓いっぱいに広がる海を眺めながら、5年というブランクをゆっくりと埋めていった。

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©︎Tomoaki Ishii

最寄りの伊豆稲取駅には、予想通りRDC客ですでに溢れかえっている(なぜRDC客かと断言できるといえば、この写真を見ればおわかりいただけるはず)。ロータリーをぐるりと囲む長い列に加わり、3本バスを見送って、ようやく会場行きのバスに乗車!見覚えのある景色が近づいてきて、すでに懐かしい元エントランス付近にバスが到着(昨年レイアウトの大幅な変更があり、現エントランスは駐車場付近に移動)。

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©︎Masanori Naruse

すぐに会場内へ駆け寄りたい気持ちをグッと堪え、まずは会場付近の宿を目指す。今年はGWの混雑を避けられるようにと開催日を前倒ししたという主催者側の狙い通り、直前でも徒歩圏内の宿が確保できたのは奇跡的でありがたかった。長時間の移動の疲れもあり、ブーブー文句を垂れる娘の手を引き、30分近く歩いた末やっとこさ宿に到着。レトロな和室の窓からは緑茶色の森が広がっている。コンビニで買っておいたチューハイとコーラで一休みし、貴重品とレジャーシート、帰路のためのライトだけ携え、またすぐに出発した。

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受付を済ませ、腹ぺこなのでまずは遅めの昼食を求めてフードエリアを探し、私はエスニック店、娘はラーメン屋に並ぶ。RDCのフードエリアは地元のお店が多数出店していて、とにかく何を食べてもおいしい!目の前のご馳走をかきこみながら、すでに四つ打ちがかなり近くに聴こえている。時間的にPeachだろう。フロアで踊りたい気持ちを温めつつ、まずは娘と一緒に、会場をぐるっと散歩して周ることにした。

ステージの裏側が穴場。親子でチルアウトできるスポットが満載

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©︎Ken Kawamura

RDCが子連れにやさしいフェスとしておすすめな理由のひとつに、広びろとしたキッズエリアのほか、メインステージ裏のパークエリアや丘の上のハンモックなど、子どもの居場所となるスポットがいくつも見つけられることがある。そして、そのどこにいても適度にメインステージの音が届く。

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©︎Masanori Naruse

我々はお腹も満たされたところでハンモックでチルアウトすることに。娘を揺らしてあげながらステージを見下ろすと、象徴的な黒い三角形の箱の中に立つHessle Audioメンバーの姿が見えた。昼寝を邪魔しないリズムで娘はウトウトし始め、私はその場で気持ちよく踊る。

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昼寝で充電できたところで、ステージ裏のパークエリアに移動。ちょっとしたアスレチック遊具があったり、小川も流れていたりと子ども&犬連れ客がのんびりくつろぐのに最適な場所だ。ナチュラルワインを片手に、娘が駆け回るのを見守る。

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一緒にザイルクライミング(ロープのジャングルジム)に登ってみると、頂上からは熱狂の海のようになっている会場をステージ側から見下ろせるという奇景!ここまで 十分に届く音に、落下の危険を回避しつつ、私は娘と笑いながら空中で小さく踊った。

メインフロアで踊れる幸せ。日没時間が織りなす魔法

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©︎Masanori Naruse

メインフロアにたどり着けたのは、おそらく18時前。会場で再会した友人の一人がしばらく娘を見ててくれるというので、アーティストの顔が見える先頭付近までグイグイと進むことができた。フロアはHessle Audioによって温められた人たちでぎゅうぎゅうだ。

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©︎Masanori Naruse

踊るたびにぶつかったり、足を踏んでしまうのだけど、誰一人として嫌な顔をせず、むしろ笑顔で返してくれるから不思議!

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©︎Masanori Naruse

気がついたらDJ NobuとMasadaによるB2Bに転換していて、薄暗くなり始めた空に音の粒と人の熱気、電飾の光が混ざり合うのが見えた。昼から夜に向かうマジックアワーに、会場が一体感に包まれるこの瞬間が一番好きだ。

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©︎Masanori Naruse

長らく娘を放置するわけにもいかず、1時間もしないうちにまたパークエリアに戻る。娘は同世代の友達ができたと言って楽しそうに遊んでいた。その後偶然再会できた友人もさらに何人かいて、お酒を飲んだりご飯を何度もおかわりしているうち、気がついたらメインステージのDJプレイは終了。

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©︎Masanori Naruse

以前だったら食事もそこそこにステージに張り付いていたけれど、どこにいても音を感じられる環境なので、余裕をもって大人な楽しみ方ができる。

都内のクラブ顔負けの体育館ステージを見逃すまい!

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©︎Suguru Saito

5年前に比べ、格段に広くなったというRed Bull Stageを一目見たく、疲れ果てている娘に無理を言って10分ほど中の様子を見た。なるほど、かつてのSTUDIO COASTを彷彿とさせる、天井が高く開放感のあるフロア。メインに引けを取らない広々としたステージには、顔の小さいMr. Hoの姿がうっすらと見えた。ここもオールナイトではなく深夜1時には音がストップするものの、日中は野外フェス、夜はageHa級のクラブイベントといった、体力のある人は踊り倒せるスケジュールになっている。

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©︎Suguru Saito

娘が生まれてから約10年、クラブにはほとんど足を運べていなかった私の体は電子音によってほぐされ、音に委ねて自然に揺れていた。ほろ酔い気分にフロアから上がってくる低音とまぶたに刺さる光が気持ちよく、そのまま没入しそうになったが、約束通り眠そうな我が子を連れてすぐに爆音から離れ、ふらふらした足取りで宿へ戻った。

子連れでのフェス参加には、もちろん色々と制限が多い。今回、初日は平日の金曜で学校があり、2日目からの参加にならざるを得なかったし、時間を忘れてDJのプレイに没入することも、夜遅くまで友人と飲み、記憶を飛ばすことも御法度だったりする。

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©︎Tomoaki Ishii

それでも、娘がハッピーな大人たちと交流したり、音楽に合わせて楽しそうに体を揺らしたりしているのをみれば、それだけでお釣りがくるくらい満足だ。あと何年、一緒に来てくれるかな?

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©︎Tomoaki Ishii

Text&Edit:Nao Asakura

EVENT INFORMATION

Rainbow Disco Club 2024

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2024.04.19(金)OPEN 9:00/START 12:00~21(日)CLOSE 19:00

東伊豆クロスカントリーコース特設ステージ(静岡県)

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