SixTONESと常田大希(King Gnu/millennium parade)の歩み

SixTONES(ストーンズ)のニューシングル“マスカラ”の作詞・作曲は、King Gnumillennium parade常田大希──このニュースを聞いた瞬間、「まさか!?」と「すごく合いそうだな」という感想が同時に浮かんできた。そして、その感想は実際に“マスカラ”という楽曲に触れたときもまったく同じだった。そう、この曲には、「こんなハイブリッド、今まで体感したことがない」という新しさと、「この出会いは必然だったんだろうな」という腑に落ちる感覚が共存しているのだと思う。

2020年1月、YOSHIKIの作詞・作曲・編曲による“Imitation Rain”でデビューを飾ったSixTONESは、その後も様々なタイプのクリエイターとのコラボレーションを重ねながら、音楽性の幅を広げてきた。2ndシングル“NAVIGATOR”は、重厚なストリングスと攻撃的なロックサウンドを融合させたアッパーチューン。そして3rdシングル“NEW ERA”は、ラウドロック、ヒップホップ、「和」を感じさせるフレーズが共鳴するミクスチャー・ロック。今年1月にリリースされた1stアルバム1ST』でも、ロック、ラップ、ネオソウル、エレクトロなどを自在に取り入れ、ジャンルに縛られることなく、同時代の洋楽にもリーチする新世代のアイドルグループとしての魅力を打ち出した。

SixTONES “1ST” digeST movie

常田大希は周知の通り、今や日本を代表する音楽クリエイターの一人だ。King Gnuとしては昨年1月に3rdアルバム『CEREMONY』を発表。11月から12月にかけて初のアリーナツアーを敢行し、さらに両A面シングル『三文小説/千両役者』をリリースするなど、“白日”でのブレイク後も着実にキャリアを積み重ねている。またmillennium paradeの活動も本格化。“FAMILIA”(映画『ヤクザと家族 The Family』主題歌)、アルバム『THE MILLENNIUM PARADE』のリリースに続き、細田守監督の新作『竜とそばかすの姫』メインテーマ“U”(歌唱は主人公Belle/すずを演じる中村佳穂)を手がけるなど、映像作品とのコラボレーションも続いている。

King Gnu – 三文小説

millennium parade – U

クリエイターとのコラボで表れたSixTONESの進化

アイドルの在り方を刷新し続けているSixTONES、そして、音楽、映像、アートなど幅広い分野で才能を示している常田。両者が初めてタッグを組んだ“マスカラ”は、ジャンルやシーンといった概念を大きく超える、きわめて刺激的な楽曲となった。

“マスカラ”は、ラテンの香りが漂うアコースティックギターからはじまる。さらにタイトな打ち込みのビートが加わり、《飾らない笑顔で/ありきたりなキスをして/凡庸なラブストーリーが丁度いい》というラインによって、「切ない官能性」と称すべき世界観が広がっていく。歌詞の軸になっているは、《終わりがあるのなら/始まらなきゃ良かったなんて》に象徴される、後悔に苛まれた恋心。憂いや諦念が混ざり合う複雑な感情をSixTONESのメンバーは、抑制を効かせたボーカルによって見事に表現している。

ラテン、ヒップホップ、オルタナR&Bなどが融合させたトラックも印象的。シックな手触りのサウンドによって、SixTONESの大人の表情を鮮やかに際立たせている。演奏陣には、常田のほか、江崎文武(Key/WONK)、新井和輝(Ba/King Gnu)が参加。現代的なトラックメイクと質の高い生演奏が織り成すバランスも、“マスカラ”の聴きどころだ。

そして言うまでもなく、“マスカラ”の軸を担っているのはSixTONESのメンバーのパフォーマンスだ。緻密な構築美と快楽的なグルーヴを併せ持ったメロディを正確に捉え、満たされない想いを抱えた男性の感情をシアトリカルに表現するボーカル/ラップ/ハーモニーからは、彼らの確実な成長が感じられる。デビューから1年半が経ち、幅広いジャンルの楽曲を歌うことでSixTONESは、シンガー/パフォーマーとしての才能をさらに鍛え上げてきた。“マスカラ”はデビュー2年目を超えた今だから実現した楽曲と言えるだろう。

演技とダンスをバランスよく組み合わせたMVについても触れておきたい。楽曲の前半では、主人公の一人の男を6人のメンバーがまったく同じ流れで演技。カットごとにメンバーが入れ替わり、表情、所作などに僅かな差異が生まれるのが、このMVのポイントだ。またサビのパートでは、アコースティックギターをかき鳴らすような振り付けを軸に、情熱的なダンスを披露。憂いを帯びた表情と解放的なパフォーマンスを同時に堪能できる映像に仕上がっている。

SixTONES – マスカラ

シングルには、yamaの“春を告げる”、DISH//の“君の家しか知らない街で”などで知られるボカロP・くじらの提供曲“フィギュア”も収録。なかなか先が見えない社会においても、個性を大事にし、自分らしく生きていこうというメッセージを掲げたシティポップ風のナンバーだ。

表題曲“マスカラ”とは対極のあるこの曲を聴けば、SixTONESの表現の幅広さを改めて実感してもらえるはず。デビューからわずか1年半で日本のエンターテイメントのど真ん中に進んだ6人は、決して現状に満足することなく、さらに刺激的で斬新なクリエイティブを求めている。その姿勢こそが、現在の彼らの最大の魅力であり、多くのファンを惹きつける理由なのだろう。

SixTONES – フィギュア

常田大希による楽曲提供──“マスカラ”で、SixTONESが魅せる「アイドルの新しいクリエイティビティ」 column210721_sixtones-daiki-tsuneta-02
SixTONES
常田大希による楽曲提供──“マスカラ”で、SixTONESが魅せる「アイドルの新しいクリエイティビティ」 column210721_sixtones-daiki-tsuneta-01
常田大希

Text by 森朋之

INFORMATION

常田大希による楽曲提供──“マスカラ”で、SixTONESが魅せる「アイドルの新しいクリエイティビティ」 column210721_sixtones-daiki-tsuneta-03

マスカラ

2021年8月11日(水)
SixTONES

初回盤A:
(Disc1・CD)
01.マスカラ ※楽曲提供:常田大希(King Gnu/millennium parade)
02.Make Up
03.マスカラ -Instrumental-

(Disc2 ・DVD)
01.マスカラ -Music Video-
02.マスカラ -Music Video Making-
03.マスカラ -Music Video Solo Movie-

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初回盤B:
Disc1 (CD)
01.マスカラ ※楽曲提供:常田大希 (King Gnu/millennium parade)
02.フィギュア ※楽曲提供:くじら
03.フィギュア -Instrumental-

(Disc2・DVD)
01.フィギュア -Music Video-

常田大希による楽曲提供──“マスカラ”で、SixTONESが魅せる「アイドルの新しいクリエイティビティ」 column210721_sixtones-daiki-tsuneta-05

通常盤:
(CD only)
01.マスカラ ※楽曲提供:常田大希 (King Gnu/millennium parade)
02.フィギュア ※楽曲提供:くじら
03.Lost City
04.僕が僕じゃないみたいだ(Dramatic Rearrange)

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