lyrical school・hanaのコラム『“スキ”は細部に宿る』第5回「色んな形の“スキ”」。hanaが出会った古今東西の“スキ”を掘り下げていくとともに、撮り下ろし写真も掲載。出会った時、靄のかかった生活に光が刺すようなその一文、一瞬、一枚を紹介していきます。(Qetic編集部)

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今回は「推し」について書いてみたいと思う。
以前、Instagramのストーリーでフォロワーのみなさんに誰かを推すときに何が決め手になるかを聞いた時、色んな意見のDMが来た。ビジュアル、声、ライブ中の仕草、知性、直感……。みなさんの細部に宿る“スキ”を知ることができたことが嬉しくて、これをきっかけにもっと深掘りしてみたくなった。

私が今までで一番「推し活」に励んでいたのは、NCT127というK-POPアイドルグループの現場に通っていた頃のことだ。その中でも特にジャニーというメンバーを応援していた。
出会いは韓国旅行をしていた時で、たまたま入ったCDショップの床に無造作に置かれていた彼のソロジャケットが目にとまり、気がつけばアルバムを購入していた。そして丁度韓国から帰国する3日後に日本でツアーが行われることを知り、ギリギリで当日券を取って、さいたまスーパーアリーナのスタンド5階の最後列からライブを見た。
無数のペンライトが作る、天井席からでしか味わえないであろう壮観な景色。偶然出会えた人に、信じられないスピードでここまで連れて来てもらえたことに感動して、少しだけ泣いてしまった。

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そこからみるみるうちに沼にはまっていった。他のメンバーのことも曲ももちろん好きだけど、何となくグループ内で推しは一人に決めるべきだと思っていて、彼だけを追うことが「推し活」だった。
自分にとって唯一無二と呼べる存在がいることは喜ばしいことだけれど、ゴールの無いマラソンを必死に走っているみたいな感覚だった。ライブでは双眼鏡でその人のことを追ったり、レスをもらえるようにアピールすることしかほとんど頭に無かった。とにかく行ける現場には全部行って、会い続けないといけないという謎の使命感に駆られていた。グループの活動も落ち着き、私も一旦NCT127のオタクは休憩中。これはこれで、かけがえのない思い出だと胸を張って言える。

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そして最近は、今までとは違う「推し」の感覚が自分の中で芽生えた。
そのきっかけはNewJeansだ。あくまでも個人的な意見だけれど、彼女たちには「丸ごと推せる」要素が豊富にあることが素敵だと思っている。
メンバーそれぞれが持つ個性と、アートワークやスタイリングなどの統一感が両立していることに感銘を受けた。彼女たちは基本は黒髪ロングで、“ASAP”や“Super Shy”のMVでは全員が金髪ロングに統一されているけれど、その中でも個々の魅力が光っていて、NewJeansというグループが最強になっているのを感じる。
例えるならば、学年の中で一軍とか二軍とかランク付けさえもされないほどに一目置かれているミステリアスな雰囲気を持つ女子グループ。「好き」とか「憧れ」とかいう感情を飛び越えて、ずっと見ていたくなる。彼女たちの圧倒的なクルー感は思わず箱推ししたくなってしまう。

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このグループを、この人を推してみよう、と決めるには思いがけないきっかけがあって、それは理屈では判断できない衝動的なもの。
現場に通う頻度やアプローチの仕方だって自由だと思う。こんなにも誰かを好きになれて、尊敬できて、ひとつひとつのコミュニケーションに喜びを感じられるのは本当に素敵なことだとこの文章を書きながら改めて感じた。

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“スキ”は細部に宿る

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8人組のHIP HOPユニット。
初めは2010年に女性6人組のヒップホップアイドルユニットとして結成。
幾度かのメンバーチェンジを経て、2023年2月に、男性を含む新メンバー7名が加入し、現在の体制に。
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