lyrical school・hanaのコラム『“スキ”は細部に宿る』第13回「誕生日・大人?」。hanaが出会った古今東西の“スキ”を掘り下げていくとともに、撮り下ろし写真も掲載。出会った時、靄のかかった生活に光が刺すようなその一文、一瞬、一枚を紹介していきます。(Qetic編集部)

12月23日に、またひとつ年を重ねる。
私は出産予定日から大幅に遅れて生まれてきたようで、お腹の中にいた頃からマイペースだったようだ。

年号が平成から令和に変わるまで、12月23日は天皇誕生日という名の祝日だった。
クリスマスシーズン真っ只中に誕生日があると、誕生日の特別感が薄まってしまうのが寂しいと同時に、23日、24日、25日と、これ以上お祝いのムードには浸れないという程に三日連続の休日を満喫することが毎年の楽しみだった。
しかし、もうただのクリスマス直前の何でもない日になってしまって、天皇と生まれた日が同じで、毎年学校も休みになるというプチ自慢も失った。

年を取るにつれて「大人」という言葉をだんだんと意識し始めた私は、この変化が「子ども」ではなくなった合図のように感じていた。
大人料金は圧倒的に高くなり、自分で税金を払わなくてはいけなくなって、学生という勝手に次のステージを用意してくれる場所からも離れた。
それでも、まだ「大人」になれたという感覚はない。たまに会って話す同級生たちも口を揃えて同じことを言っているから、きっとほとんどみんなそうなんだと思う。

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「大人」というキーワードが使われた映画や小説などを振り返ってみると、「なりたくないもの」だったり「近寄り難いもの」として扱われがちだ。

ある映画では、学生から社会人になる時期のことを「人生のマジックアワー」と呼んでいた。念願叶って入った会社で希望の部署に配属されなかった主人公は、夢と現実のギャップに思い悩んでいた。唯一の親友と、学生の頃から付き合っていた彼女といる時間だけが生きがいで、息が詰まるような日々を耐え忍んでいた。

また別の映画では、過去に上司から嫌がらせを受けていた登場人物が「大人は嫌いだ!」と叫んでいた。映画の冒頭から味方のように振る舞っていた彼は、その憎しみを爆発させて、悪役へと姿を変え、裏切り者として物語の流れを一変させた。

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フィクションの世界のあらゆる場面で使われる「大人」という言葉が表しているのは、何だか冷徹なものばかりだ。「大人=しっかりしている」という意味の裏を取って、自由を制限する気難しい存在として使われていることが多く、意地悪な表現だと思う。

そんなイメージが「大人」になることのハードルを高くしてしまっているのではないか。
当たり前かもしれないが、私はただ、年齢とかは関係なく、譲れないものをしっかりと守りつつ、色んな環境の変化にも対応して、伸び伸びと生きていきていくことができる人が大人なのではないかと思う。

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自分にとって何が重要で、何と折り合いをつけるべきものなのか。それが例え今まで大切にしてきたものでも、今現在の最善策を考えて手放すことができる勇気のある人。いい意味で諦めがよく、自分で取捨選択をすることができる人。これが私の考える大人像であり、今後の目標だ。

祝日ではなくなった誕生日、これからも自分で自分を祝ってあげられるように。
一年に一度の大切な日、来年も私にしかない特別な気持ちで迎えられますように。

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“スキ”は細部に宿る

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hana(lyrical school)

8人組HIPHOPユニット lyrical schoolでラップをしています。
写真を撮ることとK-POPを聴くことが好きです。
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8人組のHIP HOPユニット。
初めは2010年に女性6人組のヒップホップアイドルユニットとして結成。
幾度かのメンバーチェンジを経て、2023年2月に、男性を含む新メンバー7名が加入し、現在の体制に。
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