近年、様々なウェアラブルデバイスが誕生しているが、特定のユースケースに特化したものやマニアの嗜好品のようになっている製品が多い。
それが悪いということは一切ないが、一方で、本日紹介する「ウェアラブルトランシーバーBONX(ボンクス)」(以下:BONX)は、屋外での激しい運動中でも、ハンズフリーで、自由に仲間とのコミュニケーションを楽しめる画期的なアイテムとして、嗜好品ではなく必需品になるビジネスポテンシャルを持っていて、製品としてもビジネスとしても今後が楽しみなデバイスである。
ウェアラブルトランシーバーBONX
ユースケースへの着眼が素晴らしい
BONXを端的に表現すると、リアルタイムコミュニケーションに特化した「耳掛け式の小型トランシーバー」だ。
例えば、スノーボード中に一緒に行った友人に連絡したいときにスマホを取り出すのにあたふたした経験がある人も多いのではないだろうか。BONXはそういったスノーボードやサイクリングなど、チーム競技ではないが、仲間と一緒に連絡を取り合いながら行う激しい運動中の利用を想定している。
人間の話し声だけを拾って接続中の仲間全員に届ける「ハンズフリーモード」を搭載しているので、BONXがアウトドアを楽しむ人々の身体の一部となり、遠距離にいる仲間とも「まるで隣にいるような感覚
で手軽に会話することが可能となる。
筆者の私見であるが、昨今、世界中で競技人口が増えつつある屋外でのエクストリームスポーツや、イベントや催事の業務活用もできる機会が来るのではないかとも感じている。
BONXならスポーツ中の喜びを共有できる
BONXはBluetoothを通じてスマホの専用アプリと連携し、最大で10台まで他のBONXとの接続が出来る。
BONX利用シーンのイメージ
一見、トランシーバーと似ているが、他のBONXと接続にはスマートフォンの通信回線(3Gや4G、LTE、Wi-Fi)を使うため、トランシーバーとは異なり距離的な制限は存在しない。
風切音や周囲の雑音も拾いづらい設計になっているため、スポーツとコミュニケーションの両方を一度に楽しめるのだ。
人々を驚かせた2015年末のクラウドファンディング
BONXが人々の注目を集めたのは、2015年末。
クラウドファンディングを開始してたった3時間で100万円の出資、最終的には支援総額2,500万円を集めた。
そして、2016年7月からは世界最大級のクラウドファンディングサイト「Indiegogo」でのキャンペーンを実施した。
BONXボードメンバーも注目
BONXを世に送り出した「株式会社BONX」は、日本発のモノづくり系スタートアップ。
CEOの宮坂氏(ボストン・コンサルティング・グループ出身)を中心として、各領域のプロフェッショナルが集まっている。
IF DESIGN AWARDなど多数の受賞歴を持つ「百崎彰紘」氏、音声技術企業でCTOも務めた「粟飯原俊介」氏、今熱いプログラミング言語Scalaの重要人物「麻植太輔」氏など、錚々たる顔ぶれだ。
BONXが秘める様々な可能性
技術・デザインや、製品コンセプトの面でも注目を集めるBONXだが、今後も様々な展開が期待できる。
BONXの音声データ通信システムのイメージ
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