3月14日、恵比寿ガーデンプレイス前に位置するアクトスクエアにて <Growth Hacker Awards 2017>が開催された。

このイベントは、同社のプラットフォーム上でUX改善を行う”グロースハッカー”の優れた成績を表彰するもので、3回目の開催となる。

当日は150名を超える参加者が集まり、オンラインでも生中継されるなど、Kaizen Platform社の成⻑の勢いが感じられる催しとなった。今回はイベントに参加した当日の様子を、簡単に背景に触れてから、内容の所感を交えてお伝えしていく。

グロースハッカーが日本型雇用形態を変えていく。Kaizen Platform社が目指す「21 世紀の新しい働き方」 column-170415_tk132-700x585

Kaizen Platformとは

イベントの内容に入る前に、近年、メディアでも頻繁に取り上げられているKaizen Platform社について、簡単に触れて行きたい。

同社は、WebサイトのUI/UX改善に特化したプラットフォームサービス「Kaizen Platform」を運営しており、このサービスを通じて、これまでに「190社 5,000ページの改善ニーズ」と「3,000 名のWebエンジニア・デザイナーの改善提案」 とのマッチングを行ってきた。

▼参考リンク
http://dentsu-ho.com/articles/2453

ここでいう”グロースハッカー”は、特にKaizen Platform上でUX改善を行うWebエンジニア・デザイナーのことを指す。彼らの改善提案が「1億円以上の売上増」を実現した事例は過去に23例あり、UI/UX改善がビジネスにもたらすインパクトの大きさは実証済といえる。

上記に限らず、売上やアクセス数といったビジネス上の目標指標に向けて、Webサイトやプロダクトおよびサービスを継続的に改善していく取り組みを”グロースハック”といい、それを行う職業は”グロースハッカー”と言われ、今日本でもITベンチャースタートアップを中心に求人が増えている注目の新規職種になっている。同社はその中でも国内のリーディングカンパニーの1つである。

▼参考リンク
http://dentsu-ho.com/articles/2453

ここからはイベントの内容を、順を追ってご紹介していきたい。

Kaizen Platform社が目指す「新しい働き方」

冒頭のセッションでは、Kaizen Platform社の須藤CEOより、人口減少時代における「新しい働き方」の必要性、そして同社の目指す方向性が語られた。

労働力人口が減少し人材の確保が徐々に困難なる現代、「働き手自身が自らのライフステージに合わせた働き方を選択できる環境」が求められている。そのような中では、これまで常識とされていた 日本型の雇用形態を見直し、「雇用関係によらない働き方」「オフィスに行かなくても働けるワークスタイル」を実現していく必要がある、ということが述べられた。

グロースハッカーが日本型雇用形態を変えていく。Kaizen Platform社が目指す「21 世紀の新しい働き方」 column-170415_tk134-700x585
新しい働き方について語る須藤 CEO

一方で、Kaizen Platformの未来像については「事業と人の成⻑プラットフォーム」という新たなコンセプトが示された。

近年、Webサイトを改善するためのツールが多数誕生しながらも、それらの活用に求められるスキルはより高度化しており、その高度なスキルを持った人材が不足しているという。

そこで、Kaizen PlatformがWebサイトの改善機会と高度なスキルを持った人材(=グロースハッカー)を 適切にマッチングすることで、事業と人の双方を成⻑させる役割を担う、というのだ。

また、2020年に向けた目標として「毎日100万人がKaizen Platform上で仕事している」というビジョンが打ち出された。

全15賞の受賞者を発表

続いて行われた表彰式では、スポンサー賞に続き、金融・求人・不動産といった各部門賞が発表。

選定は、オファー(改善案)の採用率・勝率・報酬金額などの審査項目に基づいて行われ、全体を通じたグランプリである「グロースハッカー大賞」には、牧野健太郎氏が選出された。

グロースハッカーが日本型雇用形態を変えていく。Kaizen Platform社が目指す「21 世紀の新しい働き方」 column-170415_tk133-700x585
受賞者の方々と須藤 CEO

続いて行われたグロースハッカーによる改善事例解説は、受賞者による具体的な改善案の紹介、成果に繋がったポイント解説など、各者の視点・持論がフォーカスされた。

受賞者の中には、「普段馴染みのない商材を扱うサイトの改善を行った」という声もあり、実際のユーザーの声を頼りにUIデザインを作り上げたケースもあったようだ。

グロースハッカーが日本型雇用形態を変えていく。Kaizen Platform社が目指す「21 世紀の新しい働き方」 column-170415_tk135-700x585
受賞者の方々による改善事例解説

その他、電車移動中のユーザー心理を想像してWebサイトの情報設計を行うなど、結果を追求した改善プロセスの具体案が複数紹介された。

コンバージョン数などの指標を頼りにしつつも、最終的には”ユーザー目線を踏まえた直感”を始め とする 「感性に重きを置いた視点」がグロースハッカーの武器になっていることを実感する内容だった。

子育てと仕事の両立を実現する「新しい選択肢」

グロースハッカーが日本型雇用形態を変えていく。Kaizen Platform社が目指す「21 世紀の新しい働き方」 column-170415_tk136-700x585
リクルートジョブズの宇野百合子氏

プログラムの後半では、福岡市創業特区プロジェクトとしてリクルートジョブズ・デジタルハリウッドSTUDIO福岡・Kaizen Platformの共同で行われた「ママグロースハッカー養成講座」に関する成果発表が行われた。

このプロジェクトは福岡市協力の元、子育てママを”経験ゼロの状態”からグロースハッカーへ育成し、時間や場所に縛られない新しい働き方を実現する、という取り組みだ。

2016年5月には第一期生12名が卒業。卒業生から約半年で目標額の月収30万円を達成した方もいるということで、このプログラムの本気度が伝わってきた。

労働時間に基づく報酬ではなく、あくまでもUX改善がもたらした成果に基づいて報酬が決まるということもあり、ママグロースハッカーの方からは「やればやるほど自分の成⻑が見えて面白い」という声が聞かれた。

グロースハッカーが日本型雇用形態を変えていく。Kaizen Platform社が目指す「21 世紀の新しい働き方」 column-170415_tk137-700x585
ママグロースハッカーとしての1日について話す平野実子氏

その他にも、「女性の働き方はライフステージによって変わっていくので、柔軟に対応できるグロースハッカーという選択肢は魅力的」という声も出ており、時代にフィットした働き方であることが伺える。

当セッションでは、具体的な一日のワークスケジュールについても触れられ、お子さんの送り迎えや家事と両立されている様子が紹介された。

2016年9月には第二講座が始動しており、16名の方が参加しているとのこと。育児と就労の両立するための新たなロールモデルとして、女性の消費者視点を持った「ママグロースハッカー」の幅広い活躍が期待されている。

「人の仕事を創造する AI」という独自のコンセプト

グロースハッカーが日本型雇用形態を変えていく。Kaizen Platform社が目指す「21 世紀の新しい働き方」 column-170415_tk138-700x585
AI などのテクノロジーの活用について話す須藤 CEO

最後のセクションでは須藤CEOより、Kaizen Platformを進化させるための新たなテーマと、開発中の新機能が発表された。

ここでは「AI×Just in Time」というキーワードが掲げられ、その実現を見据えた新機能の一つとして、Webサイトの課題及び改善策を提案してくれる「Kaizen Assistant」が追加されるとのこと。

これまで、人の手によって行われていたWebサイトの課題抽出が、取得したデータからAIが自動で課題抽出を行うことで、より多くのクライアントの課題発見が効率的に行われ、グロースハッカーの仕事の幅も更に広がる、とされている。

この機能開発の背景には「人の仕事を奪うAIではなく、人の仕事を創造する AI」という思想があり、新しい働き方を新しい仕事の創造によって実現する、というビジョンとの一貫性が感じられた。

クロージングセッションの後にはカクテルパーティーが行われ、参加者同士の新たな交流も生まれていた。

グロースハッカーが日本型雇用形態を変えていく。Kaizen Platform社が目指す「21 世紀の新しい働き方」 column-170415_tk139-700x585
カクテルパーティーの様子

エコシステムを作っていくデジタル環境の「ユニバーサルデザイン」

筆者は昨年も本イベントを取材しているが、今年は前回に比べて更にKaizen Platform社の雇用に寄らない働き方やテレワークを実現するエコシステムの整備・発展に注力する姿勢が印象的であった。
このフォーカスの変化も踏まえて改めて感じたKaizen Platformのすごいところは、1つのITシステムにあらゆるユーザーが平等に参画できている点だ。

例えば、元々ITのバックグラウンドも無いママグロースハッカーと、プロ/アマチュアの個人グロースハッカー、プロダクションや制作会社といった企業で改善を担当する担当者が、1つのグロースハッカーとしてプラットフォームで磨きあえるようになっている。

もちろん難易度や守秘義務的な問題で、仕事をオファーするときに個別依頼やセグメントができる仕組みは設けてあるものの、基本的に誰に対しても平等になっているのである。

こうしたシステム的な意味でも、障壁が無い仕組みの強さが、「未来の働き方」を現実のものにしつつあると実感した。

▼参考リンク
https://kaizenplatform.com/ja