近頃、Fintech(フィンテック)というキーワードがビジネス界隈のニュースを賑わせている。過去にもいくつか取材記事を書いてきたが、今回はそんなFintech分野でも特に話題のサービス「Kyash」を紹介したい。
手数料無料で友達や家族に送金ができる「Kyash」
「Kyash」は個人間の送金・請求(CtoC 送金)が無料でできるモバイルアプリ。“送りたい相手をSNS等から指定し、金額を入力するだけで送金ができる”というシンプルなものだ。
受け取ったお金はKyashの中で発行される「Visaのバーチャルカード」(Visa加盟店で使えるカード)に入金される。
この手の個人間送金サービスは日本でも複数立ち上がっており、貯まったお金を現金として引き出すことはできないなどのデメリットもあるが、Kyashの「本人確認が不要」「レシートなどの事前準備も不要」「VISA加盟店で利用可能」といった手軽さは他のサービスにない利便性を生み出している。
▼AppStore – Kyash(キャッシュ)- かんたん送金アプリ
▼GooglePlay – Kyash(キャッシュ)- かんたん送金アプリ
運営会社は、サービス名と同じ名称の「株式会社Kyash」。
代表取締役CEOの鷹取真一氏は、三井住友銀行や戦略系コンサルティングファームを経てKyashの創業に至ったという。エンジニアリングチームにはグローバルなメンバーが名を連ねており、今後も最先端のテクノロジーを用いた金融サービスを始めとするチャレンジングな開発が期待される。
「Kyash」を実際に使ってみた
今回、実際にKyashを利用して、会社の同僚に300円送金してみたのでご紹介したい。Kyashのインストール後には、アカウント登録(メールアドレスかFacebookアカウント)を済ませば、すぐに送金操作に移ることができる。
※この検証が2017年5月末に行ったものであり、Kyashは頻繁に改善活動を行っているため、ユーザーインターフェースは現在と異なる可能性がある点はご了承ください。
実際に会社の同僚に300円送ってみたが、送金を設定する画面では、金額とメッセージを入力するだけでOK。ややセキュリティの関係かアプリの通信が遅い部分があったが*、チャット感覚で送金操作ができた。
※この検証は2017年6月12日現在のiOSアプリの最新バージョンでは速度改善の修正が完了している。
続いて表示される確認画面では、画面下部のアイコンをスライドさせるだけで送金処理を行える。送金相手(受け取り側)は送られてきたURLをクリックすると、右図のような画面が表示される。
今回は対面しながらアプリ内の設定部分にあるアカウントを表すQRコードを利用して送金したが、Kyashをインストールすれば入金額を利用できるようになる。FacebookやLINEのアカウントを知っていたり、クレジットカードが手元にさえあれば、特に手間は感じられないのではないだろうか。この仕組みなら、例えば、飲み会の割り勘はもちろん、Qeticで良く取り上げているようなアーティストのライブチケットの購入にも幹事がオンラインで購入して他のメンバーが事前事後に送金することで共同購入ができるだろう。他にもフジロック等では電子マネーが導入されているので、ライブ会場での飲食代やグッズ購入もKyashで集金してそれを割り勘することも可能だ。
参考:飲食・グッズ販売に「電子マネー」導入!
しかも、この5月末のトライアルや記事の執筆間にアップデートがされ、現在はさらに使いやすくなっている。
※Kyash広報からご協力をいただき、最新画像をいただいた。
「誰でも簡単に使える」を形にしたFintechサービス
Fintech分野のサービスを理解するには、テクノロジー・金融に関して一定以上の知識が求められることが多く、ユーザー側にも一定のリテラシーが求められる。
更に、Fintech分野のスタートアップは元外資系投資銀行やメガバンクなどの金融のプロか、ブロックチェーンやAIアルゴリズムといった最新のテクノロジーにたけたエンジニアがボードに入ることで、彼らの専門性の高さが逆にバイアスになって、 UXの視点が欠けるものが散見される。
しかし、Kyashはインストールすればすぐに使うことができ、初めて利用するユーザーでも簡単に送金を行うことができる。このようなサービスが普及すれば、これまで以上に多くの人が、より便利で安全に金銭のやり取りを行えるようになるだろう。
今後、ユーザーの拡大を目指すにあたっては、利用できる店舗の充実や提携サービスの拡大など、「Kyash経済圏づくり」がポイントになっていくのではないだろうか。実店舗での決済導入も準備中だそうだ。
是非一度使ってみてはいかがだろうか。