AIや音声認識などの技術発展とその平準化に伴って、ロボットはこれまで以上に私たちの日常に身近な存在となってきている。
そんな中、子どもの見守りをサポートするロボットとして注目を集めているのが「BOCCO(ボッコ)」だ。
今回、BOCCOを開発しているユカイ工学さんのオフィスに訪問し、直接お話を伺ってきた。
家族間のコミュニケーション助ける「BOCCO」
「BOCCO」は、スマートフォンアプリを介して、家族とのメッセージのやり取りをサポートしてくれる。
「家にいる子どもの様子が気になる……」という方も、BOCCOを介して家にいる子どもと簡単にコミュニケーションが取れるのだ。
「機能の充実よりも、話しかけやすいUIを意識している(ユカイ工学 青木社長コメント)」とのことだった。
ロボットが音声メッセージを読み上げてくれるため、温かみのあるやり取りを行える点が特徴である。
先端機能を搭載しながらも、定価で3万円台という価格も魅力的である。
最近は、住宅最大手の大和ハウス工業さんのスマートハウスの音声アシスタントとしてBOCCOが採用されたり、宅配ロッカー最大手のフルタイムシステムさんとのコラボレーションも話題になり、日々注目度が高まっている。
スマートホームでのデジタルデータの通知や、荷物が届いた場合などに、本来Eメールやアプリなどが使われるインターフェースへBOCCOが入り、コミュニケーションのハブになるというものだ。
今後は「ネット上のサービスとどんどん連携していく」という方針を取っていくそうだ。
参考:大和ハウス工業のスマートホーム実証事業にBOCCOが音声アシスタントとして採用されました<2017年夏始動予定>
参考:【新機能追加】フルタイムシステムの宅配ロッカーとBOCCOのサービススタート。
数々の先端プロダクトを生み出すユカイ工学
一方、BOCCOの作り手であるユカイ工学も非常にユニークな企業だ。
2007年に設立して以降、「世の中をユカイにする」というコンセプトで、数々のロボットを世に出し続けている。
参考:ワンダーフェスティバルで大好評の「HATSUNE MIKU by iDoll×Nendoroid」詳細情報を公開!
オフィスには開発を手掛けたプロダクトが置かれており、2フロアとゆとりのある空間になっていた。
約30名のスタッフが働く空間には様々な機材が揃っており、「すぐに手を動かせる」という環境づくりを重要視しているとのことだ。
現在はBOCCOを中核の1つに10種類以上の自社開発製品を扱う他、「車の入出庫を感知するセンサー」や「健康状態を計る腕時計型デバイス」など、先端技術を扱った受託開発も行っている。
「バランス感」こそがプロダクトの最大のポイント
BOCCOに搭載された音声認識などの「技術面」も素晴らしいが、子どもが親しみやすい「デザイン」にも多くの工夫が施されている。
機能面とコミュニケーション面のこの「バランス感」こそがBOCCOというプロダクトの最大のポイントではないかと思う。
ロボットは機能面が注目されがちな分野ではあるが、昨今のテクノロジーレベルで言えば完全に人間の要求水準を満たす完璧なAIを作る段階には至っていないので、いかにコミュニケーションを取りやすいか(≒使いやすいのか、日常になじんでいけるのか)という点の方がしばらく鍵になっていくだろう。
また、日本はアニメ&キャラクター分野も発展しているので、よりコミュニケーション設計面が重要視される可能性もある。
家庭用ロボットやAmazon Alexaを代表するスマートスピーカー、それ以外にも海外から新しいロボットが日本に上陸する噂も出てきている。国産コミュニケーションロボットの今後を占うであろうBOCCO、そしてユカイ工学さんの今後の動きにも注目していきたい。