新潟県・苗場スキー場での開催は今年で25回目となる<FUJI ROCK FESTIVAL>(以下、フジロック)が、7月26日(金)、27日(土)、28日(日)の3日間にわたり開催される。長い歴史を持つフジロックだが、そのラインアップに目を向けて見ると、ここ数年女性アーティストたちが目覚ましい活躍を見せていることがわかるだろう。今の時代にジェンダーで括ってしまうのも違和感があるが、音楽フェスにおける女性アーティストたちの活躍と、社会での女性の活躍は、少なからず一致している部分もあるはず。ということで、今回はあえて女性アクトに注目させてもらう。

フジロックにおける女性アクトの活躍

海外では、ヘッドライナーを「女性アーティストのみ」にした音楽フェスが開催されるなど、近年音楽フェスにおいてもジェンダー平等を推し進めようという考えが広がりをみせている。フジロックでも、2019年にシーアが豪雨の中ヘッドライナーとして圧巻のパフォーマンスを披露したことは記憶に新しいし、一昨年はホールジーが、昨年はリゾがヘッドライナーを飾り話題となった。ただ、フジロックのアーティストラインアップを見ていると、“闇雲に女性アーティストを増やしている”のではないということは、想像に容易いだろう。

そこで本稿では、<フジロック’24>のステージに立つ選ばれし女性アーティストの中から、リスナーをエンパワーメントし、新しい時代を切り拓く/拓いてきた6組を紹介する。

Peggy Gou
出演:7/26(金)

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世界中のダンスミュージックシーンから注目される、韓国出身のDJ/プロデューサーのペギー・グー。韓国で生まれ育ち、若くしてロンドンへ単独渡英。現在はベルリンを拠点に活動し、世界最高峰のベルリンのクラブ「Berghain」で韓国人女性DJとして初めて出演したことでも話題となった彼女。そのエネルギッシュな姿勢と活動は、女性DJの新たなロールモデルを築いていると言っていいだろう。

2024年6月7日にリリースした待望のデビュー・アルバムにして、ここ数年の彼女の活動の集大成のような『I Hear You』で、自身の存在意義を世界に向けて明確に提示したペギー・グー。益々活動の幅が広がりそうな今、<フジロック’24>でもセンセーショナルでグルーヴに満ちたパフォーマンスを披露してくれるに違いない。

Kim Gordon
出演:7/28(日)

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Photo by Danielle Neu

5年ぶりのソロ・アルバム『The Collective』をリリースしたばかりのキム・ゴードンの出演決定に歓喜したリスナーは多いだろう。かくいう私も、紛れもなくその1人である。ちなみに、キム・ゴードンが最後に来日したのは2013年だそうなので、なんと<フジロック’24>で11年ぶりの来日を果たすことになる。

そんなキム・ゴードンが『The Collective』で魅せた、音楽への変わらぬ挑戦的な姿勢と探究心、そしてさらに深みを増した、うねり這い回る表現力豊かな歌唱。彼女のエクスペリメンタルな姿勢がステージ上でどのような化学反応を生むのか。新作を引っ提げての、久しぶりの日本でのパフォーマンスに注目したい。

girl in red
出演:7/27(土)

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ガール・イン・レッドの楽曲は一聴するとベッドルーム・ポップで「イマドキ」であるが、そこで歌われているのはユース特有のキリキリと胸に迫る想いや悩みであり、さらに恋愛の対象は「’bout girls」(“girls”)である。クィア・アイコンとしても知られるガール・イン・レッドことマリー・ウルヴェンのすごさは、ひたすら自分自身と向き合い続けてきたからこそ、自分の内の、しかも若さ特有の鳴り止まないノイズたちを見事に幅広いリスナーに届く作品として昇華できている点だろう。それは紛れもなく、マリー・ウルヴェンの努力の賜物であるが、そういったバックグラウンドを知ってからだと、楽曲への印象がまるで違ったものになるはずだ。

大貫妙子
出演:7/26(金)

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70年代より日本の音楽シーンを牽引してきた大貫妙子。いつの時代も「新たな価値観で生きていこうとする人」の背中を押し続けてきた大貫妙子の歌は、“くすりをたくさん”の再ブームでもわかるように、いつになっても色褪せず、人々の心にそっと寄り添い続けてきた。そんな大貫妙子だが、なんとフジロックのステージに立つのは今回が初めて。今よりももっと女性が「女性らしく」あるべきとされていたであろう時代から表現活動を続けてきた大貫妙子の奏でるサウンドや歌詞たちからは、いつもどこか「自由の風」を感じる。心の奥深くに自由の風を吹かせてくれるこういった女性表現者たちの存在があったからこそ、現代において女性の社会進出が進んだのでは、といったら言い過ぎだろうか。

Erika de Casier
出演:7/26(金)

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Photo by Colin Solal Cardo

デビューアルバムでありながらマスターピースの1つともいえる2019年リリースの『Essentials』で、音楽業界に確かな存在感を示したエリカ・デ・カシエール。2023年には、K-POPグループ・NewJeansの2ndEP『Get Up』の楽曲制作に参加したことでも話題となった彼女の魅力といえば、UKガラージ、R&B、ヒップホップなどさまざまなジャンルを飲み込み生み出される「ジャンルレス・ニューポップ」とでも形容したくなる楽曲たちと、まるで水面の揺れと輝きを思い浮かばせるような瑞々しく繊細な歌声だろう。

2021年にリリースした『Sensational』では恋愛をテーマに「女性のステレオタイプ」の解体も試みていた彼女。ミュージシャンとしての進化を今年初頭リリースの最新作『Still』で我々に提示し、繊細な歌声とは裏腹に慧眼も持ち合わせた彼女は、<フジロック’24>でもやさしく美しく、オーディエンスをエンパワーメントしてくれるだろう。

Awich
出演:7/26(金)

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女性アーティストをまとめて紹介するのなら、彼女を紹介しないわけにはいかないだろう。いうまでもなく、ヒップホップを通して新たな「女性像」を提示し続けているのが、Awichだ。Awichは強く、真っ直ぐで、揺るがない。たびたび「ヒップホップの女王」と呼称されることがあるAwichだが、近年の彼女の活躍をみていると、あえて「女」とつけることすら躊躇ってしまうほど。2018年にChaki ZuluのDJ SETにYENTOWNで乗り込んだステージを除けば、2022年ぶり2度目となるフジロックのステージ。女性をエンパワーメントするファイトソングをこれまで何曲も発表してきたAwichはどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。今から楽しみだ。

Text by 那須凪瑳

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FUJI ROCK FESTIVAL’24

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2024年7月26日(金)、27日(土)、28日(日)
新潟県湯沢町苗場スキー場
 
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