高岩遼のよろしくHOLIDAY。デイ・トゥー!
この間の休暇といえば、2017サマーin故郷だったな。あれから暫く経ってしまったけど、久々の俺様ホリデーがやってきた。
近況報告といえば、SANABAGUN.はおよそ2年ぶりとなるアルバム『OCTAVE』をドロップ。ライブ以外にもお祭りなんかも企画しちゃってマブい感じだぜ。THE THROTTLEはDIY自主レーベル『CHIKARA LABEL』を立ち上げて、 バリバリアルバムつくってSpotifyにて単曲配信しまくったりとマブい感じで、各バンド・チームそれぞれ忙しくさせてもらってますチェックよろぴく。
そう、高岩遼のソロの・・SWINGERZの・・・ムニャムニャ。
つーわけで、今日は久々にゆっくりできそうだからお出かけしようか。東京は中央区、大人のタウン「日本橋」にあるイタリアンレストランでしっぽりディナーなんてどうだろう。ちと、会いたい人がいるんだ。
日本橋という町は、江戸時代に開発が進んだ。渋谷・新宿のあのガチャガチャ感もまた東京だが、日本の古き伝統と革新のアダルト金融街をプラりするのも良いもんだぜ。最近じゃ若い起業家なんかもこのエリアに集まってきているんだとか。すれ違うビジネスメンのスーツも少し高そうに見えてくる。今日の俺の身嗜みは玉虫色でピークの広い60’sのダブル。タイはアイボリーホワイト。ハットはつばの広いお気に入りを持ってきた。カフスはおじぃちゃんの形見だぜ。どうよ、バッチリだろー?
お店の最寄りはメトロで茅場町。駅徒歩5分の裏路地にてひっそりと佇ずんでいる。夜道に漏れる店のライトは暖かく、窓から見える焦げ茶の木目の店内と、棚に積まれたワイン群。よっしゃ〜ついに来た! 『ウ・パドリーノ』。ア・ガ・る・ぜ。
店内に入ると、ここではイタリアの家庭料理が振る舞われていると直ぐに気がついた。気取ってなく、素敵だ。壁にはズラリと額縁とお写真。ほーう……これはこれはあの方ですな。これはあの方で、これはあの人かな? あっ!シナトラだ! ラットパックの写真も飾られてるじゃねぇかっ! わー皆、イタリア系アメリカ人というわけだな。感じるぜ、“FAMILY”。
ディナーは完全予約制。アラカルトも選りすぐりだが、今宵はコースを楽しませていただこうかしら。ピザも食べたいから今宵はシンプルなコースで。食前酒はビア、いやビッラ。イタリアビール、“モレッティ”。大好きな銘柄だ。日本人の舌に合うんだぜ? そんじゃー、Cincin!
前菜が届く。運んでくれたウェイターのイケメンはジーノさん。俺が今日会いにきた方の息子さんだそうだ。どうもはじめまして、よろしくお願いしますねっ。
シルバー手に持ち、前菜のカジキマグロを口に運ぶ。レモンですっきりと、うーんこれは!……ウマい! ジーノさん、これはシチリアのスタイルですか? なるほど。シチリアーノの郷土料理ですね。美味しゅうございます。
(パクパク・・モグモグ・・ウマっ! モグモグモグ……う〜んデリシャス! モグモグモグ……)
ジーノさん、お父様は何時頃いらっしゃいますか?あっ、そろそろですか。愛車でね、承知しました。赤ワインをいただきたいのですがこのピノ・ノワールあります?ちょうど在庫切れですか。ではお店の任せでっ。フルボディがいいです。うんボトルでね。
緊張と高揚が高まってきた。一体どんな話が聞けるのだろうか……早く来ないかなっ。
ブーン。外に白い車が見えた。あれは・・・
どうやら到着されたみたいだな。
今一度、髪をかき上げる高岩遼。チーフも直して、とっ。
カランカラン。来たっ!
襟の高いシャツに皺一つないストライプスーツ。ビシッとキマッたオールバックにオレンジミラーのサングラスをかけた大男。このオーラは……本物だぜ。
時は1930年代、アメリカはニョーヨーク。シチリア系アメリカ人によるマフィアの大ボスとして君臨し、伝統に革新を加え、マフィアをビジネス界へと牽引した夜の帝王。映画『ゴッド・ファーザー』の元になったともされる人物。チャーリー・“ラッキー”・ルチアーノの末裔である貴方が……
やっと会えましたね、
マリオ・ルチアーノさんですね。
高岩遼のよろしくHOLIDAY
高岩遼
岩手県宮古市出身。ヒップホップチーム「SANABAGUN.」、ロックバンド「THE THROTTLE」のフロントマン。謎多き表現者集団「SWINGERZ」の座長。ソロ活動ではジャズを唄い、2018年10月にビッグバンド率いたソロデビューアルバム『10』を発売予定。“平成のスター”に相応しい圧倒的存在感、スキル、ショウマンシップで大衆を魅了する。
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Photo by 横山マサト