今週、「InterFM 897 Tokyo Brilliantrips」と連動してお伝えするのは、世界に注目されるストリート・アーティストこと、バンクシーを追ったドキュメンタリー『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』。
普段はイギリスで活躍するバンクシーがNYで一ヶ月間、毎日新作を投下することを発表した。制限時間は、その作品が消されてしまうまで。グラフィティの聖地であるNYで、バンクシーが仕掛けた宝探しゲームが始まった。今作は、その狂乱の一ヶ月をまとめた映画である。
バンクシーが何故、こんなにも世界で騒がれ、評価されているのだろうか。「分かりやすい政治批判があるから」「グラフィティという、一過性のものであるから」「正体が謎に包まれているから」「かっこいい」意見は何通りにもあるだろうが、確かに一目にみて、彼の作品は分かりやすくスタイリッシュだ。
前作、『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』で初めてバンクシーの皮肉に触れた者たちは、お騒がせな今作をどう観たのだろうか。ドキュメンタリータッチで描かれた前作は、私たちに「どこまでがノンフィクションなのだろうか」と疑わせ、アートを評価している者を嘲笑しているように思えた。
今作はバンクシーの動きに翻弄されている、どこか愚かにも思える人々を、画面の向こうの我々は少し高根から見つめることとなる。その距離のおかれた視点は、バンクシーが問題提起する「室内(美術館)にあるから、それはアートなのか?」ということを真っ向から考えさせるものであった。
しかし、この一ヶ月を追っていく内に、いつの間にかジョーク混じりに作品を作り上げる、彼のエンターテイメント性に我々は魅了されている。だからこそ、いくら翻弄されようともこのゲームの行方が知りたいと思ってしまうのではないのだろうか。
バンクシー・ダズ・ニューヨーク
3月26日(土)渋谷シネクイント、4月2日(土)渋谷アップリンクほか全国順次公開
監督:クリス・モーカーベル
2014年/アメリカ/81分/カラー/16:9/DCP
提供:パルコ 配給:アップリンク、パルコ 宣伝:ビーズインターナショナル
RELEASE INFORMATION
[amazonjs asin=”4865061606″ locale=”JP” title=”BANKSY IN NEW YORK バンクシー・イン・ニューヨーク【日本語版】”]
edit by Rina Kawarai