1970年に製作されたローラント・クリック監督作品『デッドロック』(原題:DEADLOCK)が、2021年5月新宿K’scinema他にて公開されることに。公開決定に併せてメインビジュアル、場面写真1枚も解禁となった。
ローラント・クリック監督『デッドロック』が日本初公開決定!
わずか7人の登場人物、そして“アメリカ”が舞台でありながらイスラエル・ネゲヴ砂漠で撮影されたドイツ映画『デッドロック』は、伝説のジャーマン・ロックバンド・カン(CAN)のサイケデリックなサウンドトラックが鳴り響き、明らかにセルジオ・レオーネの『続・夕陽のガンマン』を彷彿させる物語にも関わらず、アレハンドロ・ホドロフスキーの『エル・トポ』やジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』の影響下にあるようなポストアポカリプス的雰囲気に溢れている作品だ。荒野を彷徨うかのように逃げてきた傷ついた若い男、荒れ果てた家に住むさえない中年男と狂女、そして口のきけない美少女。黒づくめの殺し屋が静かにやって来る。墓場に埋められたはずの100万ドルを奪い合う男たちの闘いが、いま始まるー!
本作は1970年のカンヌ映画祭からコンペティション出品オファーを受けるが、ドイツ国内の監督や批評家から、当時勃興していたニュー・ジャーマン・シネマを貶めるものだと出品を反対され、特別上映というかたちでの上映となったことでも話題に。ところが、当日雨で少数の観客だけでの上映となりその後の『デッドロック』のカルト化に拍車をかけることになった。しかしドイツ国内では興行的に成功、ドイツ映画賞長編作品賞に選出されている。
出演は、マカロニ・ウエスタン『暁のガンマン』『スペシャリスト』などで知られるイタリア系ドイツ人俳優マリオ・アドルフ、『ダイヤルMを廻せ!』や『007 は殺しの番号』のイギリス人俳優アンソニー・ドーソン、『聖なるパン助に注意』などファスビンダー作品でおなじみのマルクヴァルト・ボーム、そして、同じくファスビンダーのSF『あやつり糸の世界』のマーシャ・ラベンら。音楽はクラウトロックを代表する前衛バンド、カン(イエジー・スコリモフスキ監督 『早春』)が担当している。
その後、ハリウッドやマカロニ・ウエスタンをはじめとしたイタリア映画界の誘いをすべて断った監督のローラント・クリックは、ドイツ映画界でも話題に上ることもなかったものの、わざわざクリックをハリウッドに招待したスティーブン・スピルバーグをはじめ、アレハンドロ・ホドロフスキーやクエンティン・タランティーノらがその自由さと大胆さを絶賛しており、今の映画界に与えた影響は計り知れない。今回、お披露目となったチラシビジュアルにはホドロフスキーの「ファンタスティックで、ビザールで、ギラついている。」という本作への賛辞を寄せたコメントが採用されている。
ファスビンダー、ヘルツォーク、ヴェンダース、シュレンドルフらニュー・ジャーマン・シネマの代表とされた監督たちと同世代でありながら、徒党を組むことを拒み、栄光に背を向けて独自の世界を追い求めた“ドイツ映画の孤狼”ローラント・クリックが、ついに日本に初上陸に果たす。世紀の問題作をぜひ劇場で堪能してほしい!