『ヤング・アダルト・ニューヨーク』

7月22日(金)よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国順次ロードショー

ご存知『フランシス・ハ』の監督、ノア・バームバックの最新作。個人的には『スターウォーズ』の気弱な悪役のイメージではなく、『フランシス・ハ』のちょっと気取ったシティボーイのようなイメージがアダム・ドライバーにはあったのだが、すっかり世間的には『スターウォーズ』出演の大物俳優と成り上がったように思える。そんなアダム・ドライバーとベン・スティラーが合わさり、良くいえば“自分の道を突き進む人”を、悪くいえば“空気が読めない人”を描くことに関しては天下一品のノアがタッグを組めば、 “少し痛い、でも愛おしい”人間が描かれるのは容易に想像できる。と、いうか想像出来すぎる。傍から見ていれば微笑ましいが、友人には持ちたくない、そんな人間ばかり撮るノア・バームバックという監督は、人間という生き物をどんな風に見ているのだろうと、ふと思う。見終わったあとには、原題の“While We’re Young”という言葉が、胸に響くであろう、なんだか少し甘酸っぱい、そんな作品。

監督:ノア・バームバック
出演:ベン・スティラー

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『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』

7月16日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

今年度<ゴールデン・グローブ賞>、<アカデミー賞>に食い込んだ今作は、あまりにも有名な作品『ローマの休日』の脚本家・トランボの、真実の物語。個人的に大好きな、エル・ファニングが娘役で登場しており、既それだけで見たい。“表現の自由”を手に入れる為に、名声を捨ててまで闘った父親の姿に、世界が感動した。1940〜50年代のハリウッドという舞台も最高に素敵だ。

監督:ジェイ・ローチ
主演:ブライアン・クランストン

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『勝手にしやがれ』

7月23日(土)よりK’s cinemaほか全国順次ロードショー

なんてったって、いまになって『勝手にしやがれ』『気狂いピエロ』の新訳なんてやるのだ? いや、いまだからこそ映えるものがあるのだろうか。ヌーヴェルヴァーグでは一番名を馳せている、今も現役の監督、ジャン=リュック・ゴダール。個人的にはトリュフォーの方が好きなのだが、先に名を知ったのは無論ゴダールだったと思う。ゴダールの映画は、時代の変化によってミューズも変わり、作風も変わり、画面も変わる。彼自身の当時の思想や流行を簡単に作品に取り入れてしまう柔軟さは、シネフィルを唸らせ、一般の観客を驚かせてきた。最新作『さらば、愛の言葉よ』では、大胆に3D撮影を行ったのも記憶に新しい。そして彼の愛犬ばかりが映っていたのも……。『勝手にしやがれ』は、当時大人気であったジーン・セバーグと、その後ヌーヴェルヴァーグの作品に、幾度となく登場するジャン=ポール・ベルモンドを使用。時間やお金、そして技術の制限がある中で、野心ある若者たちが集まり、“映画の作法”を無視してまで作り上げた今作は、今見ても「かっこいい」と感心する傑作だ。気まぐれに離れくっつき合う男女。彼らの若さ故の向こう見ずな行動は、いつも儚さと美しさを伴う。余裕があればぜひ、『気狂いピエロ』と併せて見てほしい。

監督:ジャン=リュック・ゴダール
主演:ジャン=ポール・ベルモンド

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それでは今週も映画三昧!

text by Mara