ガザで生まれ育った双子の監督タルザン&アラブ・ナサールによる初の長編で、第68回カンヌ国際映画祭批評家週間に出品され話題を呼んだ作品『ガザの美容室』が6月23日(土)より新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開されることが決定。
映画『ガザの美容室』はパレスチナ自治区ガザの小さな美容院を舞台に、戦争状態という日常をたくましく生きる13人の女性たちを描いた作品。
ガザで生まれ育った双子の監督、タルザン&アラブ・ナサールは本作に込めた思いをこう語る。
「ガザ地区の女性たちは、頭からつま先までベールで覆っていて、外の世界の価値観を知らないというようなお決まりの姿で描かれる。でも他の地域の女性と同じように、彼女たちは幸せを感じたり悲しんだり、日々の問題に向き合い、恋もするし、自分の意見も持っている。僕らは、そんな人々の暮らしを映画にしたかったんだ。映画では、外で戦闘が起こっても、女性たちは美容室の中でメイクをしたり、髪形を整えたりしている。誰もが夜の予定に行けることを望み続けてるんだ。恋人との待ち合わせや結婚式なんかをね。彼女たちは変わらず自分たちの日常を生きているわけだからね。レジスタンスは、常に身体的な抵抗を意味するとは限らないんだ。メイクをすることやヘアスタイルについて相談することも、レジスタンスになり得るし、それが人を生きることや希望に向けさせるんだ。戦争中であっても、彼女たちは常に人生を選択している。僕たちは“虐げられたパレスチナの女性”ではなく、人々の暮らしを、死ではなくて人生を描かなきゃならないんだ。」
『ガザの美容室』ストーリー
パレスチナ自治区、ガザ。クリスティンが経営する美容院は、女性客でにぎわっている。離婚経験調停中の主婦、ヒジャブを被った信心深い女性、結婚を控えた若い娘、出産間近の妊婦。皆それぞれ四方山話に興
じ、午後の時間を過ごしていた。
しかし通りの向こうで銃が発砲され、美容室は戦火の中に取り残される——。極限状態の中、女性たちは平静を装うも、マニキュアを塗る手が震え、小さな美容室の中で諍いが始まる。
すると1人の女性が言う。「私たち が争ったら、外の男たちと同じじゃない」——いつでも戦争をするのは男たちで、オシャレをする、メイクをする。たわいないおしゃべりを、たわいない毎日を送る。
それこそが、彼女たちの抵抗なのだ。
第68回カンヌ国際映画祭批評家週間に出品され話題を呼んだ本作は、ガザで生まれ育った双子の監督タルザン&アラブ・ナサールによる初の長編で、戦争状態という日常を生きる女性たちをワンシチュエーションで描き、戦闘に巻き込まれ、監禁状態となった人々の恐怖を追体験する衝撃作。