今週、「InterFM 897 Tokyo Brilliantrips」と連動してお伝えするのは、クエンティン・タランティーノ最新作『ヘイトフル・エイト』。
『ジャンゴ 繋がれざる者』以来のクエンティン・タランティーノの最新作。「タランティーノ イズ バック!」そう断言できる、タランティーノの映画愛に満ちあふれた作品。ファンであれば、ぜひとも彼の遊びに付き合ってほしい。
舞台は、雪山にポツリ建っている一軒の雑貨屋。密室にならざるを得ない状況を作り出すのは、この雪山。だから観客をアッと驚かせるような壮大な雪山でなければいけない。それを考えたタランティーノは、2.76:1という特殊広角カメラこと、“ウルトラ・パナビジョン70”というフィルムカメラを用いる。そのワイドスクリーンで見る雪景色はまさしく「圧巻」そのものである。
また、密室劇が繰り広げられる「ミニーの紳士用品店」も、広い画面で映すことによって、奥行きが強調されている。そして、その用品店の美術を手掛けたのが、世界で活躍する日本人、種田洋平である。タランティーノとは『キルビル』以来のタッグ。雑多に置かれているようで、物語に必要なものが綿密に計算されて置かれている、美術へのこだわりも堪能していただければと思う。また、毎度ではあるが、オープニング、エンディングもクレジットのフォントも可愛らしく、“ロールをしない”エンドロールも、タランティーノの映画へのこだわりを感じられる。
そして、一癖も二癖もあるキャストにも注目だ。8人の中でも、女ギャング・ドグメル役のジェニファー・ジェイソン・リーと、物語の中心人物でもある、タランティーノ作品にはおなじみのサミュエル・L・ジャクソンの二人は要チェック。タランティーノ作品初参加となるジェニファー・ジェイソン・リーは、顔を殴られ、唾は吐かれて、血は浴びてと、紅一点にも関わらずタランティーノ映画たる、酷な扱いを散々に受けるが、負けん気の強いギャングの役を見事演じきった。彼女のラストに向けての狂気的になっていく姿は目を離せない。またサミュエル・L・ジャクソンは、この物語のキーパーソンとなっていくので、彼の行動にも注目してほしい。そして、もう1人、重要な人物が現れるが、ネタバレは避けたいところ。気になる人には、冒頭のクレジットをよく見てみてほしい! 見知った名前が平然と出てくるはずである。
今作、「この8人、全員嘘つき」と謳われている、密室ミステリ。約3時間にも及ぶ、タランティーノの映画愛をとくと御堪能あれ!
ヘイトフル・エイト
大ヒット公開中
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:サミュエル・L・ジャクソン 他
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text by Rina Kawarai