<第76回カンヌ国際映画祭>にて、フランス時間5月17日(水)コンペティション部門の公式上映を無事に終え、9分半ものスタンディングオベーションで称えられた『怪物』(インターナショナルタイトル:MONSTER)だが、先立って発表された独立部門「クィア・パルム賞」の受賞に続き、現地時間5月27日(土)20時半(日本時間/28日(日)3時半)より開催された授賞式において、脚本賞を受賞した。
坂元裕二「たった一人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」
授賞式では、審査員長のリューベン・オストルンド監督(『逆転のトライアングル』で昨年、パルム・ドールを受賞)をはじめ、ジュリア・デュクルノー監督(『TITANE チタン』で‘21年にパルム・ドールを受賞)、ポール・ダノ、ブリー・ラーソンらが選ぶ脚本賞を受賞。
是枝監督は壇上で「ありがとうございます。一足早く日本に帰った坂元裕二さんに、すぐ報告します。僕がこの脚本の基になったプロットを頂いたのが2018年の12月なので、もう4年半前になります。そこに描かれた2人の少年たちの姿をどのように映像にするか、少年2人を受け入れない世界にいる大人の1人として、自分自身が少年の目に見返される、そういう存在でしかこの作品に関わる誠実なスタンスというのを見つけられませんでした。なので、頂いた脚本の1ページ目に、それだけは僕の言葉なんですけども、『世界は、生まれ変われるか』という1行を書きました。常に、自分にそのことを問いながら、この作品に関わりました。一緒に脚本を開発した川村さん、山田さん、作品に関わっていただいたスタッフ、キャストの皆さん、みんなの力でこの賞を頂けたと思っております。ありがとうございました」とスピーチした。また、現地メディアの中継で是枝監督は、受賞後すぐに坂元裕二さんに報告したところ、坂元さんから「夢かと思った」と返事がきて、そのあと続けて「たった一人の孤独な人のために書きました。それが評価されて感無量です」と喜びを寄せたことを伝えた。
カンヌ国際映画祭において日本映画の脚本賞の受賞は、2021年の第74回カンヌ国際映画祭にて濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が受賞して以来2年振り、是枝監督作品のカンヌ映画祭でのコンペ部門での受賞は2022年の『ベイビー・ブローカー』に続き2年連続の快挙となった。
映画『怪物』予告映像【6月2日(金)全国公開】
INFORMATION
怪物
6月2日(金)、TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー
■キャスト:安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 / 高畑充希 角田晃広 中村獅童 / 田中裕子
■監督・編集:是枝裕和『万引き家族』
■脚本:坂元裕二『花束みたいな恋をした』
■音楽:坂本龍一『レヴェナント:蘇えりし者』
■企画・プロデュース:川村元気 山田兼司
■製作:東宝、フジテレビジョン、ギャガ、AOI Pro.、分福
■配給:東宝 ギャガ
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