今週、「InterFM 897 Tokyo Brilliantrips」と連動してお伝えするのは、『リリーのすべて』。
愛する人ために、アナタは何ができるだろうか。
『英国王のスピーチ』で、アカデミー賞4部門を受賞した、監督トム・フーパー。そして、『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したエディ・レッドメイン。『レ・ミゼラブル』以来の黄金コンビで送る今作、『リリーのすべて』は、実話を基にした、感動作である。
エディ・レッドメイン演じる、リリーの美しさは言葉に表せぬ程美しい。徐々に自分の性に気づいてく彼女は、立ち振る舞いがより女性らしくなっていき、体つきもか細くなっていく。しかし、そこには変貌への驚きと同様に、世間からの冷たい目線もつきまとう。当時の彼女の逆境的立場と、それでも強くいようとする意志は儚く脆いものである。
なにより彼女が選ぶ決断は、彼女のかけがえのない大事な人であるゲルダを傷つけることになる。ゲルダがリリーにとって大切な人であることは変わりないが、「リリーでいること」を選んだ彼女は、ゲルダと共に生きることは選ぶことができない。それでも自分に正直に生きようとした彼女の、ラストに向けてゲルダに告げる一言は、重く、それほどの覚悟と決意が感じられた。
そして、アリシア・ヴィキャンデル演じた、リリーの妻である、ゲルダの在りかた。愛するが故、相手の生き方を肯定し、支えることを決意したゲルダ。結果、世界で初めて性別適合手術を受けるという危険なリリーの決断も後押しをする。同時に彼女は、夫であったアイナーと精神的な別れを、リリーとは肉体的な別れをし、愛する人との別れを二度も経験することにもなる。それが、どれほどに辛いことなのか、我々には想像をしがたい。それでも最後には気丈に振る舞おうと決意した彼女の姿は、世界中の観客を魅了し、見事今年度アカデミー賞、助演女優賞を受賞した。
様々な困難にぶつかりながらも、お互いを支えあった二人。「人を愛するとはどういうことなのか。」ということを改めて考えさせられる、壮大な愛の物語である。
リリーのすべて
2016年3月18日(金)より全国公開
監督:トム・フーパー
出演:エディ・レッドメイン
(C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.
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text by Rina Kawarai