今週、「InterFM 897 Tokyo Brilliantrips」と連動してお伝えするのは、一風変わった実在の歌姫をモデルにした映画『偉大なるマルグリット』。
彼女は何故、歌い続けたのだろうか?
ソプラノ歌手であり、“音痴の歌姫”こと、フローレンス・フォスター・ジェンキンスをモデルにした今作。彼女は歌唱能力が決定的に欠如していたにも関わらずその型破りで圧倒的な歌いぶりが評判となり、当時の音楽ファンをも虜にした。
主人公、マルグリットは歌うことが大好きな音痴である。周りはそれに気づいながらも、情けか嘲笑か、彼女を愛するがゆえ、傷つけたくないがゆえに、音痴だという事実を告げない。いつ彼女が真実を知るか、知ったらどうなってしまうのか、そのスリルと興奮が最大の見所である。
マルグリットの周りにはさまざまな人間が行き交う。夫のジョルジュは妻の音痴が周囲にバレることが恥ずかしく、マルグリットのワンマンリサイタルを止めようとする。一方では、マルグリットが大勢の前で歌うことを勧める、執事のマデルボスや新聞記者のボーモン。しかし、彼らの本音はどこか違うところに隠しているようだ。
一見、コメディ要素を含んだ心温まるドラマのようなのだが、それぞれの思惑が交錯していく、先が予測できないサスペンスとして仕上がっているのである。
ストーリーはもちろん、『魔笛』『フィガロの結婚』『ラクメ』などの有名なオペラの曲の彼女の歌声による変わり様、1920年代の衣装や、宮廷など豪華な美術にも注目してみてほしい。
偉大なるマルグリット
2月27日(土)シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA他全国公開
監督:グザヴィエ・ジャノリ
出演:カトリーヌ・フロ
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text by Rina Kawarai