今年公開の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、映画史に残る記録を打ち立てたマーベル・スタジオに対し、9度のアカデミー賞受賞歴を誇るアメリカ映画界の巨匠マーティン・スコセッシが苦言を呈したことが先日話題となった。そんな渦中の彼が自らの見解を説明するエッセイを寄稿し、さらなる注目を集めている。
マーティン・スコセッシが語るマーベル・スタジオ作品への想い
米・NY Times紙にエッセイを寄稿したスコセッシはその中でマーベル・スタジオやそのスタッフ・キャスト陣との一連の騒動について、「多くのフランチャイズ作品は著しい才能と芸術性を備えた人々によって制作されている。映画を観ればわかるはずだ。ただ事実として、私がそういった映画に興味を持てないのは、単に個人的な嗜好や性格の問題だ」とマーベル・スタジオ作品が自身の趣味に合わないだけだと弁明している。
また興味を持てない理由については「マーベル(・スタジオ)映画には映画として定義する要素の多くが散りばめられているのは私もわかっている。そこにないのは、新たな発見やミステリー、もしくは純粋な感情としての危機感なんだ。何ひとつ危機的な状況じゃない。マーベル・スタジオの作品は一部の要求のセットを満たすために作られているし、限られたいくつかのテーマに則ったバリエーションとしてデザインされている」とスコセッシならではな解釈で説明している。
さらに「最近の多くの映画作品は瞬間的な消費のために製造された完璧なプロダクトだ。その多くが才能ある個々人の集まるチームの手で作られている。それでも、その映画には映画に不可欠な何かが欠けている。それは個人のアーティストとしての統一されたビジョンだ。なぜなら、当たり前だが、個人のアーティストというのは何においても最も危険を伴った要素なのだ」と自らの映画に対するこだわりを語っている。
これまでも多くの物議を醸してきた彼の発言はマーベル・スタジオ作品のファンだけでなく、世界中の映画ファンの注目を集めている。果たして、この騒動はどのような決着を迎えるのか? 続報を待ちたい。