いま大注目のヒーロー系エンタテインメント・ブランド:『マーベル』ってなんだ?
アイアンマン、アベンジャーズと最近映画界をにぎわせているヒーロー映画。これらは『マーベル』という最強のエンタテインメント・ブランドによるもの。『アベンジャーズ』等の映画の冒頭には『MARVEL(マーベル)』のロゴが出てきます。もともとこれらのヒーローはコミックが原作。いまやコミックの枠組みだけにとらわれず、映画、ゲーム、TV、アニメ、テーマパーク、配信ドラマ、おもちゃからアパレルに至るグッズまで幅広く展開されており、世界中で人気があるので、グローバルなエンターテイメント・ブランドの一つと言っても過言ではないでしょう。日本でも映画が大ヒットしたり、ハロウィンではヒーローたちのコスプレをする人を多く見かけるようになりました! SNSでマーベルについて発信する人やまた芸能人や文化人の中にもマーベル好きを公言する人が増え、女の子の中にも『マーベル』のロゴ入りTシャツやキャラクターをモチーフとした雑貨を身につける“マーベル女子”も現れています! いま、確かにきている 『マーベル』! その『マーベル』についてご説明します。
『マーベル』の特徴って?大ヒットしたワケって?
大きく二点にまとめると・・・
・60年代、従来のスーパーヒーローコミックに等身大の人間ドラマを持ち込み、多くの人々の心をつかんだ『マーベル』
・2000年以降、そのマーベル世代がハリウッドに進出し改めてマーベルに注目されたことや、CGの進化によって続々映画化!
さらに詳しく解説!
大雑把に言うと『マーベル』は、1960年代ごろから『ハルク』、『スパイダーマン』、『X-MEN』、『アベンジャーズ』等のヒット作を連発し、一躍有名になりました。人気を博した理由は、スーパーヒーロー物に人間ドラマを加味したことです。例えばスパイダーマンは超人でありながらも、その正体はいつもお金に困っている、冴えない若者。こうした設定が共感を得たのです。さてアメコミは、日本のマンガ文化と大きく違うところがあって、それがユニークな世界を創ってきました。マンガの権利自体を原作者ではなく、出版社が持っているのです。なので『マーベル』は時代にあわせ、作品を担当するクリエーターたち(お話を作る人と絵を描く人がわかれているのも特徴)を起用し描きつないでいく。こうすることで、その時代の空気、世相が作品に反映されてきました。またすべてのキャラクターが『マーベル』の所有物なので、共演させたり、話をクロスさせることが出来ます。だからヒーロー・チームの『アベンジャーズ』が実現したのです。そして2000年代ごろから、ハリウッドが『マーベル』に注目し始めます。
子供のころ『マーベル』を読んで育った世代が映画界で活躍するようになり、好きなマーベル・ヒーローの映画化に取り組みだしたり、またCGの進化でコミックでしか描けなかったヒーローたちのスーパーアクションが、映画でも表現できるようになったからです。こうして00年に『X-メン』02年に『スパイダーマン』の映画が公開され記録的なヒットとなります。この時、『マーベル』は『X-MEN』と『スパイダーマン』の映画化権をそれぞれ別の映画会社に渡していました。しかし「自分たちのコントロールでヒーロー映画を作ろう」という気運が高まり、『マーベル・スタジオ』として映画作りに着手しました。それが08年の『アイアンマン』です。そしてこの作品が記録的な成功をおさめ『アベンジャーズ』等の映画につながっていくのです。
“マーベル・シネマティック・ユニバース”–マーベル映画の世界とは?
08年の『アイアンマン』から12年の『アベンジャーズ』を経て、15年の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』、『アントマン』、そしてそれ以降予定されている一連のマーベル映画を“マーベル・シネマティック・ユニバース(マーベル映画世界)”と呼びます。このくくりを打ち出したことには、いくつか意味があります。まず、こうした世界観の中で映画を作れば『アントマン』を観てくれた人を、次の『キャプテン・アメリカ』の映画に連れてくることも出来るわけです。さらに映画は原作の設定と変えているところもあり、映画は映画の世界において1つの流れで進んでいて、コミック原作とは違う世界のものとして創られています。こうすることで、コミックを知らない人でも、またアメコミ原作と言いながらアメリカ以外の国の人でも楽しめるようにしました。それが功を奏し、
① 『アベンジャーズ』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は全米歴代興行成績トップ10入り。
② 08年の『アイアンマン』から15年の『アントマン』に至るまで12作品公開されているが、全世界での興行成績の合計はなんと1兆円以上! これはシリーズ物としては、『007』や『ハリー・ポッター』をしのぎ、世界で一番愛されている映画シリーズと言っても過言ではないのです。
また、“マーベル・シネマティック・ユニバース”とくくる意味合いとしては、別会社に映画化権がある『X-MEN』などの映画は、独自の展開をみせているので、それらと混合しないように、こうした差別化をしたわけです。
『マーベル』の面白い所は、この“マーベル・シネマティック・ユニバース”の中に、大ヒットした『エージェント・オブ・シールド』などのTVドラマや、ネットでのドラマも組み込んでいます。『マーベル』が好きになる間口を広げ、一度ハマれば、より大きな物語世界を楽しめるようになっているのです。
そう、きっかけはなんでもいい。あなたもぜひ一度、この素晴らしき、“マーベル・シネマティック・ユニバース”の住人になってください!
次ページ:マーベル年表で、まずは時系列と一緒に、どんな作品があるか知ろう!