コロナ以降の時代を考えるために観ておきたい社会派映画まとめ｜『パブリック 図書館の奇跡』等

新型コロナウイルス対策が喫緊の課題となる中で、目前に迫る都知事選挙に注目が集まっている近頃。今回は、社会情勢に対する関心が一層高まっている今こそ観ておきたい社会派映画3本を紹介。図書館員とホームレスが織りなすヒューマン・ドラマ『パブリック 図書館の奇跡』と、衆議院議員・小川淳也に17年間密着したドキュメンタリー『なぜ君は総理大臣になれないのか』、そして新人弁護士が起こした実話を映画化した『黒い司法 0％からの奇跡』の3作だ。

今観ておきたい社会派映画3選

1作目は、7月17日（金）よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開される『パブリック 図書館の奇跡』。キャストにはアレック・ボールドウィン、クリスチャン・スレイター、ジェナ・マローン、テイラー・シリングなど実力派が揃い、エミリオ・エステベス監督が実際の新聞記事に着想を得て、構想11年をかけて完成させた。

本作では記録的な大寒波の到来により、緊急シェルターがいっぱいで行き場がないホームレスの集団が図書館のワンフロアを占拠。突如勃発した大騒動に巻き込まれた1人の図書館員の奮闘を軸に、予測不可能にして笑いと涙の物語が展開していく。約70人のホームレスの苦境を察したスチュアート（エミリオ・エステベス）は、彼らと共に図書館に立てこもることに。しかし警察の機動隊が出動し、追いつめられたスチュアートとホームレスは驚愕の行動を決断する……。

「民主主義の柱」とも定義づけられる図書館を舞台に、貧富の格差や政治的分断が深刻化するアメリカの現実をあぶり出していくこの物語は、決して遠い国の出来事ではない。災害や格差に揺れる現代の日本にとっても、「公共」のあり方を問い、さらには「声を上げる」ことへの希望を示してくれるはずだ。

7／17（金）公開『パブリック 図書館の奇跡』／予告編

2作目は、2019年の国会で統計不正を質し、SNSで「統計王子」「こんな政治家がいたのか」と注目を集めた衆議院議員・小川淳也（当選5期）に迫ったドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』。監督・大島新が2003年10月10日・衆議院解散の日に彼と初めて出会い、民主党から初出馬する小川（当時32歳）にカメラを向けた。

「国民のためという思いなら誰にも負けない自信がある」と真っすぐに語る小川が、地盤・看板・カバンなしで始めた選挙戦。2005年に初当選し、2009年に政権交代を果たすと「日本の政治は変わります。自分たちが変えます」と目を輝かせた。そんな小川を17年間追った大島新の目に映ったのは、日本政治の希望か、絶望か……？　ポストコロナ時代に東京都知事選を迎える今だからこそ、これからの政治や未来について考えるきっかけになる作品だ。

映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』予告編

3作目は、冤罪の死刑囚たちのために闘う新人弁護士ブライアン・スティーブンソンが起こした実話を映画化した『黒い司法 0％からの奇跡』。主演は『クリード』シリーズや『ブラックパンサー』などで知られるマイケル・B・ジョーダンが務め、絶望の淵に立つ人々に寄り添いながら、不利な司法システムの中で闘うブライアンを熱演。監督は、『ショート・ターム』で世界中から注目を集めたデスティン・ダニエル・クレットンが務めている。

黒人への差別が根強い1980年代アラバマ州、犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、ブライアンは無罪を勝ち取るべく立ち上がる。しかし、仕組まれた証言、白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の差別と不正が立ちはだかる。果たしてブライアンは、最後の希望となり、彼らを救うことができるのか……？　可能性0％からの奇跡の逆転劇に挑む！

映画『黒い司法 0％からの奇跡』本予告 2020年2月28日（金）公開

これからの未来を考え、行動し、そして豊かな社会を目指していくためのヒントが詰まった3作品。是非チェックしていただきたい。