2017年作の映画『オタク・レボリューション』では、スクールカースト下層部に属している人たちについてこのような説明がある。「のけ者といっても皆違う集団よ。秀才軍団、バカ軍団、エモ、ゴス、バンド系、演劇系、管楽器系、合唱系、ファンタジー系、SF系、肥満集団、いろんなパンク、移民2世、子持ち、『トワイライト』ファン、IT系、ジェンダーに抗う者、ゲーマー、ハッパ系、アナーキストに無神論者。ヘルペスより種類が多い」

つまりナードと一口に言っても、いろいろなタイプがいるということだ。今回の「ナード男子」では、そのなかでも“ファンタジー系”に当てはまるキャラクターを紹介したいと思う。

File.05 『ウェイステッド』モーフィアス


『ウェイステッド』とは?

【ナード男子ファイル.05】『ゲーム・オブ・スローンズ』ファン必⾒『ウェイステッド』モーフィアス by ダニー・キレイン nerdboys-sub1
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ウェイステッド』は2016年に放送されたイギリスのドラマ。

舞台は架空の村ネストンベリー、そして主な登場人物はファンタジーショップ「ストーンド・ヘッジ」を営むモーフィアス(ダニー・キレイン)とその妹のサラ(ローズ・レイノルズ)、同級生のケント(ディラン・エドワーズ)、そしてモーフィアスが想いを寄せているアリソン(グウィネス・キーワース)の4名だ。

モーフィアスはアリソンになかなか告白できないでいる。ケントはDJの夢を諦めて地元に出戻り、野鳥園のアルバイトを再びはじめる。ヒッピー文化に憧れを持つサラは「いつかインドに行く」と口先ばかり。そしてアリソンはタトゥーアーティストの真似事をしている。彼らは好奇心旺盛な20代で、日々飲んだりラリったり、とにかく本能のままに過ごしている。そんな堕落した日常を追っているドラマが『ウェイステッド』である。

この作品のユニークなところは、人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(以下、GoT)でエダード・スターク役を演じたショーン・ビーンがモーフィアスの守護霊として登場するところだ。モーフィアスに気の迷いが生じると、彼の前にショーンが現れて助言をしてくれるという設定になっている。エダードは寡黙なキャラクターだが、『ウェイステッド』のショーンはあくまでも“エダード・スタークのような風貌のショーン・ビーン”。辛口でどぎつい下ネタも発するため、『GoT』のファンならばそのギャップを楽しめるはずだ。

熱狂的『ゲーム・オブ・スローンズ』ナード男子、モーフィアス

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潜在意識が最も信頼できる姿がエダード(ショーン)であることからもわかるように、モーフィアスは『GoT』の熱狂的なファンだ。ショーンが登場するシーンではスターク家の紋章であるダイアウルフがプリントされたTシャツを着用し、ショーンにスターク家の標語「冬来たる」を言わせようと試み、現実世界では『GoT』の舞台であるウェスタロス大陸の5000分の1をタトゥーとして入れようとしている。彼が情熱を注いでいるのは『GoT』だけではない。地元の伝統的なお祭り「ベリーマン」も大好きで、主役である森の妖精“ベリーマン”に抜擢されたこともある。


ファンタジーが大好きで夢見がちなロマンチスト、そしてまじめな性格であることから、モーフィアスはいじられキャラだ。他の3人にはめられてうっかり恥部を晒してしまったり、ケントの“尻拭い”をさせられたりと、気の毒に感じてしまうシーンも多い。それでも卑屈な男に成り下がらないところがモーフィアスの愛すべきところである。

ダニー・キレイン aka モーフィアス

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モーフィアス役を演じているのはイギリス人俳優ダニー・キレイン(Danny Kirrane)。イギリスのウェスト・ヨークシャーにあるハダースフィールド出身の男性だ。『ウェイステッド』の彼はあまり賢くなさそうだが、実はリーズ大学にて物理学と天体物理学を学んでいた秀才である。彼は2007年、ニコラス・ホルトやハンナ・マリーなどが出演していた青春ドラマ『スキンズ』の脇役で俳優デビュー。その後、コメディ『思春期真っ只中』からサスペンス『ユートピア』まで幅広い作風のドラマに出演。そして2013年にドラマ『Trollied』(原題)にて初めて準レギュラー役を獲得した。



2014年に入ると、ミュージカル映画『踊るアイラブユー♪』やアントニオ・バンデラス主演のSF映画『オートマタ』に出演。スクリーンでの活躍で箔がついたからか、ドラマで準レギュラーになる機会が増えていく。そして2016年、『ウェイステッド』で初の主演に。



2017年には大きく飛躍する。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』にてジャック・スパロウ率いる海賊団の一員、ボラード役を好演。さらに『ウェイステッド』 『GoT』双方のファン悲願の『GoT』デビューも果たしている。スターク家の家来役だったのがまた胸熱だ。

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昨年はゾンビコメディ映画『F. U. B. A. R.』(原題)やマイク・リー監督の新作『Peterloo』(原題)にも出演。キャリア初期から変わらず、コメディ作品とドラマ作品をバランス良く選びながら出演しているようだ。ダニーは昨今、イギリスの映画/ドラマ界に欠かせない役者になりつつある。

『ウェイステッド』&その他ダニー出演作を観るには?


『ウェイステッド』はHuluにてシーズン1が配信中。全6話各20分前後と短時間で完結している作品なので、『GoT』最終章の合間に休憩がてら観てみてはいかがだろうか。その他、同じくHulu とPrime Videoで配信中の『GoT』(シーズン7エピソード4)、Netflixで配信中の『スキンズ』(シーズン1エピソード8)、『思春期真っ只中』(シーズン3エピソード4)などでダニーの活躍を見ることも可能だ。

Hulu


Prime Video

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