12月4日(水)、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された。「和食」と聞くと、味噌汁や煮物のような、いわゆるおふくろの味、もしくは郷土料理や懐石料理を想像してしまうが、今回、世界遺産になった「和食」は日本料理そのものではない。季節の美しさを皿の上で表現する技法や、年中行事との密接な結びつきなど、日本人の食における様々な社会的習慣を指すそうだ。つまり、私たちの日常に溶け込んでいるカレーライスやラーメン、ナポリタンのように日本独自の変化をたどったメニューも「和食」という定義で登録されたという。

では、カリフォルニアロールは「和食」なのだろうか? その疑問に答えてくれ、日本人も知らない「和食」の魅力を分かりやすく解説した書籍が『和食の知られざる世界』である。著者は、世界3大料理学校に数えられる辻調グループの代表・辻芳樹氏。料理研究者として知られる辻静雄を父に持つ著者は、幼い頃から味覚の英才教育を受けるとともに、海外のトップシェフたちとの交流を通じて世界の食を研究してきた。その集大成として、本書ではグローバルな視点から見た「和食」の世界を紹介している。

なぜ世界遺産たりうるのか? なぜ世界の一流シェフたちを魅了するのか? 料理を最高の状態で味わうコツとは? 良い店はどこが違うのか? 歴史的変遷から、海外での成功例や最先端の取組みまで、世界の食を俯瞰的に見つめ続けてきた著者だからこそ書けた「和食」の真実であり、日本の食文化の未来に向けたメッセージが詰まっている。

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