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11月4日に4曲入りシングル『花』をリリースし、結成10周年を目前に控えたa flood of circle。20代のバンドにしては珍しく熱苦しいバンドの中心人物・佐々木亮介(Vo/Gt)に、彼らが持つ熱さの根源とその裏に潜む冷静さに迫る。

a flood of circle(以下、フラッド)がジワリジワリと評価を高めている。彼らの何が人々の心を掴むのだろうか。最近の若手バンドならば、夏フェスを訪れた一見さんの心を掴むようなダンスチューンがあるから、レコード会社の社員ばりに頭脳を働かせてバンドのプロモーション戦略を練っているから、なんて理由付けもあるかもしれない。しかし、幸か不幸かこの2006年結成の3人組ロックンロールバンドはそこまで器用ではない。むしろ彼らは、愚直なまでに自分たちの音楽と正面から向き合い、たとえ傍目には遠回りに映ろうとも、自分たちが面白いと思った音を、世界中の何処でも鳴らされていない新しい音を世間に提示していく――そんな、ロックバンドとしては至極当然のスタイルが少しずつロックファンに浸透しているのだ。

11月4日にリリースされたばかりの4曲入りシングル『』は、結成10周年を目前に控えた彼らが「新たな代表曲を」というテーマを掲げて臨んだ、佐々木亮介(Vo/Gt)の自伝的な表題曲がギラついた輝きを放つ。それだけでなく、「どうやったら自分たちのことを知らない人を振り向かせることができるのか」「どうやったらCDを売ることができるのか」という、以前に比べてとんでもなくハードルが上がってしまった音楽業界の課題に対し、マーケティング的な手法は抜きに、あくまでもパッケージとしての魅力を高めることに注力して取り組んだ意欲作に仕上がった。「ただ良い曲を作るだけではダメ」と当たり前のように考えられている現在の音楽シーンにおいて、彼らのそんな姿はもしかしたら「工夫が足りない」と一蹴されるかもしれない。しかし、フラッドは自分たちの音楽が持つ力を信じているし、自分たちがやるべきことはロックンロールを貪欲に更新していくことだけだとよく分かっている。

今回は、20代のバンドにしては珍しく熱苦しいバンドの中心人物・佐々木に話を聞き、彼らが持つ熱さの根源とその裏に潜む冷静さに迫った。約60分に及ぶ会話のあと、彼らに対して抱いていたイメージは変わっていた。決してただ熱苦しいだけのバンドではなかったのだ。

a flood of circle -『花』初回盤DVDダイジェスト

Interview:佐々木亮介[a flood of circle(Vo/Gt)]

――佐々木さんのルーツはビートルズとスピッツなんですよね?

はい。小学校の時にベルギーにいて、その後イギリスに行ったんですけど、ベルギーでビートルズと出会ってイギリスでスピッツが好きになるっていう、住んでいる国と全く関係ない感じで(笑)。それで、ビートルズのライナーノーツにボブ・ディランとかローリング・ストーンズとかジミ・ヘンドリックスの名前が出てきて、そこから遡ってブルースが好きになりました。元々、研究熱心なところがあったので、一回遡ると止まらなくなっちゃって。

――そうやって音楽的な根っこを築いていったんですね。

我ながら痛いなぁと思うのが、大学生の頃70年代までの音楽しか音楽じゃないと思っていたんですよ(笑)。

――おっさんの考え方じゃないですか(笑)。

そうなんですよ。めっちゃ嫌なガキだったと思います(笑)。

――日本のロックだとスピッツ以外には何を聴いていたんですか?

はっぴいえんどとか高田渡さんとか、フォーク寄りの音楽を聴いていましたね。

――……たしかに、10代でその趣味だと友達にはなりたくないですね。

俺も嫌ですもん(笑)。で、大学生の2006年にそんな友達になれない同士で組んだのがa flood of circleなんですよ。

――ぱっと聴きはロックンロールなんですけど、幼い頃にいろんな土地を転々としているせいか、フォーマットにハマってない感じがしますね。

そうですね。自分たちでも面白いと思うのが、革ジャンを着ているような先輩たちが集まるイベントに出ると「フラッドは伝統芸能を踏んでないから違う」って言われたり、逆に大きいロックフェスとかに出ると「フラッドは時代的に浮いている」って言われたり。

――どこのシーンにも属せなかった分、自分たちの中だけで音楽を育んでいけたんですね。では、ボーカリストとして影響を受けたのは?

一番みんなに言われるのはチバ(ユウスケ)さんなんですけど、俺は草野(正宗)さんになりたかったんですよ(笑)。でも、あの声が出なかったっていう。

――じゃあ、チバさんに似ているのはたまたまなんですね。

2007年に初めてインディーズ盤を出した時にお店のポップに書いてあったのは、「ミッシェルmeetsニルヴァーナ」で。「どっちも聴いてねぇ」って(笑)。でも、こないだ日比谷野音で初めてチバさんとセッションしたんですけど、感慨深かったですね。「あれだけ似てるって言われてた人と今一緒に歌ってるんだな」って。

――その後、結成の翌年にいきなり<フジロック>出演を果たして、2009年にはメジャーデビュー。トントン拍子に進んでいると思ったら、そのツアーファイナル直前にギターの方が失踪してしまうという。当時のお先真っ暗感は相当なものだったんじゃないですか?

そうですね。でも、ギタリストがというよりも、学生からの友達がいなくなったっていうことの方が大きくて。だからだったのか、彼はツアーファイナルの1週間前に失踪したんですけど、キャンセルせずにそのままライブをやることを決断しましたね。

――面白いのが、その後も短い間にメンバーが頻繁に変わりながらも、まるで逆境を武器にするかのように作品のセールスは徐々に上がってきているという。

それは誇りに思っているところですね。今度Zepp(DiverCity Tokyo)でやるんですけど、Zeppで終わる規模の曲を書いているつもりはないし、もっとみんなに伝わる曲を書いているつもりなので。「みんな、これが今欲しいんでしょ?」っていう曲は敢えて出してないから、その分時間はかかっているとは思いますけど、確実に浸透させられているのは強みだと思います。

――“フラッド=ロックンロール”っていうイメージが強いから、勢い一発でやっているのかと思いきや、どの曲にも意識的にフックが散りばめられているし、アレンジもさり気なく凝っていて、パブリックイメージ以上に臨機応変で器用なんだと思いました。

いろんな音楽が好きだっていうのが根っこにあるからかもしれないですね。俺たちがやっているロックンロールは、これまでの伝統芸能を真似てるんじゃないんですよ。例えば、スピッツぐらいはっきりしたサビがあったり。あとは、今回の“花”がそうなんですけど、わざわざ転調してまでサビを盛り上げるなんて、洋楽的な頭を持っているロックンロールバンドだったらご法度だと思うんですよ。でも、ぜってぇこっちの方が格好良いって確信を持ってやってるんです。

フラッドが目指すロックンロール。中心人物、佐々木亮介に訊く。 interview151105_afoc_1

次ページ:3人のバンド像がようやく固まってきたかなって気はしますね

Qetic編集部

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