『フリースタイルダンジョン』や『高校生ラップ選手権』の盛り上がりと共に、ラップの奥深さがお茶の間レベルでもようやく市民権を得つつある昨今、<さんピンCAMP20>、<SUMMER BOMB>といった夏のイベントやKOHH、SALUといった勢いのあるアーティストたちの重要作もあって、今、日本語ラップは活況にあると言っていい。そんなシーンの移り変わりの中、既に孤高というべき有数のトップスキルを誇るAKLOが、〈トイズファクトリー〉に移籍しての、待望の最新アルバム『Outside the Frame』を6月22日(水)にリリースする。
2010年当時、まだ日本では珍しかったフリーダウンロードのミックステープという形態で作品を発表したことがきっかけで一躍、トップアーティストたちの仲間入りを果たしたAKLO。新しいもの好きのリスナーに無料で音源を提供したという側面もあるが、実のところ、それがあまりに高いスキルを以て作られたという事が導いた証左であり、以来、リリース形態をCDフォーマットに主戦場を移しての過去二作(2012年発表『THE PACKAGE』、2014年発表『The Arrival』)においても、AKLOは絶えず進化を遂げながら、スリリングに展開していくラップ・スキルに、今も私たちは目が(耳が)離せないでいる。
制作陣は過去2作と同様、Bach Logic&JIGGといった〈One Year War Music〉のマチガイない布陣がガッチリ脇を固め、客演も必要最低限にAKLOの作りだす世界観のサポートに徹している。『Outside the Frame』――「枠から飛び出していく」――と題されたこのアルバム、今回、一体どのような進化を遂げているのか?
インターネットやスポーツ、ラップにかけるモチベーションのコントロールの工夫など、全てが段違い、レベル違いのAKLOのインタビューをお届けします。必読の内容です!
Interview:AKLO
——制作陣は変わらずという感じではありますが、メジャーに移籍してからの第一弾というカタチになると思うんですけど、それに伴って気負いやプレッシャーなどはありましたか?
それが全然なくて(笑)。今までやってきた事の評価があっての移籍だったので、今までやってきたテンションで、僕が接する人も変わらない、プロデューサー陣も変わらない。で〈トイズ〉側としては今までやってきた事を評価している分「かっこいいのを作ってくれ」って感じだったので。そういう意味じゃ、「メジャーだしなあ」っていうよりかは、もっとカッコイイの作ったれ、みたいな感じになっていますね。
——そうですね。そういった感じはスゴく伝わります。メジャーに行ってなにかガラッと変わった事をしようということではなく、これまでやってきた事をさらに磨くといった印象を受けました。
そうですね。なかなかそういうことやらせてくれるメジャーレーベルってあんまりないのでスゴイ嬉しいです。ただ、今回ってトライだったんですよ。ラップの仕方もセカンドとは違うじゃないですか。俺の中では明確だったんですけど、それを誰かに協力してもらって仕上げていく世界観ではなくて、むしろ自分でやるしかないというか。なので、誰かにフィーチャリングで入ってもらって色が薄れていくよりかは自分でやりたいなと。SALUとは一番コミュニケーションとっていたし“We Go On”作るときに、今SALUにこれ書かせたら、俺が目指している世界観の中で共存してくれるなっていうのが分かっていたから入れたんです。JAY’EDくんはフックっていうのもあり、僕らが足りない部分をキッチリやってもらうみたいな感じの役割をやって頂いて。だからコラボレーションが2人しかいないのは、自分がやりたいことが明確で、それに色んな人を参加させて成り立つもんじゃなかったっていうことがありました。
AKLO “We Go On” feat.SALU, H.Teflon
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