——17年前と現在との大きな違いのひとつと言えば、マイクの従兄弟ネイト・キンセラの参加が挙げられます。ネイトの参加はバンドにどんなことを、変化や新たなオプションをもたらしてくれたと言えますか?
(彼の参加は)完全に必要なものだったよ。最初に再結成ライブをやる時に、ベーシストが必要だったから参加してもらったんだけど、彼じゃなきゃいけなかったんだ。一緒に過ごすのに最高の人間である上に、音楽の面で全面的に信頼できて、とても趣味もいいしバンドにもすんなり馴染んでくれるからさ。
そして作曲の段階でも一緒にやるのは素晴らしかったよ。いくつもの曲のパーツを作って提示してくれたし、ベースパートは全部ネイトが作ったものでどれもすごく良い。ギター曲も2曲くらい作曲してくれたし、彼の存在は本当に必要としていたものだった。彼がいなければこのアルバムはできなかったと思う、多分いくつかショウをやって終わりだったよ。
——今回、アルバムをバンドと共同プロデュースしているジェイソン・カップは、サム41やアヴリル・ラヴィーンなどメジャー系のアーティストの作品も手がけている人物ですが、彼の起用にはどんな意図があったのでしょうか?
ちゃんと言っておかなきゃいけないけど、実際彼が全部プロデュースをしたんだよ、なんで僕らがプロデュースのクレジットを受けているのか分からないくらいさ(笑)。もともとライブをする時点で誰かライブのサウンドエンジニアをやってくれる人が必要で、ジェイソンはネイトと仕事をしたことがあったから、ネイトが彼を紹介してくれたんだけど、蓋を開けてみたら彼は純粋に一緒に過ごしたくなるような人間で、しかも仕事上の能力も素晴らしかった。だからこれ(アルバム制作)をやることになったとき、彼は僕らのやりたいことも分かっているし、彼にやってもらおうって話になったんだ。
——歌詞についても教えてください。まず、今回のアルバムを作るにあたって、全体を通してあなたが頭の中に描いていたイメージやストーリーのようなものはなんだったのでしょうか?
もともと17年前に一人の女の子に恋焦がれていた男の子が、その後どう成長してどうなったかを知りたいと感じたところから始まったんだ。それは僕自身の現実とも繋がっているわけだけど。だからそこには前と同じような切望感があって、でもそれは必ずしも叶わぬ恋に対するものではなくて、時間や若さに対するものだったりする。
——では、具体的に何曲かについて教えてください。”Where Are We Now?”は、タイトルからしてとても示唆的なものを感じましたが、これはどういったきっかけから歌詞が生まれた曲なんでしょうか?
あの曲は多分最初、妻との喧嘩から生まれたんだよ(笑)。それが家を出て練習スペースに行って曲を作るきっかけになったんだ、そうじゃないと家にいて夕飯を作ったり子供達と遊んでいるからさ。それじゃあいい曲は書けないよ。大抵いい曲が生まれるのは感情的なごたごたからだね。最初にコーラスのメロディーと詞ができて、それからそこに至るまでの経緯を想像して肉付けしていったんだ。
American Football – Where Are We Now? [OFFICIAL AUDIO]
——“Give Me the Gun”はどうでしょうか?
あれはもちろん本当の銃についてのことじゃなくて、比喩上での銃についてなんだ。僕の周りには実際に銃を所持するような馬鹿げたことをする人はいないしさ。あの曲は助けが必要な人に助けを差し伸べることについてなんだ。どの曲だったか思い出せないけど、ニューオーダーの曲に銃についてのものがあって(おそらく「1963 ’94」)、それにインスパイアされてもいるよ。
American Football – Give Me The Gun [OFFICIAL AUDIO]
——“Born to Lose”についてはいかがですか?
「Born to Lose」っていう言葉自体は、ライブの後にとあるファーストフードレストランに行ったとき、そこで働いていた人の首に大きくタトゥーで入れてあったのを見たのが記憶に残ったんだ。首にでかく「Born to Lose」って入れたのが先か、負けるために生まれた(Born to Lose)のが先か、どっちなんだろうと思ってさ(笑)。で、あの曲は、えーっと……(曲の一節を口ずさむ)……一曲一曲思い出さないといけないんだよ(笑)。あの曲は年を食ったおっさんになって、人生をこなしていくことについてだね。
American Football – Born to Lose [OFFICIAL AUDIO]
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