2000年代にサムシング・コーポレイト、ジャックス・マネキンのフロントマンとして活躍したアンドリュー・マクマホンが、ソロ名義でのメジャー・デビュー・アルバム『ゾンビーズ・オン・ブロードウェイ』(邦題『ファイヤー・エスケイプ』)をリリース。
2005年に急性リンパ性白血病を診断され、その思い出が残るニューヨークで、彼自身が再発見した“生きる喜び”が綴られたオリジナル・アルバムだ。リードトラック“ファイヤー・エスケイプ ~きみがいる世界”はジャンルを超えたヒットを記録し、日本でもパナソニック家電新キャンペーンのテーマ曲として採用。TVCMが5月10日よりオンエアされている。
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2017年は、各国の音楽フェスティバルへの出演に加え、ビリー・ジョエルのスタジアム・コンサートでオープニング・アクトを務めることも決定するなど、キャリア史上最高の輝きをみせているアンドリュー・マクマホン。そんな彼にインタビューを行い、アルバムに込められた想いや病気という困難からの克服、日本の印象や自身の音楽観について語っていただいた。
text by Qetic・田中莉菜
Interview:アンドリュー・マクマホン
——シングル“ファイアー・エスケイプ~きみがいる世界”はどのような内容を歌った曲なのでしょうか?
僕は作詞のためニューヨークを訪れ、スタジオに入る前夜にはたくさんの友人たちと夜の街に繰り出しました。それは、まるで映画のストーリーやワンシーンのようなクレイジーな夜の日々だった。それらの出来事を泊まっていたホテルの部屋でノートに書き出し、それらが歌詞となりました。
——歌詞の内容はラヴ・ソングのように聴こえますが、タイトルの『ファイヤー・エスケイプ』は何を意味しているのでしょうか?
《Swinging from a fire escape》という歌詞のアイディアは夜中に感じた孤独感と喜びの気持ちを集結させた感情から来ています。
——最新アルバム『ゾンビーズ・オン・ブロードウェイ』(邦題『ファイヤー・エスケイプ』)はどのような内容になっているのでしょうか? (テーマや聴きどころを教えて下さい)
僕はこのアルバムを作るにあたり、特にテーマを設定してはないです。しかし、僕はニューヨークの活気やエナジーを感じながらこのアルバムを作りました。
——『ゾンビーズ・オン・ブロードウェイ』はちょっと不思議なタイトルですが、どんな意味・想いを込めているのでしょうか?
ゾンビは、僕がこのアルバムの大半の楽曲をレコーディングしたタイムズ・スクウェアに殺到する観光客から着想しました。時間とともに、そのタイトル『ゾンビーズ・オン・ブロードウェイ』が「どれだけ簡単に街の中で自己を消せるのか」ということを表し始めました。
——アルバムジャケットでは街中でヘルメットのようなものをかぶっている姿と、部屋のようなところで通常の姿が半々になっていますが、これはタイトルとリンクしているのでしょうか。
僕は時々、僕自身のパーソナリティが全く異なる2面を持ってると感じています。片方は地に根を張り隠れ平静を保っています。そして、もう一方は宇宙の中にいる感じなのです。その僕の2つのパーソナリティからこのアルバムジャッケットは着装しました。僕はこのアルバムに入っている曲は2つのパーソナリティたちの交流、テンション(緊張)がパーソナリティたちを(1つのものとして)調和、一致させようとする探求心が創り出したものだと考えています。
Andrew McMahon in the Wilderness – Fire Escape (Official Music Video)
——2005年の病気はいまでは昔の出来事だとは思いますが、当時は相当つらい経験だったのではないでしょうか?
僕はとてもショックを受けました。しかし僕はこの病気を既に僕の旅の一部として予定されていたものだと考えることができたので、すぐに前向きな考えをすることができました。
——どうやって身体的にも、気持ち的にも、その困難を克服されていったのでしょうか?またその経験は現在の自身の作る音楽に於いて大きな意味を持っているのでしょうか?
僕は、自然体として何か決意を持った人柄です。さらに、多くの素晴らしい友人たちや、闘病生活中全力で私をサポートしてくれた家族に囲まれていました。僕の音楽は、僕の履歴書のようなもので、病気を患った後の僕の曲たちは僕の経験を元に作られています。
——その当時に出会った女性とその後に結婚し、いまは家庭を築いていらっしゃると聴きました。その出会いのストーリーを教えて下さい。
僕と妻は、お互いを10代の頃から知っています。彼女と僕は3年間病気の治療を優先させながら付き合っていました。僕はこの経験が彼女と僕をより身近にし、結婚するべくして結婚したと強く信じています。
——家族はあなたにどのような意味を持っているでしょうか? 奥様や娘さんについての歌を作ったりされているのでしょうか。
僕の家族は、日々僕に活力を与えてくれ、僕は日々善い人であろうと努めています。なぜなら、彼らは僕の人生の大切な一部だからです。このアルバムに入っている“バースデイ・ソング”と“デッド・マンズ・ダラー”は私の家族のことや、僕が日々の中でどのような選択をしているかについて、とてもよく触れているものです。
——「ディア・ジャック基金」というのはどういうものなのでしょうか? 今でも活動されているのでしょうか。
私たち(Dear Jack Foundation)の目的は、青年期と若者の癌患者と完治者たちの利益になるような活動を計画、提唱、実行することです。私たちは、癌治療やリハビリを受ける患者さんと完治者の苦しみを少しでも楽にしてあげられるよう、患者さんたちと直接やりとりができるように、アメリカのたくさんの都市に拠点を持っています。