――ARDBECKの新作EP『BLUE』を聴いて、まず感じたのは80KIDZとも共通した圧倒的な聴きやすさです。

Hori いまって音数が少ない音楽が流行っているじゃないですか。お洒落だし、個人的には好きなんですけど。でも、同じくらい音数が多い曲も僕は好きなんです。ARDBECKはそれで良いと思っていた。たとえば、80KIDZに影響を受けたわけじゃないけど、好きな音楽は同じなんですよね。一部では音数が多い音楽が悪のような風潮もあるなかで、音数が多くても格好良いし気持ち良いんだというのは、80KIDZでの経験を通して再確認できたことかもしれません。

80KIDZ LIVE 2014

――ARDBECKのサウンドはいわゆる“都会”のムードが色濃いと思ったのですが、楽曲のインスピレーションはどこから得るのですか?

Hori その風景を見せているのは須藤ですね。

Yu まさに、高速道路を走っているときに思いついた曲もあります。だいたい、寒いし、淡いし、抽象的。元々そういう性格なんだと思うけど(笑)。

Hori たとえば、僕が曲を作ったら聴いた人はその風景を汲み取れないと思います。須藤は何々っぽいとかのイメージを曲から出せるよね。

Yu 曲を作るときは予め堀とも具体的なイメージを共有するんですよね。

Hori 魚っぽい、とかね(笑)。

――それぞれの楽曲についても聞かせてください。まず、表題曲の“BLUE”はこのEPのなかでも特に中毒性がある曲です。Arcade Fireが手がけた『her』のサウンドトラックを彷彿とさせる静謐なインストがバックにありながら、ヴォーカルはとてもポップで、そのコントラストがとても美しい。

Yu これは“LOST”と同じくらいの時期に作り始めたんです。“LOST”はパパってできたんですけど、“BLUE”は完成させるのにけっこう苦労して。一旦できたものをスタジオでやったら、うーん、って全然納得いかなかった。Dメロができたときにやっと「これだ!」って気付いて、そこからまた全部作り直したんですよ。ロックだし、踊れるし、ARDBECKの要素がすべて詰め込まれている曲かなと。

Hori ARDBECKの音像はこれ、って決まる楽曲が一番難しい。色んな音楽が好きで、色んなことをやってきたなかで、じゃあ二人でどんな音を作るのか、というのが難しかった。何か違うね、の繰り返し。ここはギターか、シンセか、僕だったらギターを入れないけれど、須藤はギターを入れたいとか。

Yu 僕は“BLUE”が代表曲になるだろう、という意識があった。それで、絶対にポップにしたいというのがあったんです。

ARDBECK – “BLUE”

――“CRISIS”の疾走感も素晴らしいです。こういうのは下手な人がやると薄っぺらくなってしまうのですが、ARDBECKがやると見事なアンセムになりますね。

Yu これもシングルだと思って作ったんだけど……。

Hori 僕と須藤の解釈は違うんですよ。

Yu これはきた! と思って堀くんに送ったら「まあ……」って反応が返ってきた(笑)。

Hori そうね(笑)。でも、ここからはすんなりできていったと思う。一曲目の“AWAKE”なんかもすぐにできたし。ちなみに、あの曲のアウトロに関して、須藤はマイブラのシューゲイズ感という捉え方で、僕はマイ・ヴィトリオールにしたかった。何というか、あの育ちの悪さを出したくて。

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