INTERVIEW

SUMIRE×今野里絵

     

現在公開中の映画『青の帰り道』や1月26日(土)から全国公開となる『デイアンドナイト』や、SALU“Good Vibes Only feat. JP THE WAVY,EXILE SHOKICHI”や、向井太一“Siren(Pro. tofubeats)”のミュージックビデオなど話題作が続いているクリエイティブチーム〈BABEL LABELバベルレーベル)〉。注目を集める彼らがオリジナル映画製作プロジェクト「BABEL FILM」を始動させ、未来をテーマにした3篇のオムニバス作品『LAPSEラプス)』を完成させた。

MOBILE CREATIVE AWARDグランプリを受賞した『Converse 110th Anniversary SHOES OF THE DEAD』のWEB CMなどを手がける志真健太郎監督は、『SIN』と題した作品で主演に栁俊太郎を起用。幼少期に政府の教育機関のシミュレーションで見た暗い未来が現実化し、苦しむ男を描く。

テレビドラマ『日本ボロ宿紀行』などを手がけるアベラヒデノブ監督が主演も務める『失敗人間ヒトシジュニア』は、人間とクローンが共生する未来を舞台に、自分がクローン人間の失敗作だと聞かされ、恋愛も破綻し絶望の淵に立たされた青年を主人公にした物語だ。彼と同じ境遇にある初美(ハッピー)を中村ゆりかが瑞々しく演じている。

Awich 『紙飛行機』 のミュージックビデオなども手がける、〈HAVIT ART STUDIO(ハビットアートスタジオ)〉のメンバー今野里絵監督の『リンデン・バウム・ダンス』は、人間が人工知能に医療を委ねている未来を舞台に、主人公の大学生ヨウと寝たきりの祖母の関係や、夢の世界を軸にストーリーが進んでいく。セリフの少ない感覚的な役柄のヨウをSUMIREが演じているのも見どころの一つ。

未来を描くと言っても過去のSF映画が設定した時代をすでに迎えている今。若手監督とキャストによる新しい「未来を想像する映画」が、今回の「LAPSE=時の経過」と題されたオムニバスの軸にある。3作品のキャッチフレーズは「未来に抗え」。

今回は『リンデン・バウム・ダンス』で主演したSUMIREと、初の映画監督・脚本作品となる今野里絵にインタビューを実施。二人ならではの感性が生きる本作の内容とともに、彼らにとっての未来について聞いた。

Interview:『リンデン・バウム・ダンス』
今野里絵×SUMIRE

SUMIRE×今野里絵インタビュー|オムニバス作品『LAPSE』で表現する“未来への抗い方”とは interview1901-babel-film-2

——今野監督はこれまでも“HAVIT ART STUDIO”でミュージックビデオ制作やグラフィックデザインもされていますが、〈BABEL LABEL〉に加入した理由を聞かせていただけますか?

今野里絵(以下、今野) もう3年ぐらい前、私たちがミュージックビデオなどをアップロードしていたら、BABEL LABELの代表で、「LAPSE」プロデューサーの山田久人さんから、Facebookでメッセージをいただいたのがきっかけでした。それまでは横の繋がりがなく、趣味の延長みたいな感じでやってたので、そんな時、メッセージをいただいて、レーベルの存在を教えてもらって、仲良くなっていった感じです。

——もともとは映像表現をやりたかったんですか?

今野 映像だけじゃなくて、グラフィックや写真撮ったりするのが好きで。周りの友達を撮るところから始まっていて、表現全般が好きかも知れないです。

——SUMIREさんは今野監督の作品はご存知でしたか?

SUMIRE なんとなくは知っていて、今回、一緒に映像を作り上げていくということで、ミュージックビデオを見て、こういうセンスがあって撮ってるんだなということを知って。さらに今回の映画を通してこの監督だからこの映像の雰囲気が出せるんだなと思ったり。撮影で髪をピンクにしてたんですけど、そういうのと撮りたい映像のやり方が合ってるのかなと思ったり。

SUMIRE×今野里絵インタビュー|オムニバス作品『LAPSE』で表現する“未来への抗い方”とは interview1901-babel-film-3

——完成した作品を観てどんな印象を持ちましたか?

SUMIRE 『LAPSE』の3本を続けて観たんですけど、私が出ている『リンデン・バウム・ダンス』が一番、アート色が強いというか。監督が言った「表現するのが好きだから、作っていきたい」っていう意味があの3本の中だと一番表現されてるのかなと思いました。

——今回の『LAPSE』のテーマである「未来」を監督はどう捉えましたか?

今野 最初に「未来」っていうキーワードだけをいただいてたんですけど、自分の実体験だったりとか、もともと思ってたことと、みんなでやろうって話してた「未来」ってテーマをどうくくりつけたらいいか最初悩んで。自分にはもともと未来の話っていう感覚がなかったので、未来の要素を足して。人間がやってることを機械に置き換えたりすることで、何か新しく見えてくることもある気がして、それはすごい面白いなと思いました。

SUMIRE×今野里絵インタビュー|オムニバス作品『LAPSE』で表現する“未来への抗い方”とは interview1901-babel-film-5

——20年後の2038年という時代設定や人工知能による医療行為が要素になっているのは?

今野 あんまり遠い未来のSFみたいなことを考えるのは得意じゃないというか、遠すぎるとリアリティがなくなっちゃうなと思ってたので、遠くない未来にしたっていうのはありますね。

——映画は昔から近未来を描いた作品も多いですが、そこからの影響はありますか?

SUMIRE SFっぽいものは昔も今も作られてはきてるけど、映像の技術だったり、撮り方や機械の変化もあるこの作品は同じSFの括りでも、今らしい映像というか、絵が綺麗だとも思います。やはり昔のものは古き良き時代の撮り方だと思っちゃう。

今野 60年代とか70年代って、未来は超楽しみで希望みたいなのがあったと思うんですけど、それはたぶん空想の世界というか、夢の世界であり得ないことというか。今の人が未来について考えたときに、希望みたいなものってあります? 

SUMIRE 自分のことはわかんないし……う〜ん、でもケータイとか発達してるなと思うし。でも読めないんですよね。5年前の自分が今こうなるとかも分かってないだろうし、予測不能ですね(笑)。

——確かに。映像の質感はむしろ淡い感じで、未来とか過去では括れないイメージがありました。あの質感にしたのは?

今野 テーマが明るいものじゃないので、そのぶん映像は綺麗にしたいなというのはあって。ストーリーも暗いし、映像も暗いってなっちゃうとつらいので。

——近未来の物語ですけど、ヨーロッパ映画的な質感もあって。

今野 SUMIREちゃんだからそういう風に見えるっていうのは、結構あるんじゃないかと。そういう空気感があるので。

——アップでの目の表情の演技も多いですね。

今野 言葉というのがもともと得意じゃないというか、逆に言葉が溢れ出しちゃってめんどくさい! ってなって、映像表現とか絵を描いたりするのが好きなので、今回、セリフはあんまりなしで、行動とか音楽でセリフの代わりに表現しようっていうのがありました。多く喋ることはあんまりなかったけど、その人が出すオーラだったり、表情、顔であったりとか、音楽、そういういろんな部分でこの映画は人の感情を伝えたりするのかなと思います。

——主人公ヨウの行動をSUMIREさんはどう感じましたか?

SUMIRE 最初、台本読んで、ヨウと自分を照らし合わせたときにちょっとキャラクター的に似てる部分があるかなって思ったり。すごい単純なところで自分もおばあちゃん子なので、その人に対する気持ちが主に理解できた部分かも。あのおばあちゃんがいるからヨウもいるとか、そういうところです。

SUMIRE×今野里絵インタビュー|オムニバス作品『LAPSE』で表現する“未来への抗い方”とは interview1901-babel-film-6

——明快なストーリーではないこの作品を演じるときに大事にしたことはありますか?

SUMIRE 演技してる自分と関係なく、もともと自分が持ってる要素だったり性格、自分が持ってる目だったり顔だったり、そういうのも残しつつ演技していきたいなというか、素の部分で見せるというのは思いました。

今野 これまではミュージックビデオが多かったので、演技をつけるのは初めての部分もあって。SUMIREちゃんと初めて会ったとき、そのままがいいというか、ストーリーに過剰な演出がある訳ではないので、普段をこっそり撮ってた風なぐらいの喋り方だったりとか、雰囲気がいいんじゃないかなと思って。SUMIREちゃんなりのニュアンスでやっていただいたので、それはすごい良かったと思います。

——未来に抗えというテーマを持った作品群ですが、監督やSUMIREさんはどう未来に抗いますか? もしくは未来に対するスタンスは?

SUMIRE 何が起こるか分からない時代に、前よりもなりつつあって。でも、そのときそのとき楽しんでれば、未来もよくなるのかな。解決策も決まってるわけじゃないし。みんながやりたいことをできてればいいな。

今野 恐怖みたいなものはみんなあるんじゃないですかね? クローンとか、アベラくんの話もそうだし、得体の知れない奴がやってきて、人間をいつか超えるんじゃないか? みたいな。そういう怖さみたいなものはうっすら感じてて、それが現実になるんじゃないか? ということをこの3作品で、ちょっとでも感じてもらえればいいんじゃないかなと思いますね。

SUMIRE×今野里絵インタビュー|オムニバス作品『LAPSE』で表現する“未来への抗い方”とは interview1901-babel-film-4
SUMIRE×今野里絵インタビュー|オムニバス作品『LAPSE』で表現する“未来への抗い方”とは interview1901-babel-film-1

果たして未来とは、受け入れるべき運命なのか、自ら切り開くものなのか。現実から少し離れた想像の世界=映画『LAPSE』のメッセージはそれに向き合ういいチャンスだ。

Text 石角友香/Photo 山本春花

SUMIRE
ジャケット¥50,000
パンツ¥25,000共にLEINWANDE(MATT.)
トップス¥20,000/soduk(MATT.)

お問い合わせ先
MATT.
INFO@THE- MATT.COM

BABEL LABEL が描く3篇の未来の物語
『LAPSE(ラプス)』
2019年2月16日よりアップリンク渋谷ほか全国順次公開

映画『LAPSE ラプス』予告編

志真健太郎 監督・脚本 『SIN』
出演:栁俊太郎、内田慈、比嘉梨乃、 平岡亮、林田麻里、手塚とおる

アベラヒデノブ 監督・脚本 『失敗人間ヒトシジュニア』

出演:アベラヒデノブ、中村ゆりか、清水くるみ、ねお、信江勇、根岸拓哉、深水元基

HAVIT ART STUDIO監督・脚本 『リンデン・バウム・ダンス』

出演:SUMIRE、小川あん

 

主題歌:SALU『LIGHTS』

監督:志真健太郎、アベラヒデノブ、HAVIT ART STUDIO
撮影:石塚将巳/佐藤匡/大橋尚広 照明:水瀬貴寛 美術:遠藤信弥 録音:吉方淳二 音楽:岩本裕司/河合里美 助監督:滑川将人  衣装:安本侑史 ヘアメイク:白銀一太/細野裕之/中島彩花 

プロデューサー:山田久人、藤井道人
製作:BABEL LABEL 
配給:アークエンタテインメント

詳細はこちら

Qetic TOP